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旅の徒然

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2022年9月の記事一覧

銘 “とまりぎ”

銘 “とまりぎ”

気が付いたら四日居た

窯焚きの後 戻ろうと....

窯出しまで居たらと…. 庵主は呟く

ならば 名残の夏を愉しもうか...

その夜は 久々に 良く寝れた
山からの風は 冷たく....
目覚めたら 18℃だった

庭の薔薇に夜露が....

窯場に向かう
1200℃を 指していた針は
夜露に濡れる

手を合わせ
窯の蓋を開ける

“はい
ポッケに入れといて”

手渡された 一盌は 私が
釉薬

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夕暮れ 自転車に乗って窯場へ “一回しかやらへんから よう視ときや” 物語

夕暮れ 自転車に乗って窯場へ “一回しかやらへんから よう視ときや” 物語

風はほんのり秋の風

“自転車 空気入れときましたから”と
先に
窯場へ向かった 彼….

そろそろ 行くかな
自転車に乗って 窯場へ向かう
ずっと 登り道
リハビリ リハビリ…..

“一回しかやらへんから よう視ときや”今宵は 窯を焚く….
その為に 釉薬を掛けていくのである。

“ええか?
手が茶盌になったつもりで かけるんやで
いらんことごちょごちょ考えんと”

“よう視たやろ
あと 全部

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華やかな日には 花を添えて

華やかな日には 花を添えて

朝イチ御役目は終了…

“昼からピアノコンサートに行きましょう”
バイクに乗って 隣町まで…
カブと 彼のバイクでツーリングである

走ってる姿見たいから これ乗って行ってください?

え?…… 乗れるのか?

身体は ちゃんと 覚えていた
40年も乗り続けているから
勝手に 操っている。

後ろから ニコニコ顔で
カブで追いかけて来る彼に
いい 音を聴かせてあげようと
色々と 工夫をしながら….

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ほんのり秋の気配...回復期リハビリテーションにて

ほんのり秋の気配...回復期リハビリテーションにて

”どうでした? 一週間?“
目の前の主治医は ニコニコしながら
呟く

いっぱい いっぱい 話す事があるけど
先ずは 良かった事を.....
“先生 陶芸家の友人所へ行って 窯を焚いて来ましたと 写真を魅せる”

驚きながらも 喜ぶ先生。
ギランバレーになって一年 俗世間との
関わり方を 忘れていたいた 浦島太郎。

“良かった 良かった”と ......

“先生 やっと寝れるように なって来ま

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センスについて 想う事….

センスについて 想う事….

“直ぐに来てください”って 言われて
直ぐに向かった…
ただ ….
頭の中 高校生の二人のおっさんは
その事を 忘れていた

昨夜の酒が抜けた頃 窯場に向かう
そう
溶接の指導のために….

先ずは やって魅せる…
御手本は 美しく魅せなければならない

溶接は出来て当たり前
そこに至る過程を ….
“何だか難しそう”…..
いえいえ 溶接に関しては センスで
あると 思っている。

何年もやって

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え? マジか?….    座敷童達の呟き…

え? マジか?…. 座敷童達の呟き…

“え? マジか?”

大きな袋に 御寿司を手にした
着物姿の学級委員長は 呟く。

“あ 溶接するの忘れてた”

おっさん二人は 美尻な車に
良い音色のバイクを
愛でていたら すっかり忘れていた….

“…,,,,,” (お前らな〜)って…..

ハードな溶接仕事でお疲れかと
寿司盛りと 忍び寿司を 奮発して
くれたようで…..
お酒もたっぷり....

”明日 朝 五時から溶接やります“

“…

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“直ぐに来てください”

“直ぐに来てください”

メールの主は 庵主からだった。
“溶接って 出来ますか?”
“出来るよ”....
道具は 有るけどやり方が分からないと…

直ぐに出かけた。
何処にも 寄らずにノンストップ
二時間程 ひた走る。

“今日は?“
”今日は?“
返事は無い.....

座敷に上がると 庵主は ソファーで
爆睡をしている。
”…….”

買ってきたビールを冷蔵庫に詰め込む。

寝ぼけまなこで 語り出す庵主。
待ちくたび

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気が付いたら 四日 居る   お茶の神さまに招かれて….

気が付いたら 四日 居る   お茶の神さまに招かれて….

“庭で焚き火の用意をしておきます。
薪も多めに用意しておきます。
替えのパンツと歯ブラシだけ持ってお越し下さい。
お待ちしています。”

ギランバレー発症して
ひと月後 仙人界にメールが届いた。

お茶の神さまの居る まさんど庵主からだった。
嬉しかった。
その言葉を 励みに リハビリに励んだ

夏から秋に そして 冬になり
まだ田園界に居た….
焚き火を 見ることは無かった

初夏の日 メールが

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一筆書きの旅の終わりに ハレの宴に 想う事

一筆書きの旅の終わりに ハレの宴に 想う事

“今 どちらですか?”
“今 山の上”
“今 何処?”
“今 黒龍さんに酒買いに来てて”
“なら 寄ってよ 今から山降りるから”

毎度 突然の電話に
突然のやり取り
何年振りかの電話だけど

電話の主の 元気さは変わらない

昨年ギランバレーになってからも
何度かメールを頂いていた

一筆書きのルートの中に 御自宅がある

御縁とは 不思議なもので
小僧のメカニック時代 系列会社の中に
破天荒な

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