手に入れられなかった物は必要ない
また一人、私の元恋人が結婚をした。
彼は、一番私の家族のことを理解してくれていた人だった。付き合う人に口煩い母も彼だけは唯一気に入っていた。
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彼の家は両親が幼い頃に離婚し、
お母様も外国の方。身よりもない中の一人で子育て。お母様もさぞ大変だっただろうと思う。
彼も小さい時から苦労していたそうだが、自分で一生懸命努力して大学まで奨学金で通っていた。心から尊敬できる人だった。
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大学の頃、お金が無い彼とのデートは公園で話したり一人暮らしの彼の家でアニメを見たりするのが主だった。
お出かけをすることも滅多になく、彼は安いお菓子や菓子パンばかり食べていたから、ご飯をよく作りに行った。
私の実家のような定食屋さんにも彼だけは連れて行ったことがある。
(引用記事で出てきた定食屋さん)
定食屋さんのお母さんも、目を細めて喜んでくれた。
彼とも『結婚するのかな』と漠然と思っていたが、遠距離に私が耐えられずあっけなく別れてしまった。
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今日、久々に母と実家の近くの定食屋さんに行った。
「こんなに美味しいのに、すごく安い!」
と、頬張りながら喜んでいた彼の顔を思い出す。
彼には、奥さんの作ったご飯をお腹いっぱいたべて、幸せでいて欲しい。
母に『彼が結婚したよ。』と報告をすると、
「あんた勿体なかったことしたね。あの頃が一番幸せそうだったよ。」
と言われた。
そうかもしれない。
でも結局手に入れられなかった幸せだ。
手に入らなかったということは、自分の人生には必要ではなかったということなのだろう。
彼が、私のいる場所で就職しなかったのも、
私が追いかけられなかったのも仕方の無いこと。割り切るしかない。
幸せを何としても手に入れたい!という気概がないからどんどん手元から離れていく。
幸せになりたいなら手に入れたいと強く望み、行動すること。必要無いと諦めているうちは、どんな幸せだって逃げていく。
分かってるんだけど、停滞中な私の人生。