自分の生活を眺める🧺エッセイ
風にそよがれる洗濯物を眺める。
夏は白や水色、サラッとした生地にさっぱりとした色のアイテムが多いから、見ていると気分までが涼しい。
私の洋服はここ2年で一段と少なくなった。
少ないアイテムをたくさん活用するほうが、なんかいい。そう感じ始めたからである。
『これだけの洋服で生活は豊かにすごせる』ことが見えて、またひとつ自分にとって“ほんとうに大切にしたいもの”へのアンテナが確立した気がする。
音楽アプリのプレイリストも、ワンシーズンに一回整頓をするため、定期的に足したら引いたりと、入れ替わりが行われる。もちろん長らく好きな歌はずっとプレイリストの上にのこっている。
物を減らしていくという過程について、あらゆるものを『何を省いていくか?』という視点から始まり、今では『何をのこしたいか?』といった感覚へと変わって来たことに気づいた。
自分の傍にあってほしいもの、繋がっていたい人、活用するアイテム、大好きな音楽や小説、、それらは私にとっての『大切なもの』である。
これまでは埋もれてしまって、どこかぞんざいな扱いになってしまっていた。時間も空間も、限りがあるからアイテムや繋がりの数が多いと、どうしても意識が分散されて、“ひとつのものを見つめる”ことはしにくかった。
だから私は、まずその空間と時間をすごす『環境』を変えることからスタートした。
環境の変化から得られる影響はやはりすごいもので、少しずつたしかに、自分が居る場所=自分だけの場みたいなものが確立していく感覚が分かった。それに伴う『空間の落ちつき』によって、自分の内側の思考や、精神面のごたごたといったものたちも、少しずつ見分けられるようになって来るのだ。それが体感として、日々自分の感覚に馴染んでいく過程が心地よかった。こうした時を経て人は“変わっていく”のかと思えた。
“空間の広さ”を整えることは、自分の内面と向き合うことの走りとして、すごく簡単で取り組みやすいことだと思う。
今ひとつひとつのアイテムのどれもが、ちゃんと生活の中で活躍してくれている。それが分かる。
『心地良い空間の演出』は、自分の本来を澱みなく“見せて”くれる役割を果たしてくれた。
やっぱり、足すことではなく“引いて”みることで見えてくる景色の中に『本来の私』は居ると改めて感じる。
半径3メートル以内に在る、今の自分にとって『大切なもの』をこれからも長く愛していきたい。
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