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#歴史

「“歴史の宝庫”古都ダマスカス」世界遺産の語り部Cafe #34

「“歴史の宝庫”古都ダマスカス」世界遺産の語り部Cafe #34

今回の世界遺産はシリア🇸🇾の【ダマスカスの旧市街】についてお話していきます。

5000年の歴史を持つ古都

シリアの首都「ダマスカス」は、古の時代よりエジプト、メソポタミア、地中海地域を結ぶ交通の要衝で、少なくとも“紀元前3000年頃”にはすでに都市形成されていた中東最古の都市です。

ローマ帝国、ウマイヤ朝、オスマン帝国など、様々な国家に支配された歴史を持ち、その間も商業都市としての

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「絶景のモン・サン・ミッシェル︰巡礼者とフランス史の見届け人」世界遺産の語り部Cafe #33

「絶景のモン・サン・ミッシェル︰巡礼者とフランス史の見届け人」世界遺産の語り部Cafe #33

今回の世界遺産は、フランス🇫🇷の【モン・サン・ミッシェルとその湾】についてお話していきます。

“海上のピラミッド”


「モン・サン・ミッシェル」は、対岸の町アヴランシェの岸からおよそ5キロ、砂丘にそびえる花崗岩の山に築かれた修道院です。

「ブルターニュ」と「ノルマンディー」の境に位置する、サン・マロ湾に浮かぶモン・サン・ミッシェルの立つ岩山は、かつてケルト人によって「モン・トンブ(墓の

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「ヘプターキーに始まるイングランドと悠久のノルマン・コンクエスト」世界遺産の語り部Cafe #32

「ヘプターキーに始まるイングランドと悠久のノルマン・コンクエスト」世界遺産の語り部Cafe #32

今回の世界遺産は、イギリスの🇬🇧【ダラム城と大聖堂】に加えて、【ヘプターキーからノルマン・コンクエストまでのイギリス史】についてお話していきます。

城塞都市ダラム

イングランド北部、スコットランドとの国境付近にある「ダラム城」は、1072年に「ウィリアム1世」によりスコットランドの侵攻に備えて着工された、ノルマン様式を代表する建造物です。

ダラム城と同時期の11世紀後期、1093年に創建

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「失われた古代文字と結び付く最先端技術」世界遺産の語り部Cafe #31

「失われた古代文字と結び付く最先端技術」世界遺産の語り部Cafe #31

今回の世界遺産はデンマーク🇩🇰の【イェリング墳墓群、ルーン文字石碑群と教会】、そして【ロスキレ大聖堂】についてお話していきます。

3つの功績を祝福した“ルーン碑文”

デンマーク、ユトランド半島に位置する「イェリング」には、900年代後期に作られた2基の大墳墓がそびえます。

北側の墳墓はデンマーク最初の王とされる「ゴーム老王」の墓であると考えられていますが、一方で南側の墳墓については未だ詳

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「各地に伝わる洪水神話の符合性、および紐づく世界遺産について(後編)」世界遺産の語り部Cafe #30

「各地に伝わる洪水神話の符合性、および紐づく世界遺産について(後編)」世界遺産の語り部Cafe #30

今回の世界遺産は、カンボジアの🇰🇭【アンコールの遺跡群】、加えてイラク🇮🇶の【南イラクのアフワール:生物の避難所と古代メソポタミア都市景観の残影】について、洪水神話との関連と併せてお話していきます。 

↓前編はこちら↓

クメール人の栄華を物語る遺構

「アンコールの遺跡群」は、9〜15世紀にかけてインドシナ半島で繁栄した「クメール人」による都市遺跡です。

802年にクメール人が興して

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「各地に伝わる洪水神話の符合性、および紐づく世界遺産について(前編)」世界遺産の語り部Cafe #29

「各地に伝わる洪水神話の符合性、および紐づく世界遺産について(前編)」世界遺産の語り部Cafe #29

今回の世界遺産は、アルメニア🇦🇲の【エチミアジンの大聖堂と教会群ならびにズヴァルトノツの考古遺跡】、カンボジア🇰🇭の【アンコールの遺跡群】の2部作で世界の洪水神話についてお話していきます。

世界初のキリスト教国

「アララト山」の北にある「エチミアジン」は、アルメニアの首都エレバン郊外の都市です。

トルコとの国境であるアララト山の北部にあたるこの地域には、石器時代から鉄器時代にかけて古

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「ワルシャワ歴史地区と“テセウスの船”にみる同一性のパラドックス」世界遺産の語り部Cafe #28

「ワルシャワ歴史地区と“テセウスの船”にみる同一性のパラドックス」世界遺産の語り部Cafe #28

今回の世界遺産は、ポーランド🇵🇱の【ワルシャワの歴史地区】についてお話していきます。

不屈の精神で蘇ったポーランドの首都

ポーランド中部、ヴィスワ川に面した「ワルシャワ」は、“破壊と再生”の歴史を歩んできた都市です。

10世紀後半に統一国家のポーランドは成立、ワルシャワは1611年に首都に定められました。

ポーランドの国名は、ポーランド語で“平原”を意味する「ポーレ」が語源です。

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「レンソイス・マラニャンセスの神秘的景観と発見された“新世界”」世界遺産の語り部Cafe #27

「レンソイス・マラニャンセスの神秘的景観と発見された“新世界”」世界遺産の語り部Cafe #27

今回の世界遺産は、ブラジルの🇧🇷【レンソイス・マラニャンセス国立公園】と【トルデシリャス条約】についてお話していきます。

“シーツ”のような純白の世界

ブラジル、マラニャン州の「レンソイス・マラニャンセス国立公園」は、一面に広がる真っ白な大砂丘の景観が特徴的です。

レンソイス・マラニャンセスとは、シーツのように白く広大な砂丘から、ポルトガル語で“マラニャン州のシーツ (Lençóis M

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「古代遺跡の世界遺産とアレクサンドロス東征記(後編)」世界遺産の語り部Cafe #26

「古代遺跡の世界遺産とアレクサンドロス東征記(後編)」世界遺産の語り部Cafe #26

今回の世界遺産は、前回に引き続いて『アレクサンドロス東征記』に関連するイラン🇮🇷の【ペルセポリス】についてお話していきます。

↓前編はこちら↓

古代アケメネス朝ペルシャの都

「ペルセポリス」は、アケメネス朝ペルシャの最盛期、紀元前518年のダレイオス1世治世時代に建設された都市です。

古代ペルシャの皇帝たちは、季節によって新年にはペルセポリス、夏はエクバタナ、冬はバビロンの宮殿で過ご

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「古代遺跡の世界遺産とアレクサンドロス東征記(前編)」世界遺産の語り部Cafe #25

「古代遺跡の世界遺産とアレクサンドロス東征記(前編)」世界遺産の語り部Cafe #25

今回の世界遺産は、前編をギリシャ🇬🇷の【エゲ(現代名ヴェルギナ)の考古遺跡】、後編をイラン🇮🇷の【ペルセポリス】についてお話していきます。

本編は、敬愛する塩野七生先生による名作小説『ギリシア人の物語 III 新しき力』の内容を踏襲させていただきつつ、“アレクサンドロス東征記”とそれに関わりの深い世界遺産について、前編と後編に分けて語っていきます。

古代マケドニア王国の旧都



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「ハルシュタットの幻想風景に見る“ケルト的”ファンタジー」世界遺産の語り部Cafe #24

「ハルシュタットの幻想風景に見る“ケルト的”ファンタジー」世界遺産の語り部Cafe #24

今回は、オーストリア🇦🇹の世界遺産【ハルシュタット=ダッハシュタイン/ザルツカンマーグートの文化的景観】についてお話していきます。

“世界一美しい”と称される湖畔の街


オーストリア中央部に位置する「ハルシュタット」は、「ザルツカンマーグート地方」に位置するアルプス山脈に囲まれた湖畔の街です。

ザルツカンマーグートとは“良い塩の産地”という意味を持つように、この地は古来より塩の産地

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「不思議な“世界最小国”ヴァチカン市国が成り立つまで」世界遺産の語り部Cafe #23

「不思議な“世界最小国”ヴァチカン市国が成り立つまで」世界遺産の語り部Cafe #23

今回はヴァチカンの世界遺産🇻🇦【ヴァチカン市国】についてお話していきます。

“世界最小国”キリスト教世界の最重要聖地


ヴァチカン市国は、世界最小国として知られるカトリック中枢の独立国です。

イエス・キリストの1番弟子「聖ペテロ」の墓所があったとされるヴァチカンの丘には、壮麗な建築様式が魅力的な「サン・ピエトロ大聖堂」がそびえ立っています。

“聖ペテロ”の意味を持つサン・ピエトロ

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「“青の都”サマルカンドと鉄人ティムールの立志伝」世界遺産の語り部Cafe #22

「“青の都”サマルカンドと鉄人ティムールの立志伝」世界遺産の語り部Cafe #22

今回の世界遺産は、ウズベキスタンの🇺🇿【文化交差路サマルカンド】についてお話していきます。

東西の文明が交差する“青の都”

 
ウズベキスタン東部の「サマルカンド」は、「シルクロード」のほぼ中心に位置し、紀元前から東西文明が交錯する街として、繁栄を極めてきました。

「サマル」は“人々が出会う”、「カンド」は“街”という意味があり、その名の通り世界各地の文化が交錯する地点でした。
 

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「“建築王”ラメセス2世と世界遺産の黎明」世界遺産の語り部Cafe #21

「“建築王”ラメセス2世と世界遺産の黎明」世界遺産の語り部Cafe #21

今回は、エジプトの世界遺産🇪🇬【ヌビアの遺跡群:アブ・シンベルからフィラエまで】についてお話していきます。

プトレマイオス朝時代の古代遺跡群

エジプトのナイル川上流に位置するヌビア地方の遺跡群は、古代エジプトの新王国時代(紀元前1570年頃~前1069年)、プトレマイオス朝時代(紀元前340年~前30年)に建てられた建造物群です。

同時代に繁栄を極めた「ヒッタイト」、「バビロニア」に比類

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