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素晴らしき邦題の世界【読書感想文】ジョン・W・キャンベル『影か行く』
SFホラー映画の金字塔『遊星からの物体X』(原題 “The Thing” 1982年)の原作。南極の氷の下から発見された異星生物と探検隊の戦いを描く。
原作の邦題は『影が行く』。まずこの邦題がうまい。
原題は直訳すると「そこに行くのは誰だ?」だが、こういうスタイルのタイトルは、邦題にはなじまない。
映画の原題の方は、原作で謎の異星生物を the thing と呼称しているからだろうが、これは
【読書感想文】サローヤンの小説が読んでみたくなった(トシオ・モリ『カリフォルニア州ヨコハマ町』)
昔、Jポップのあるトップクラスのアーティストの曲を聴いていたら、ソウルフルなバックコーラスのほうがはるかに上手くて、これはイカンだろう、と思ったのを思い出した。
本書は、山田稔のエッセイでその存在を知り気になっていたところ、探していたわけでもないのだが、たまたま図書館の返却本置き場にあったので、借りてみた。
山田はメジャーな作家とは言いがたいし、モリはほとんど無名だから、これはなかなかのシンク
【読書感想文】敵の敵は味方(J.R.R.トールキン『ホビットの冒険』)
財宝を守っていたドラゴンが人間に倒され、その財宝の所有権をめぐってドワーフと人間とエルフとが一触即発の危機に陥る場面である。
本書で一番印象に残った一文だ。
最大の脅威と思われていた、まるで無差別爆撃の権化のようなドラゴンが消えたあとに、さらに大きな困難が持ち上がるというのが、この物語の真骨頂だ。
ドラクエでいえば、竜王を倒し、ラダトームに帰ってきたら、姫と国王の座をめぐって殺し合いが始まる
筒井康隆の物語を楽しめる者は幸せである。
筒井康隆の物語を楽しめる者は幸せである。心豊かであろうから…
エンタメと文学にまたがって膨大な作品数をほこり、バラエティ豊かで、名作にも事欠かない。老若男女を引きつけ、これからもファンを増やし続けることだろう。
しかし私は、彼の小説の文体を受け付けられない。タイトルとプロットと着想は好みなのだけれど。
自分が心貧しいとは思わないし、敬愛する作家も少なからずいるが、数々の挫折と失望をへて、筒井
マルティン・ルター・キングJr
『サピエンス全史』の著者が、人間と社会の未来を予測する本。ここでは、宗教とスピリチュアリティとの違いについて述べている。
読み上げを聴いていて驚いた。いま「マーティン・ルーサー」って言ったよね?
つまりマルティン・ルターは英語読みするとマーティン・ルーサーだったのである。
マーティン・ルーサー・キングJrは、マルティン・ルターだったのである。
知ってた?わしゃ知らんかったよ。
ヘボンとヘ
私の最高の作品はあなたです。
丸谷才一さんの対談集。筒井康隆さんとの対談『批評家だから小説が書ける』より。
2008年の赤塚不二夫さんの告別式でのタモリさんのあの有名な弔辞を思い出した。
この記事によると、「『私もあなたの作品の一つです』は2008年の新語・流行語大賞にもノミネートされている」のだそうだ。これは偶然の一致だろうか。
試しにマンゾーニとスコットが交わした会話についての記事がないかネット上でちょっと探してみた
【覚え違いタイトル】エマニュエル・トッド ✕『我々はどこから来てどこへ行くのか?』 → 〇『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』
すでに下巻に入っているが、なかなか覚えられない。
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