令和の高校生の価値観の分析と理解

年を取り、生徒との年齢差が広がる

教員を何年もしていると、徐々に生徒との年の差が開いてきます。

もちろん、それ故に指導の幅が広がったり説得力が増す効果もあるのですがどうしてもジェネレーションギャップが発生します。

この手のギャップは授業をするだけではそこまで表面化しませんが、個別指導を行う段階で大きく影響してきます。

面談が成立しない

面談に関してそのギャップの影響は絶大です。

なぜならば、彼らの年代における共通の価値観を理解(≠共感)していなければ何を悩んでいるのかさえ想像できないからです。

人間関係については強い結びつきを少数の人に求める一方で、それ以外の人に関してはSNSでの緩いつながりで心地よさを感じていて、SNSの繋がりの中にはリアルで接触のない人と現実の知人が混在しています。

また自身のあり方に関しても、自分がどうありたいか、という視点よりも周囲からどう見られるかを強く意識しています。

かつてより真面目であることや奉仕を行うことの価値が明らかに上昇しています。

私の勤務校においては、ボランティア部の部員が激増しているのもその現れのように感じます。

競争意識が希薄で、共生を好むのも特徴です。

したがって、ライバルと切磋琢磨して受験勉強をするという感覚は共有できない可能性が高いようです。

部活動も週一で軽い運動をするなどサークルに近いものが人気です。また、競技性としてもタイム競技の人気が向上しているようです。

他者を認めて尊重する姿勢ができており、人間性という意味では私の時代やその後の十年前の生徒と比較しても、最近の生徒は優れていると言えます。

進路指導における変化

彼らは、自分探しが流行った時期とは異なり、自分が周囲とどのような関係にあるかを重要視する傾向があります。

上昇志向は人それぞれですが、総じて誰かに勝ちたい、負けたくないといった気持ちを原動力にする生徒はゼロではありませんが少ないです。

大学などの進学先に関しても、自分がしたいことよりも周囲が評価してくれることを優先する傾向があります。
(そのため、変にこじらせた学歴厨も少数存在します。)

ただ、総じて言えることは社会貢献に対して非常に前向きであり、進路選択にもそれがベースにある生徒が多いということです。

以前は給与水準の高い職業に人が集中していたし、その後は安定性の高い職業が人気を集めていました。それがここ数年で変化しているように感じます。

医療系の人気はここ10年以上にわたって維持され続けていますが、その志望理由も変化しています。

推薦入試指導で本音の部分で志望理由を尋ねても、安定ではなく貢献を理由の第1条件に上げるケースが増えました。

年の離れた教員が新しい価値観をどうやって理解するか

このような変化の原因に関しては東日本大震災や、中国の台頭など世界情勢の変化、スマートフォンの普及など社会学者が多くの分析をしています。

では、教員として私をはじめ、不惑を過ぎたおじさんはどうやってそれらを理解すればよいのでしょうか。

次回の記事では、その理解について私なりの考えやアプローチについて触れたいと思います。

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