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#2000字のホラー

with WEB別冊文藝春秋

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【非情怪談/窓の向こうの顔】

序章: 新しいアパートの住人 主人公、彩乃(仮名)は、仕事の都合で都会の一角にある小さなアパートに引っ越してきた。 日中は陽光が差し込む快適な部屋で、新生活に希望を抱いていた。部屋は4階に位置し、窓の外には周囲のビルの屋上や隣のアパートの窓が見える。 新しい環境に少し緊張しつつも、特に異常はなく、忙しい仕事をこなして日々が過ぎていった。 しかし、引っ越してから一週間が経った頃、彼女は夜に奇妙な気配を感じるようになる。 部屋の明かりを消し、カーテンを閉めて眠ろうと

【非情怪談/意味がわかったら怖い話/見えない敵】

陽介(仮名)は、地方都市で一人暮らしをしていた。 彼の生活は平凡で、特に変わったことはなかったが、最近、彼は自分の生活に異変を感じるようになっていた。 最初は些細な違和感だったが、それが次第に彼の心に重くのしかかってきた。 ある朝、目を覚ますと、時計がいつもより数時間進んでいることに気づいた。 寝坊したと思い、急いで支度をするが、その日の予定をどうしても思い出せない。 「何か大事なことがあったはずなのに…」陽介はカレンダーを確認するが、何も書かれていない。不安を

良くある話?

 これは私が聞いた話です。  私は結婚式の記念動画を編集するアルバイトをしていました。結婚式の動画撮影を終えたとに、マイクの調子が悪かった所や撮影を失敗した場面などをカットしたり、音量の調整をしていました。早回しはできないので何時間にも及ぶ動画を目で確認しなければいけないので、なかなか大変な仕事でしたが給料が良いので続けていました。カメラは3台あり、手元のコントローラーで操作をするので荒い場面もあったりします。今回の動画もある場面でミスがありました。一瞬ですが砂嵐のようにな

【30秒で読める怪談】行方不明

私が小学生の頃の話です。 ある日、友達の雄一くんがこんなことを言い出しました。 「トウドウ突堤の横っちょに、浜へ下りていく階段があるだろ? あそこをずっと行くと、洞窟があって、お宝が埋まってるって。今度、探検しようぜ」 「トウドウ突堤」というのは、「東堂」というかまぼこ工場近くの突堤で、私たちがたまに海釣りをしていた場所です。 確かに階段があって、下りたことはあったのですが、洞窟を見た覚えはありません。 そんな噂を聞いたこともありません。 みんな、「へー」という感

軋む(創作) ーリライト版ー

だって、何度もぶつけてきたから・・・・。 あっさりと落ちていくものだと思った。 成績にはわりと自信があったんだけど、自分で思ってたほど大したことはなかった。 中学入学からほどなくして、僕の天狗の鼻はあっさりとへし折られた。 最初のテストの順位は「下の上」。 叩きつけられた現実に、すぐに僕は対応しきれなかった。 僕は好成績が唯一の拠り所だったりしたから、一気にあらゆることへの自信を失くしてしまった。 何事も億劫になってしまい、学校でも家でもほとんどの時間を寝て過ご

【怖い話】昨晩はどうも

大学の同じ研究室のやつが、ここ2週間くらい不審者に家をピンポンされてるから、今晩家飲みに来てほしいって言うんですね。 おう、いいよって言って、どうせなら追い返してやろうぜって意気込んで計4人でそいつの家に行きました。 0時を回ったあたりで、ピーンポーン、ってチャイムが鳴ったんですよ。 まずは敵情視察だな、ってのぞき穴から外を見たら、警察が一人立ってて。 おい!お前なんかしたのかよ!って慌ててたんですけど、その警察なんも喋らないんですよね。普通、開けてください、警察です

おんぶしてくれませんか

これは私が経験した話です。当時私は地元であるS県に住んでいました。高校2年生の頃、7つ年上の兄と一緒に近所の河原を散歩していました。私の地元には川が弐本流れていて、その真ん中に中土手がある作りになっています。 夏の夜、蒸し暑さの中私は兄とたわいのない話を交わしながら歩いていました。地元は、田舎というわけではないのですがそれなりに夜になると暗くなります。川の流れる音、風が吹くと近所の林が揺れて何かの声に聞こえてきます。少し怖くなり、緊張をほぐすように兄と大きな声で会話を続けて

霊感について

私には霊感があるらしい。って言うかある。 霊感があるとなんでわかったかというと、母からのあるひとことである。 自転車に乗り、いつもの道とは違う道をおかぁさんの運転にうとうとしながら揺られる最中に言われた一言。 なぜ、その言葉を母がこのタイミングで呟いたのかは定かではないが、、。 桜きれいだね。そこには満開の桜が咲いていてきれいだった。 どんどんスピードを上げて走る自転車の荷台で母の一言 なんで、桜ってあんなにきれいに色づくとおもう? わたしは、答えがわからず、母

誰か教えてください

これは私がインターネットで読んだ話です。    「2007年・10月29日の午前1時半ごろにやっていたテレビ番組の詳しい情報を持っている方はいますか?急ぎお願いします。」  「内容は、何もない背景に目が真っ黒な女の人がずっとこちら見ているだけで、音はありませんでした。」  「それが5,6分続いた後突然女の人が笑ったり、こっちをのぞき込む?ような姿勢をとり、再び元の無表情に戻りました。瞬きは一回もしません。」  「最後のナレーションが(今夜彼女があなたの夢に出ます。)

【怖い話】靴

こういう風に長い文章を書くことがあまりないので、説明が下手だったり文才がないかもしれないです。分かりづらかったらすみません。 新卒で入社したのはN市のビジネス街から少し外れたところにある、小さな会社でした。 事務のおばちゃんが一人と中国人の社長、あとは色んな企業で経験を積んできた定年後のおじいちゃんが技術者として六人。 職種については少し特殊なので伏せますが、中国人社長による一種のベンチャー企業だと思ってもらえたらと思います。 慣れない社会人生活を過ごしていくなか、ふ

【恐い話】借りたはずの本

韜晦してください。 先日、ふと知人に借りっぱなしの書物があることを思い出しました。 今まで失念していた事に慚愧の念を覚え、直ぐ様連絡をし、彼との食事の約束を取り付けました。 当日、暫くぶりの挨拶も程々にして、長らくお借りしてしまって申し訳ない、と本を差し出しました。 すると、知人は「こんな本を貸した覚えなどない」と仰るのです。 いやいや、確かに貴方からお借りした筈です、と改めて見直したところ、 手にしていたのは、全く身に覚えのない、大層汚れた絵本でした。 なぜ、

彼は何を聴いたのか

これは私が知人から聞いた話です。  彼は西日本の田舎出身だったそうです。地元の高校に通っていた時、クラスメートから肝試しに行った話を聞いたそうです。 「あれは怖かったな。」 「もう行きたくないよ。」 と友人たちが楽しそうに話していたそうです。 彼は、卒業までの最後の夏を楽しみたいと特に仲の良い友人グループと肝試しに行ってみようと持ち掛けたそうです。   「高校時代最後の夏だしよ。せっかくだから肝試しに行かないか?」 いつものグループは僕を含めて4人組だ。ここで

ホラー系ショート動画完全攻略マニュアル!副業で稼ぐための究極ガイド

※当ページのリンクには広告が含まれています。 昨今、ショート動画プラットフォームの台頭により、クリエイターが多様なコンテンツを発信できる時代が到来しました。その中でもホラー系ショート動画は、視聴者に短時間で強烈な印象を与えることができるため、多くの注目を集めています。独特の恐怖感やスリル、そして時にコミカルな要素を取り入れた動画は、視聴者を引きつけるだけでなく、熱狂的なファンを生み出すこともあります。 副業としてのホラー系ショート動画制作には、多くのメリットがあります。ま

【恐い話】呪物

知り合いから聞いた話なんですがね 昔々、というほどでもない昔に巷で変な新興宗教が流行ってると教えてもらったんです いわゆる淫祠邪教 まあ、そんなもの大概変じゃないか、と思われる方も多いと思いますが そりゃあもう、輪をかけて変だったそうで あ、私の滑舌が悪く聞き取りづらかったらすみません なんせ歯が何本かないもので、へへ なんでもそちらの信者の方たちは、「穢れ」を集めていたらしいんです 穢れ、とは一体何ぞやという話になってくると思いますが 何かの本で読んだのか、

【30秒で読める怪談】飲み屋横丁

先日のことです。 飲みにいきました。 いわゆる「飲み屋横丁」です。 せまいエリアに数十、場所によっては百以上もの飲食店がひしめいている路地。 そんな定義が当てはまりそうです。 私はお酒を飲まないので、その手の場所とはまったくと言っていいほど縁がありませんでした。 でも、その日の仕事終わりに、たまたま高校時代の友人と会って、「ちょっと飲みいこうよ」となったわけです。 数年ぶりに会った友人の誘いを断る理由はありません。 2人つれだって、近くの飲み屋横丁へ行きました

【怖い話】ばあちゃんのお経

一年前くらいにじいちゃん死んだんだけどさ、ばあちゃんが結構塞ぎ込んじゃって。 毎日朝のお経を欠かさないんだけど、未だに肩震わしてるのよ。 良い関係の夫婦だったんだな、とか思って。 俺もばあちゃんが生きてる間に嫁見つけて、あわよくばひ孫の顔くらい見せてやりたいよなとか考えちゃうんだよね。 ある日の朝もお経唱えてるのが聞こえてきて、ばあちゃん朝飯食おうよって声かけようと仏間に行ったらさ、 「観自在菩薩行深般若波っ、羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異っ、空空不異色

【お詫び】該当作品の削除につきまして

日頃はシン・洒落怖をご拝読頂きまして、誠にありがとうございます。 noteとカクヨムに投稿していくうちに、少しずつではありますが、スキやコメント、フォロワー様も増えてまいりました。とても喜ばしいことでございます。 SNS全盛期とも言える現代社会における可処分時間の消費方法において、依存性中毒性すら持ちうるショート動画を筆頭にした受動的娯楽を差し置いて、オールドスクールかつ能動的な「文章を読む」という選択をしていただけた事に、一介の読書好きという観点からも感謝の念が尽きませ

【恐い話】角の花束

とある会社帰りの平日、最寄り駅から家までの道で無性に煙草が吸いたくなり、行儀の悪いことですが人目につかない路地に入り込んで紫煙をくゆらせながら歩いてみることにしました。 このご時世ではなかなか見ないであろう、歩き煙草です。場所によっては過料も取られるそうですからとんと目にしなくなりました。 すると、曲がり角にまだ草花も新鮮で目新しい花束を見つけました。 そうか、どなたか亡くなられたような事故があったのかな、と少し立ち止まり、心の中で数瞬黙祷を捧げました。 すると 「

【怖い話】アイサツ

よく行くコンビニの店員に片足が不自由なおばちゃんがいて、気にかけてるというか、気になってしまっている。 偏見ではないんだけど、たとえば一つおかしなところを見つけると、他のところまで変な部分を見つけてしまうようなことってあるじゃん。 最初、俺は足が不自由な人なんだ、でそのおばちゃんを覚えてしまったんだけど、次第に足のことよりも独特な喋り方が気になってきた。 それは「いらっしゃあいませえ」のイントネーションとか、「レジ袋はご入り用ですかあ」の濃淡のない語尾とか、「ありがとう

【怖い話】山観音

地元の友達Hくんから、昔不気味な事があったって聞かせてもらいました。 軽音サークルで同じバンド組んでたNってやつに聞いて欲しい話があるって持ちかけられて。 2年生の頃だったかな。モラトリアム真っ盛りだったから、そりゃあもう無敵な訳よ。 だから相談事なんて、金か単位の為のレポートか女の3択だよね。 だから、おん、どうしたって返事したら、 「困ってるわけではないんだけどね、ちょっと不思議な事が起きててさ」って言うのよ。 え、なになにって食いついたらさ、 「五百円玉貯金が

【怪談】母の体験談

これは私の母が体験した話です。 何年も前、引越しを考えており ネットで一軒家を見つけました。 近くだったので車で向かい 一軒家には売家という看板。 車を降りて窓から家の中を覗き 内装を見ていると 風邪のひき始めの様な寒気がしてきました。 もう帰ろうと車に乗り 自宅まで戻りました。 帰る途中、母の後ろに 母の友人の旦那さんが車で走っていました。 友人の旦那さんに気づきながらも家につき その頃には寒気と吐き気までしていました。 すると友人からメールがきて 友 「今

【怖い話】八角堂

地元に八角堂って呼ばれてる建物があったんですけど。 上から見るときちんと八角形の形をしていて、それで八角堂って呼ばれてたんだと思うんですけど、本当の名前は誰も知りませんでした。 Googleマップにも名称は載ってないし、なんなら用途も一切不明の、まるでトマソンのような建築物でした。 八角堂自体は簡素な作りで、何もない敷地にポツンと佇んでいるんです。 入口は正面に一つと、反対側に一つ。飾りや意匠が凝らされている訳でもなく、寺や仏堂だと言われればそう見えるけど、言われなか

【短編】私と一緒に ♯2000字のホラー

正直に言う。俺は緊張していた。 恋人の家に足を踏み入れるのは初めてだ。 付き合ってから、もう1年以上も経っている。俺の家には何度も来てくれているのに、相手の家に呼ばれたことはなかった。 「あれ?そうだったっけ?」 自分がここに来るのは初めてだと口にすると、彼女は口元に手を当てて、記憶をたどるような仕草をしてみせる。その様子を見ると、自分以外の男は来たことがあるんじゃないかと勘繰ってしまう。 「その辺りに座って、楽にしてて。今、お茶入れるね。」 そう言って通されたワン

【恐い話】宙弧、あるいは狐松明

凡そ菌糸やリンによる発光、または天然石油からの発火、ボールライトニング現象で説明が付くとされる狐火という現象ですが、果たしてこれを目の当たりにしたことのある人はどのくらいおられますか。 山に連なる長蛇の青白い怪火。 種々の文献で斯様に表現されること数多き妖怪現象を、単に化学反応の結果と締め結ぶのはあまりにも情緒がありませんね。 現に私は、狐火を体験したことがございます。 あれはもう二十数年前になります、大学二回生の時分でした。 当時、冬の海辺に流木を寄せ集め、焚き火

【怖い話】テント∶嬌声と明滅

迷い家、ヤマノケ、こだま、山童、天狗など。 少し思い巡らすだけで山にまつわる怪異について例を挙げるのは容易いです。 もちろん僕がオカルト好きだというのもありますが、きっと日本人に於いて山という大自然の具現的存在は、富士山に霊峰と冠し呼ぶ事からも、やはり神聖性を含むオカルティックな一面を有しているのでしょう。 そんな山で、少し不思議な体験をしたので、筆を執ります。 陽射しが皮膚を貫いて深部体温を直接引き上げるような、八月のお盆初めのことでした。 学生時代から登山が趣味

【恐い話】水子供養

カクヨムなどのWeb小説媒体で、ホラー作品を執筆している知人から、自身の経験を基にした短編を寄稿していただいた。 クリエイターが自身の作品を我が子のように可愛がる、というのは、こうして筆を執りはじめてから痛いほど分かるようになった。 手間暇かけて心血を注ぎ生み出した作品というのは、腹を痛めて産んだ子の如く、何物にも代え難い程に愛しいし、いいねやコメントで評価を受ければ、自分が褒められたというよりも我が子に共感を持ってくれた優しい人がいることに喜びを感じているような気さえす

【恐い話】川の畔で

俺、床屋とか美容院とかまじで嫌いなのよね。 なんでかって言うと、唯一体験したことがある変な話に関わってくるんだけど、聞いてくれ。 たぶん小学生の高学年くらいだったと思う。 年末にばあちゃん家に遊びに行ってて、置いてある漫画も読み尽くして、1日1時間ルールのゲームもやっちゃって、あーやることないなーとうだうだしてた。 ばあちゃん家は田舎で、水が綺麗で有名な川の流れる城下町だったから、至る所に水路とか井戸とかあって、よし、そこに葉っぱでも流して追いかけるか、って思い立った。

【恐い話】虫食い

何年か前に合コンで知り合ったAさんから聞いた話。 話のネタが尽きていくうちに、なぜか皆で怖い話をするノリになった。 小さいおっさんを見たことがある、というベタな彼女の発言に「天然狙いか?」と少し冷めた覚えがある。 しかし、それは僕が知っている小さいおっさんの何倍も薄気味悪く、不可思議なものだった。 彼女が小学5年生だったとき。 もうすぐ夕方になる時間、一人で通学路を歩いていたそう。 大きな国道から、一つ通りに入っただけで静寂が支配する住宅街になる。交通量も格段に減

【怖い話】教えてくれない

俺の母方のばあちゃんの血筋が、所謂霊感のあるタイプらしい。 俺の叔母はばあちゃんの家に住んでるんだけど、この家には絶対座敷童子がいるって昔から言ってる。 よく皿がテーブルの上を滑ったり、とてとてっと足音が聞こえるらしい。 そんなばあちゃん家での話。 血筋を半分受け継いでるからなのか、それとも場所のせいなのか分からないけど俺も二度だけ幽霊らしきものを見たことがある。そう、ばあちゃん家で。 一度目はかなり小さいとき。 クリスマスの集まりか、正月の集まりかは覚えてない。

【恐い話】交差点

知人のNさんから恐い話を仕入れたので、と連絡があり、喫茶店で一服しながら話を聞かせてもらう事にした。 Nさんの友人は、会社までの最短経路のために、毎日とある交差点を通るそうだ。 その交差点とは、周囲の住人曰く、地縛霊が居着いており事故が多発するとの事だった。 単純に見通しが悪いだけだと思うが、絶えず手向けられている花束が、交差点で起こる事故の絶えないことを知らしめていた。そのことは彼も重々承知していたから、いつも細心の注意を払って進入することにしていた。 ほんの先日にも

【怖い話】紫色の屋根の家

住んでいた町の一角に、紫色の屋根の家があった。 2000年代、まだ様々な遊具が危険視され撤去される前。 その家の隣にあった公園を、僕たちはむらさき公園と呼んでいた。 むらさき公園には、子どもの遊び心をくすぐる遊具がいっぱいあった。 ブランコやジャングルジムはもちろん、コーヒーカップのように回転するものから、はたまた巨大な海賊船を模したヴァイキングのようなものまで。 僕たちにとっては無料の遊園地だった。 小学校低学年の頃だった。鼻水を垂らして、靴底をすり減らして、冬

ショートショート楽しい

 長編を書こう書こうと思いながら、ついついショートショートに手を出してしまう病気にかかってしまいました。  というわけで、また新しい作品を投稿しました。読んでいただけたら喜びます。  この間、知り合いから実際にこういうことがあったという話を聞いて、それを元ネタにしています。最後のオチは自分でつけ加えましたが。  あーそれにしても、なんで長い話が書けないんだろう。  例えば、10万字の話を書くと決めたのなら、そこから逆算して一日2000字をノルマにして、50日かけて全体を仕

【怖い話】パーティに入ってきたやつ

この前Apexやってたときにさ、変な奴がパーティに入ってきたんだよな。 あれって三人一組でチーム組んで、最後まで生き残るゲームなんだけど、フレンドと一緒にやらない場合は一人ぼっち同士の、いわゆる野良と組まされる訳。 そんでそん時組んだ野良から、チャットが飛んできてさ。 「ふとひろじゃんw」 ふとひろってのは俺のゲーム内の名前ね。 俺はどのゲームでも大体同じ名前使ってるから、最初は別ゲーのフレンドかな?と思ったのよ。 でも相手の名前に面識全く無かったから(確かApex

Re: 【小説】DOPPELGANGER

 冬至を過ぎても夜は早い。  仕事を終えたエイジはマンションの内階段を上がりカラフルなキーケースの鍵で油分の足りないドアを開けた。  帰宅するまでが労働だろ、通退勤にも手当をつけて欲しい。  叶えられない願いとともに玄関に散らかった自身の靴をいくつか蹴りとばすと、フローリングの床を滑るようにすり足で進んだ。  ただいま。  電気をつけると暗い部屋に積みっぱなしの疲労がソファだとかベッドの下に隠れた。  多忙とは言え掃除の手を抜いている床は細かいゴミが散らばっていて、何を踏む

帽子

私と母は、祖母の家に住んでいた。 忙しい母に変わり、祖母はよく私の世話をしてくれていた。 祖母は世間一般のイメージする「優しいおばあちゃん」とは違い、少々厳しいところがあり、私が成長するにつれ衝突する事も多くなっていった。 祖母と喧嘩した日は、決まって壁に掛けている私のお気に入りの帽子が床に落とされていた。 わざわざ私の部屋に入り、落としているのだ。 随分と陰湿な事をすると、私は腹が立ちつつも、反応するのも面倒で黙って帽子を元の位置に戻していた。 中学に上がると、祖母は

ホラーショートショート『ある祭壇について』

登山が趣味の฿さんから聞いた話。 ฿さんは、毎週末に同じ郊外の山のハイキングコースを歩くことを習慣にしていた。街中の自宅から私鉄で30分ほどの山だ。 ある週末、いつもと同じように、登山口の最寄り駅から駅前の寂れた商店街と小さな住宅街を抜けていくとき、変な男に出会った。 男は一見すると、風景写真家のようであった。大きな三脚に、これもまた大きく高価なカメラを乗せ、角度や露出度などの設定をしているようだった。 しかし、その場所がおかしかった。 住宅街の橋、何の変哲もない谷

短編1000文字 | Kabushiki外車の音、あるいは、株式会社のおと

 私の名は亜希子。28歳、職業AV女優。大学院博士課程を満期終了したが、ドクター論文は書かずに退学した。  外資系金融機関への就職は決まっていたが、右から左へ金を動かすだけの仕事には興味が持てず、入社3日目で退職した。  いつも学業成績はトップだった。特に努力したわけではないが、乾いた砂に注いだ水のように、あらゆる知識を苦もなく吸収することができた。  私は頭で生きているわけじゃない。身体を持つ女だ。しかし、頭が良い女は男に敬遠される。人並みに恋をしたが、抱いてくれる男はい

ホラーショートショート『足』

これは私の友人が大学生の頃に体験した話です。 彼は当時大阪の郊外の、××台と名のつくような、高台の斜面に切り開かれた住宅街にある実家に住んでおり、そこから電車で大学に通っていました。 駅からは歩けば25分、バスで10分ほどの場所にある閑静な住宅街で、お店はその住宅街の一番下にあるスーパーマーケットのみでした。 ただ彼は、高校2年の時に家族でその地区に家を建てて引っ越し、普段の移動もバスや車で、買い物なども家族で車で市街地の方へ行っていたため、地区の他の場所、そのスーパー

同じ顔の男に追われる恐怖物語

『吉田だらけの呪いかな』 「あれ?あいつ…」 僕は目を疑った。 喫煙所で一人タバコを吸っている男は、友人の吉田のようだった。 同じ髪型、同じ顔立ち、同じ体型。 でも違うはずだ。 吉田はタバコもスーツも嫌っていたし、そして何よりこんなところに彼がいるはずがない。 僕は気になって近づいてみた。そして恐る恐る声をかけた。 「すみません…」 男は僕に気づいて振り返った。 その瞬間、僕は息を呑んだ。 男の顔は完全に吉田だった。 「あなた…吉田さんですか?」 僕は思わず聞いてしま

[ホラー小説]旧校舎の幽霊(2341文字)

僕はとある中学校に通っていた。そこは何年か前に校舎を移転して、旧校舎は今もなお残っている。 「うぐっ…! かぁ…ぐはっ!」 僕は今、人生最大のピンチを迎えていた。朝は普通に授業を受けていたのだが、2時間目ぐらいお腹が痛くなってきた。 「うぐっ…! 昨日食べすぎたのかな?」 トイレに行くことにした。すると何人かトイレでオシッコをしている人がいた。 「こ、こんな時に限ってクソォー!」 「なんだあいつ?」 この状況で男子がトイレの個室に堂々と入るというのはかなり勇気のい

台風だし、古着の事でも書いていこうか

タイトル通り台風14号ことナンマドルさんが我々の街に訪れているという事なのでnoteを書いていこう。 今夜は爆風。きっとみんな暇だろう。そんな皆様に僕の思想的文書をプレゼントしようではないか。 本当はこの内容は1か月前の買い付け中から考えていたのだけれど、買い付け後というのはアドレナリンというかなんというか、大金を投資した後の焦りというかなんというか、、 何度か書く事を試みたんだけれど、too strongな奇怪文章になる予感しかしなかったので冒頭まで書いて消したりして

真砂寮

 某機構に夏期実習生として来た僕に用意された仮住まいは,研究所から歩いて十五分ほどのところにある独身寮だった.  四つの棟が往来に対して垂直に並んでいて,僕は四棟の3階の一室に案内された.部屋は机と椅子,ベッド以外何もなく,微かに木の匂いがする.僕は管理人から一通り説明を受けたあと,黄色い札のついた鍵を受け取った.管理人は蒼白い顔をした背の高い坊主頭の男で,黒縁の眼鏡をかけている.  寮はずいぶん古いものらしく,至るところが老朽化して,壁は長い亀裂が走っていたり,抜け落ちたり

こわいもの/end user

 これは『現代のホラー』をテーマにしたショートショート。題名を入れずにきっちり2000文字。noteと文藝春秋さんの企画だそうで、そういうのちょっと楽しそうだなあと思って書きました。その下はちょっとした雑文です。 『題:end user』 『所有する』ことはその所有をある期限まで、ないしは半永久的に維持することだ。常に同じ状態を保つかそれ以上、上向きでなくてはいけないはずだ、でも僕等の暮しているこの世界はどうだろう。未知の感染症が世界を席巻し、予測の範囲を超えた自然災害、

皆を撮影したら恐ろしいものが映り集団パニックを経験した話

あの時の事に至っては、「呪い」などというものではなく、誰にでも起こりうる事だと思う。 ある日、創作ダンスをする事となり、先生がダンスに自信のない者たちを集めて事前に特別練習をしてくれる事となった。 まずは楽しむことが重要であり、おのおの感じたままに好きなように動けと、先生はクラシック音楽を流し、それを録画した。 我々は曲に合わせ一斉に動き出したが、表情が硬かったのか先生は皆に笑うよう指示を出した。 曲を止め、録画を皆で確認する事となった。 再生ボタンを押すと、そこには無

便利言葉が奪う日本人の力

見えない世界から相手を攻撃していくのは、本当にじわじわと長期的にやっていきます。 一見ダメージがあるのかと相手は思うようなケースもあります。 しかし、長期的に見れば絶大な効果を発揮します。 カレンダーもそうですけど、言葉なんていうものも典型的な手段と言えるでしょう。 たとえば、変な言葉を流行らせていくわけですが、悪い波動の言葉を流行らせることができれば、それを多くの人が連呼することで自然にその国を堕としていくことができるのです。 流行らせるためには、使うのが簡単であり、

ショートショートを書いた

 昨日から、ショートショートを2本書いて公開しています。  ホラーというか、不思議系の話かな。  実はこの2本の話は、表裏の関係になっています。  前者が「異常な世界にいると思っていたら、実は異常なのは自分の方だった」というオチになっているのに対し、後者は「自分が異常なんだと思っていたら、実は世界の方が異常だった」というオチに帰着しています。  どっちもラストでひっくり返すんですけど、落とし方が真逆の構造になっているのが面白いなと自分でも思っています。  さてと、ショート

彼が話していた。

彼は苛立っていた。 だが、考えることに注力するにはあまりにも暑すぎる。 今日は、八月。 何日かなんて気にすることではない、ただの八月。 彼は、とても小心者であった。 泣き虫でもあったが、今では、ぶたれても涙一つも出ないであろう。 成長したんじゃない、麻痺したんだ。 彼は、もう普通の人が持つ気持ちを失っていた。 彼に、彼女が出来た。 彼女は彼の事を心から愛していた。 しかし、彼女が知っていたことは彼から告げられたことだけであった。 すなわち、彼は彼女の事を安心させたかった、

優秀作品は文芸誌への掲載も。みんなで“現代版・百物語”をつくろう!投稿企画「#2000字のホラー」を開催します。

「WEB別冊文藝春秋」と共同で、ホラー作品を募集する投稿企画「#2000字のホラー」を開催します。 めざすのは“現代版・百物語”。集まった人たちで怪談を1話ずつ語る遊び「百物語」を、noteでみんなでつくってみませんか? 2000文字をめやすとして、「現代のホラー」をテーマにしたストーリーをまとめ、ハッシュタグ「#2000字のホラー」をつけてnoteに投稿してください。なお、漫画の場合は5〜20P程度をめやすとします。 集まった作品は、note運営事務局でピックアップしマ

冷奴

「ねぇ、どうしてこう寒いんかね。」 時たま、母は私の家に来ると、こう呟く。 「なんかね。すきま風でも入ってきてんだろうけど。」 「いや、窓だって閉まってるし。どっから入ってくんだろうね。」 そう言えば不思議だ。 私のウチは小さなワンルームで、夜になると季節を問わずベッドの脇からヒンヤリとした風が吹くのだ。 「なんか、嫌だねぇ。」 そう言われても、どうしようもない。 母は一頻り世間話を話し終えると、夜が更ける前に帰って行った。 私は、母のつぶやきを思い出してい

ホラーショートショート『狸の家』

K県K区在住のBさんから聞いた話。 Bさんが、いつものように夜遅くに帰宅しているとき、気まぐれでいつもの道の一本横の道を通った。妙に静かな道で、自分でいつもとちがう道を選んだのになぜか早足になってしまう。 よく知る道に合流するT字路に差し掛かる寸前、ふいに靴紐がほどけていることに気づいた。こんな場所でかよ、と思いしゃがんで紐を結んでいるとどこからか視線を感じる。 狸がいた。 置物だったが、その一匹の狸と思わず目が合ったような気がして「うっ」と声をあげてしまう。おそらく