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定食屋さん

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食を通じて感じたこと
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冬の始まり サイゼリヤ

冬の始まり サイゼリヤ

昨日は出張だった。
片道3時間。
帰る途中で日も暮れた。
薄闇の中、運転する。
…たまらなく寒い。
昨日から急激に冬の気温になった。
手先が冷え、身体全体がこわっていく。
空腹も拍車をかけて、体温を下げる。
まずいなぁ。
と思っていたところに、
『サイゼリヤ』の看板。
救われた…!
迷わず入店することにする。
冷たい風に、縮こまりながら急いで店内へ。

店内はオレンジの明かりに包まれ、暖かく感じた

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三方良し

三方良し

金曜日、夜21時、
定食屋さんへ行った。
久しぶりのおひとりさまにワクワクする。

夜ご飯のピーク時間を過ぎたからか、
店内は、仕事終わりであろう男性たちばかり。カウンターにずらっと座って、黙々と定食を食べている。
バラエティ番組と気のいい店員さんの声だけが響く店内。
この疲労感がうっすら漂う、"食べる"ことだけに集中できる感じが好きだ。

ガッツリ食べたい気分。
今日は夜に滅多に食べない揚げ物に

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お翼けお涙いらないの

お翼けお涙いらないの

校長先生から放課後にお話。
「今年度は専科で、一人だから寂しい思いをさせてるよね。大丈夫?ごめんね…」
と。

その通り。分かり切ったことを聞かないで欲しい。
悪い方じゃ決して無いのだが、『それでも私を選んだのは貴方ですよね?』という暗い感情が頭をもたげる。
学年部で皆さんが動いている中、入りづらく思うこと。
生き生きと活躍する同期や後輩と比べて、感じてしまう劣等感や羞恥心。
私なんて居なくてもい

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平日休みの日は少し遠出したい

平日休みの日は少し遠出したい

今日は珍しく平日休みの日だった。
平日にできることをしておかないと!
朝から張り切ってやるべきことを書き出す。

・病院に行く
・銀行に行く

…これだけじゃ味気ないな。
折角の平日休みだし、何か行きたいところ無かったかな?

そうだ!いつもは行列で泣く泣く諦めるカレー屋さんに行きたい!

ということで、やるべき事を午前中に済ませて車でカレー屋さんへ。
ちょっと遠いけれど、ラジオ2本分の距離と思え

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置かれた場所で咲く花に

置かれた場所で咲く花に

今日は、コメダ珈琲でモーニングをするって決めていた。
たっぷりサイズの珈琲を頼んで、ゆっくり考えたいことがあったから。



来年度は担任外になるかもしれない。
なんだかんだ言いながら、教員の仕事が好きだし、教員であることに誇りを持ってる。
特に担任として、一番近くで子どもたちの成長を見守れることに大きな魅力を感じてきた。
だからこそ、この人事に傷ついた自分がいる。
戦力外通告ってこと?私は必要

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休日の朝が好き

休日の朝が好き

今週は珍しく何も予定の無い週末。
平日の朝はあんなにうだうだ布団の中に居るのに、今朝は6時半にはスッキリ目覚められた。
やっぱり休日の朝が一番好き。

彼と会う土曜日の朝も楽しみだけれど、準備と彼の住む町へ向かう運転で一瞬にして過ぎ去ってしまう。
その点、1人の休日の朝は自分のやりたいことだけで埋め尽くせる。

平日、帰ったらバタンキューでなにも出来ない。寝に帰るだけ。
その分、家事は土曜の朝にす

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食べる 笑う 生きる

食べる 笑う 生きる

「ただいま。」
仕事から帰り、誰もいない部屋に向かって声を掛ける。
今日はちょっと授業が上手くいった。
いつもは帰って一人反省会鬱々タイムを過ごすことが多いけど、今夜は珍しくご飯を作りたい。自分にご褒美だ。

かぼちゃと人参たっぷりのクリームシチューにしよう。
一口大に切った鶏もも肉、玉ねぎをバターで炒める。
くたっとなったら、レンジでチンした人参とかぼちゃを入れる。
コンソメの代わりに、魔法の調

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料理の中の機微

料理の中の機微

料理の中に存在する様々な機微。
炒めるうちに水分が抜けてパチパチと跳ねる油の音。
じっくりことこと煮た時の、ふわっと出汁が香ってくるあの優しい瞬間。
揚げ物をしている時の衣が狐色に変わりゆくのを見るわくわく感。
糠床を混ぜている時、手に当たるふんわり柔らかな糠と瑞々しい野菜の感触。
それらの繊細な機微を愛おしく思う。

「手を入れるほど素材の味は落ちる」
という言葉を聞いたことがある。
あれもこれ

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一人が好き。でも独りは嫌。

一人が好き。でも独りは嫌。

A型あるあるでよく聞くタイトルの言葉。
言い得て妙だな。
私は「おひとりさま」が大好き。
一人居酒屋、一人映画、一人旅行。
休みの日ぐらいは一人にしてほしい。

人と会うと、帰った後の自己反省会がしんどい。あの時言った言葉は、嫌な思いにさせていないだろうか?あの子に比べて私はなんて駄目なんだろう…etc
一人でいれば自分を嫌いになることもない。

でも、独りぼっちは嫌なんです。
誰もいない家の中に

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手に入れられなかった物は必要ない

手に入れられなかった物は必要ない

また一人、私の元恋人が結婚をした。
彼は、一番私の家族のことを理解してくれていた人だった。付き合う人に口煩い母も彼だけは唯一気に入っていた。



彼の家は両親が幼い頃に離婚し、
お母様も外国の方。身よりもない中の一人で子育て。お母様もさぞ大変だっただろうと思う。
彼も小さい時から苦労していたそうだが、自分で一生懸命努力して大学まで奨学金で通っていた。心から尊敬できる人だった。



大学の頃

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不器用な人

不器用な人

私の母は不器用な人だ。
自分の思いを言葉にするのが苦手。
弟や父と喧嘩すると、物に当たり、あらゆる罵詈雑言を吐き散らかす。
喧嘩した後はひたすら無視。
父とは今、3年以上まともに話していない。
そして、家事を放棄する。長い時で数ヶ月。
子どもの時から、そんな母の地雷源を踏まぬように細心の注意を払って生活してきた。



ある日、弟と母が喧嘩した。
弟が悪い部分もあるが、そこまで?と思わされる剣幕

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「手」を感じるご飯

「手」を感じるご飯

一人暮らし。
仕事が終わったあと、冷たいコンビニご飯を黙々と食べる。
…味気ない。
詰め込むだけの惰性飯。
作った人の「手」が思い浮かばないような食事。
そんな時、昔のことを思い出す。



小学生の時、
母に1000円を渡された。
「これで何か食べて来て。」
お金を渡されたのは初めてで、不安で胸がぎゅっと掴まれたような気持ちになった。
「どうしよう…?」

母は、父と喧嘩するといつもそう。

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一隅を照らす

一隅を照らす

今日も今日とて定食屋さんへ

WBCが放送されていた。
「あっ野球だ!」
と呟いた私に、
「野球好き?テレビが見えやすい席でいいよ!」
と優しく声をかけてくださるご主人。
お言葉に甘えて、テレビの正面へ。
大谷選手や吉田選手、ヌートバー選手など大活躍していらっしゃる方々を見て、
『なんて素晴らしい御方達…。日本の誇り…。ありがとう…。』
なんて日本の末梢から感謝を伝えたくなる。
特に三回での逆転は

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おひとりさまの達人【#元気をもらったあの食事】

おひとりさまの達人【#元気をもらったあの食事】

おひとりさまが得意だ。
映画、居酒屋、カラオケ…etc
どこにでも一人で行ける。

中でも、定食屋さんに行くのが一番好き。
子どもの時から大好き。
お安いところだとなお嬉しい。

金曜日、仕事が終わって帰る。
「よしっ!」
コンタクトを外し眼鏡をはめ、ジャージに着替える。
これが私の正装。
金曜日の夜、世間では華金と言われるが、
私は一人で近所の定食屋さんへ行く。

二十代前半は、毎週のように呑み

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