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「学習計画」を立てない逐次学習管理法
私の勤務校は中間試験期間の真っ只中です。
現役高校生も、そしてかつて高校生だった人たちの多くが「学習計画」を立てて試験勉強をしなさいという指導を受けたことがあると思います。
今回はそれに関して私見を書いていきたいと思います。
「学習計画」の難しさ
「学習計画」とは、目標を設定して、必要な学習量を割り出し、それを残りの日数で逆算するものです。
当然、この計画がある程度の完成度に仕上がれば、大半の受験は合格とまでは行かなくと、合否をギリギリで争うレベルにまでは近づくことも可能です。
そう、「ある程度の完成度に仕上がれば」です。
実際には学習計画を立てるハードルはいくつも存在します。
まずは、目標設定でどの程度のレベルかを分析する必要があります。
さらに、その目標と現在の自分がどの程度乖離しているかを測定します。
その上で、必要な学習量を割り出して、実行可能な時間や日数に分配する。
(そしてそこから「実行」までする)
このように「学習計画」を立てることは高校生であっても難しいのが現実です。仮に成人であったとしても長期に渡るタスク管理をすることは非常に難しいでしょう。
では、どうやって学習計画を立てればよいのでしょうか。
(今回の記事では入試などある程度長期的な学習計画についての話ですので、定期試験などは別の機会に)
「学習計画」を立てない学習法
個人的に提唱しているのはまずこれです。
基本的に学習計画を立てず(紙やアプリに書かず)に学習をすることが最も大きなポイントです。
そもそも、長期学習計画を立てることに不安を抱えるような人はおそらく計画初心者です。
そんな人が長期の学習計画を立てることはほぼ不可能に近い話です。
ですから、計画を立てないで学習をスタートさせるのです。
とはいえ、無目的で何をしてよいかわからない人も多いはずでしょう。
そこで、とにかく現在分かっていないことから手始めに学習をスタートさせるのです。
学習ログを必ず録って逐次管理を行う
しかし、何もせずにがむしゃらばかりでは効果が薄いでしょう。ですから必ずすることがあります。
それが「学習ログ」を必ず録る、ということです。
今日、どの教科を、どのぐらいの分量、掛けた時間、どんな問題であったかを記録に残していきます。
こうすることで、現在の自分の実力が客観的に認識できるようになります。
そしてその後に、1週間ごとに手直しをして、教科や時間、内容をいじっていきます。
毎日、毎週、とにかく長期的な計画を立てずに常に復習と確認、管理を行い逐次修正を行っていくスタイルです。
具体的には手帳やカレンダーなどに以下のように確認を書いていきます。
毎日:振り返りや曖昧な部分の確認
週毎:変更や教材の到達度を確認
月毎:教材変更、完了、教科バランスなどの確認
毎日、おそらく10〜15分程度の時間で済むタスクですが、非常に効果が高いでしょう。
学習計画を立てられない理由
そもそも学習計画を立てられない大きな理由は、現状の実力を把握していない点にあります。
こうして、毎回のリフレクションを必須にし、1週間毎に週の振り返りを行うことで必然的に実力把握が可能になります。
その上で、現時点での無理の無い形で学習計画を毎週見直す、これだけで学習計画を立てられるだけの下地を作ることが出来ます。
そこからさらに、毎日毎週の復習から軌道修正をしていけばよいわけです。
ちなみに、ここまである程度できるようになると「学習計画」を立てることは可能になりますが勧めてはいません。
一度計画として作ってしまうと、その計画自体にしばられて、自由や柔軟性を失ってしまうからです。
「学習計画」は手段に過ぎない
学習計画を立てることは手段でしかなく、大事なのは成績を向上させることと学習の管理を行うことです。
立派な計画よりも、実行可能な工夫で成績を上げることが目的です。
先行きが不透明な現代社会を生きていく若者こそ、いつでも修正変更が可能な逐次学習管理を意識する必要性は高まりつつあるように思います。