ロシアの天才医師から学ぶ「禁断のワクチン接種率アップ戦略」とは?
こんにちは、たけしです。
私たちは、なにかが「手に入らない」と言われると、とたんにそれが欲しくなります。「ダメ」と言われると、とたんにそれがやりたくなります。
これは「リバース・サイコロジー(逆心理学)」と呼ばれる人間の自然な反応なのですが、この心理を理解すると、仕事、恋愛、子育てまで、様々な場面で活用できる可能性があります。ただし、相手をだまそうとしてではなく、前向きな目的で使うことが大切です。
今日は、まだ新型コロナウイルスが流行っていた頃に、私が友人のロシア人に教えてもらったおもしろいエピソードを紹介します。
ロシアのある地方の田舎町での出来事。その町ではワクチン接種がうまく進んでいませんでした。事実上、医療関係者以外はほとんど誰もワクチン接種をしていなかったのです。
診療所の医師であるセルゲイ先生は頭を悩ませていました。住民にワクチン接種を強制はできないし、かといって、放っておくとウイルスによる感染症が流行してしまい、住民も病院も大変なことになってしまいます。そこで、この先生はあることを思いつきました。
診療所の入り口に、こんな張り紙を出したのです。
「ワクチンはユダヤ人専用です」
これを見た住民は大騒ぎして、このニュースはまたたく間に町中に広まりました。
「なんでワクチンがユダヤ人だけなんだ?」
「私たちは死ねってこと?こんなの不公平じゃない!」
翌日には診療所にクレームの電話が殺到したのです。
セルゲイ先生は電話を何本かうけた後で、「しょうがないですねぇ」とため息をつき、特別にその町の住民にも接種を「許可」することにしました。ただし、「在庫は限られていますので、全員が接種できるとはかぎりません」と伝えることも忘れませんでした。
その後、診療所の前にはすぐに長蛇の列ができたといいます。おとなしく、きちんと並ぶ住民たち。たった2週間ほどで、なんとその地域の94%の住民が接種を済ませたといいます。
この話は私が友人に聞いたので、100パーセント真実かどうかはわかりません。でも、私たちが既によく知っている、似たような場面ってありますよね。
人はなにかを制限されると、それを取りのぞきたくなる本能がはたらきます。「ダメ」と言われたり、「手に入らない」と言われたりすることで、逆にそのことへの興味や欲求が強まるのです。
昔話の「鶴の恩返し」では、娘が「絶対にのぞかないでください」と言って部屋にこもり、美しい布を織ります。しかし、日に日にやつれていく娘が気になったおじいさんたちは、とうとう部屋をのぞいてしまいましたよね。
19世紀ロシアの大詩人であるプーシキンも、代表作「エフゲニー・オネーギン」の中で、「女性を愛すれば愛するほど、そのひとの心は遠ざかる。愛さなければ愛さないほど、そのひとの心は近づいてくる」という内容の言葉を残しています。
こうした心理は、人間の行動の多くに影響しています。ビジネスの現場でも、家庭でも、この心理をうまく活用している人は少なくないでしょう。では、たとえばどのような場面で活用できるのでしょうか?
ポイントは、直接的に否定や制限を表現するのではなく、「さりげなく」投げかけることです。相手の自尊心をくすぐりながら、やる気スイッチを入れられるのがこの方法の魅力です。
あからさまな操作と感じさせない配慮も忘れてはいけませんが、使い方によって、職場でも家庭でも、無理なく自然に協力を得られる、効果的なコミュニケーション術となるはずですよ。
↓こちらの記事は月曜日が憂鬱ではない人専用です