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人生のガイドブック持ってますか? 生き方を整える52の視点とは(「ハーバードの人生を変える授業)

「これは言わば『生き方のガイドブック』。この先も何度も読み返したいな」

そんな気持ちを抱かしてくれる本を今回はご紹介します。実は随分以前にも読んだことがあったのですが、その時とは全く違うページで感銘を受けました。つまり、個人の中でも響くポイントが年月が変わると色々変わるということ。

長い人生の旅の手元に置いておきたい素敵な一冊です。その概要と、個人的に響いた箇所をいくつかピックアップしてご紹介します。

人生を変える授業

その本とはこちら。タル・ベン・シャハー氏の「ハーバードの人生を変える授業」です。

帯にはこんな言葉が。

『あなたの人生に幸運を呼び込む本 4年で受講生が100倍、数々の学生の人生を変え、ハーバードで最大の履修者がつめよせた「伝説の授業」、ここに完全書籍化!』

なかなかの打ち出し方ですね。めちゃくちゃ期待感をあおられますが、その期待に見事応えてくれる一冊です。

この本は冒頭でも触れましたが、人生の節目節目で読み返す本だと思います。何度も読みなおし、その時に心に響くことを実践して、考え方や行動を調整する。そんな生き方のガイドブック的な魅力があります。

ただ、こうした「生き方の指南書」的な本は世の中にゴマンとあります。その多くはスピリチュアル的なものだったり、宗教的ものだったり、正直胡散臭いものも多いです。

その点、この本にはそれが感じられません。なぜなら、この本の建付けが理論を学ぶための「授業」がベースになっているから。著者のタル博士はポジティブ心理学で有名な先生です。その著者がハーバードで行っていた授業がベースになっています。

「 世界最高峰のハーバード大学の正式な授業」、そして「学術的な裏付けがある」というところが、信ぴょう性を感じさせてくれます。ゆえに胡散臭さを感じません。

そして各章もコンパクトに4ページ程度でまとめられているシンプルな構成です。さらに各章のトピックスごとに「Think」「Action」という、問いや行動としてとり入れやすいティップスが書かれているのも好感を持てます。ただのお勉強ではなく、読者に行動変容を促し、結果「人世を変える」ことを目的にしているのが分かります。

非常におススメの一冊です。

幸福な人生のガイドブック

目次は下記ような内容です。ずらりと52個のトピックスを扱っています。1年は52週間ありますので、毎週1テーマずつ意識すると、1年経つ頃には良い思考と行動が身についているかもしれません。

扱うテーマは様々でマインドセットと行動の両方で人生を見直すきっかけをいろんな視点で与えてくれます。

1  感謝する

2  習慣化する

3  運動をする

4  仕事への考え方を変える

5  意義を見出す

6  思いやりの心をもつ

7  困難から学ぶ

8  すべてをシンプルにする

9  プロセスを楽しむ

10 理解し、理解される

11 失敗から学ぶ

12 完璧主義を手放す

13 価値ある行動をする

14 安全圏から出る

15 感情を味わう

16 一貫性をもつ

17 最高の瞬間をつかむ

18 長期的な関係をつくる

19 親切な行動をする

20 いいところを探す

21 「ありがとう」を言う

22 回復する

23 パートナーシップを築く

24 解釈を変える

25 子を育てる

26 これまでを振り返って

27 悲しみにうちかつ

28 期待をコントロールする

29 自分に優しくする

30 成熟する

31 本来の自分にもどる

32 「わからない」を受け入れる

33 嫉妬から学ぶ

34 内なる声を聞く

35 自分の感情を理解する

36 受け入れる

37 偉業を観察する

38 「ありがたい敵」をつくる

39 可能性を信じる

40 人を伸ばす

41 決断をする

42 安心できる場所をつくる

43 親密な関係をつくる

44 バランスをとる

45 お金を理解する

46 本当の目標を知る

47 天職を見つける

48 気持ちを切りかえる

49 深く根を張る

50 心をひらく

51 未来からいまをながめる

52 全体を振り返って

こうずらりと並べると、かなり多様なテーマを取り扱っていますね。この中で、私が個人的に刺激を受けたものをいくつかご紹介します。

感情を味わう

私達は子供時代から大人になる過程で感情を隠すことを教えられて育ってきています。特徴的なのは「男だったらメソメソしない」という一言。親から言われたことがある人も多いのではないでしょうか。

こうした子供時代から身につけた「感情を抑える」という考え方を変えるのは難しいですよね。でも本書では「できるだけ感情を表に出す機会を持ってください」と説きます。

自分が感じていることにしっかりと向き合うことで、辛い感情をも解放できると言います。この「しっかり向き合う」とは「何事も変えようとせず、あるがままに見る」ということ。

つらい感情に焦点を置き、開かれた心で受け入れ、しっかり味わうことで、つらさを解消することができると言います。

感情が湧いてきたら、変えようとすることなく、その気持ちに浸ってみる。

感情を理解したり、変えようとしたりするのではなく、あるがままに受け入れ、その感情に寄り添うようにする。このことを本書では「人間らしさを受け入れる」と表現しています。

そして、この章ではこんな言葉が添えられています。

「思い切り泣けない人は、思い切り笑うこともできない」
(イスラエル元首相 ゴルダ・メイア)

なるほど、素敵な言葉ですね。本当にその通りだと思います。先日、下記の記事を書きました。自分の感情とどう向き合うのかという記事です。

この記事では感情を「モンスター」と表現し、そのモンスターと「戯れる」ことの重要性を書きました。これは正に、感情を受け入れるということですね。それはひいては「人間らしさを受け入れる」ということだと思います。

解釈を変える

我々はある出来事に遭遇した時、感情が芽生えます。この「感情」はどこからやってくるのでしょうか。

 出来事 ⇒ 感情

こう考えがちです。しかし、本当の所は出来事からダイレクトに感情が芽生える訳ではありません。正しくは、間に「思考」が挟まっています。

 出来事 ⇒ 思考 ⇒ 感情

この考え方のベースには、「人は出来事そのものに対して反応するというより、その出来事への自分の解釈に反応する」という認知療法の基本的前提があります。

つまり、自分の感情をコントロールするにはその手前にある思考(解釈)をコントロールすることが重要ということですね。

本書では不安な感情に対処するのに役立つ方法の一つに、PRP法という手法が紹介されています。

PRP法
・P(Permission):自分自身が人間であることを許すこと
・R(Reconstruction):状況を再構築すること
・P(Perspective):広い視野から見ること

このP、R、Pの3つのステップを踏みながら思考する手法です。自分が人間であることを許し、起こった出来事とそのときに感じた感情をあるがままに認め、出来事がもたらしたよいことは何かをじっくりと考えて、最後に一歩引いて、その状況を広い視野で眺めてみるというメソッドです。

この手順はどこからはじめても良いし、行ったり来たりしても良いです。我々は人間です。色んな感情を持って当たり前です。そこをまず認める、許す。そして、広い視野で物事を見て、解釈する。

この手法のポイントはR(Reconstruction)だと思います。Re-construction=再ー構築ですね。つまり解釈しなおすということ。あるネガティブな感情が芽生えても、解釈次第で別の見方もできる。そこから別の感情にスイッチすることができます。

自分の気持ちをコントロールするのにとても有効な手法だと思います。

バランスをとる

人生のライフステージが変わるとそれまで合っていた歯車が合わなくなることがあります。仕事をバリバリ頑張っている20代と、結婚し子供が生まれた後の世代では生活の中で優先することが変わってきます。

しかし時間は1日24時間。優先するものが変わるにつれ、したい事をする時間が持てなくなることも。そうなると、職場や家庭でイライラが爆発し、ストレスがぬぐえない生活をおくることにもなります。

そんな時は、したいことをすべてしようとするのではなく、大切な分野の中で、どの程度の活動が「ちょうどいい」のかを考えることが重要です。

完璧主義者であることを捨て、最善主義者になることを本書ではすすめています。

理想ばかり追い求めるのではなく、そこから少し緩めた「ちょうどいい」というモノサシを採用することで、実はよりエネルギッシュになり、物事に集中できるようになります。

そのためには「すべてを追い求めない」というマインドセットと、「あきらめること」を決めることが重要です。

以前、ピックスリーという考え方の記事を書きました。この考え方は正に「ちょうどいい」を求める考え方です。すべてを求めない。アンバランスを許す。それが長い目で見てバランスを保つことにつながります。

「理想」と「ちょうどいい」の2つのモノサシを持っておくことで、自分を追い込み過ぎず、心地よいレベル感で活動できるのではないかと思います

まとめ

今回は「ハーバードの人生を変える授業」を取り上げました。この本で取り上げられている52のテーマは誰しもが必ず関心を持てるテーマが含まれています。

そして、同じ個人でもライフステージが変わったり、生活環境の変化、価値観の変化で、異なる箇所が心に響くこともあります。

そういう意味で、人生の節目で都度読み直し、「生き方を整える」のに役立つガイドブックのように思います。

今回取り上げたのは、ごくごく一部です。関心のある方は是非実際に手に取って、ご自身の関心のあるテーマに向き合ってみると良いのではないかと思います。

今回、改めて思ったのは「人間は一度できても同じ過ちを犯す」ということです。本書の著者は心理学の権威の方ですが、心理学とは人間が本能的についつい持ちがちな心理をベースにしている学問。

つまり、取り上げられている52のテーマは「放っておくとできないこと」ばかりを取り上げていると言ってもよいでしょう。そして、一度意識しても、また元に戻ったり、なかなか徹底できません。ゆえに、何度も意識をして行動を変える、習慣をつくる、といった対処が必要なのだと思います。

「自分は大丈夫」と思わずに、フラットな素直な目で本書と向き合ってみてはいかがでしょうか。より良く生きるヒントがきっと見つかるのではないかと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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