己斐弘貴

本とことばについて、気になったことを書きます。英検1級、中検準1級、独検2級。広東語、…

己斐弘貴

本とことばについて、気になったことを書きます。英検1級、中検準1級、独検2級。広東語、韓国語、仏語、露語初級。アフィリエイトプログラムは利用していません。

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自己紹介

ネコのいる町に住んでいます。 本とことばについて、気になったことを書きます。 英検1級、中検準1級、独検2級。広東語、韓国語、仏語、露語初級。 本について書くときは書影を使いますが、アフィリエイト・プログラムは利用していません。 音楽はK-PopかCanto Popかメタルを聴いています。 最近は、日本語の本は主に家事をしながら朗読や読み上げを聴いています。 目を使える時間は、なるべく英語の紙の本と、その他の言語の本を読むのに充てています。 お風呂やトイレでは、

    • 【読書感想文】セス・グレアム=スミス『高慢と偏見とゾンビ』(2009)

      半年くらい前にこの本をセールで買って(今見ても199円だ。もしかして定価か?)、予習として原作を5カ月くらいかけて読んだ(たぶん再読)。 原作はさすがに面白かったけど、この本は20%ほどで挫折した。 原作にときどきゾンビと武術と武器の話がでてくるだけなんだもの。原作を読んでなかったら楽しめたかもしれないが、まさか原作を先に読むべきでないパロディ本があるとは思わない。 共著者にちゃんとジェーン・オースティンの名前があるから看板に偽りはないけど、タイトルは『高慢と偏見、時々

      • 【消えた職業】タイピスト

        タイピストって懐かしい響きだ。確かにそういう職業があったのだった。エレベーターガールとか、バスの車掌さんとか、そういう職業が成り立つ余地があったのだ。優雅だったとさえ思える。 当時のタイピストのステータスって、今でいうとプログラマーとかウェブデザイナーみたいな感じなのだろうか。 20年ほど前に読んだビジネス書には、「英語とパソコンを使えるようになる必要はない。使えるやつを使えるようにな人間になれ」なんて景気のいいことが書いてあったが、あれを書いた方はその後どうされているの

        • あなたの一票をお寄せください

          こないだの選挙で、選挙カーから聞こえてきた言葉。 「ご意見」「ご要望」「お声」を寄せることができるのは知っていたが、「票」も寄せられるとは知らなかった。 そもそもは、不特定多数の視聴者の意見が波のように打ち寄せることを期待して発せられる言葉なのではないか。調べる気もないけど、この「寄せる」は、もしかするとマスメディアの誕生とともに生まれた用法なのかもしれない。 一方、「清き一票」とは、「あなたの清き一票」、すなわち文字通り個人に呼びかけるときに使う表現だ。 単数形だ。

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          succumb to rheumatism と坂本竜馬は似ている。

          succumb to rheumatism と坂本竜馬は似ている。

          【速報】【大統領選】消えた「美しい妻」の謎

          妻を称えるトランプ大統領の言葉と、それを伝える日本の記事での訳文である。 私は同じ発言をニュースで見たが、字幕でも同じような訳だった。 beautiful wife が訳出されていないのである。 もちろん、逐語訳しなければならないという法はない。Good Morning を「おはようございます」と訳して、「『よい』も『朝』も抜けてるじゃないか」なんていう人は、たぶんいない。 あるいは枕詞みたいなもので、「あをによし」とか「ちはやふる」の意味をいちいち考えないようなもの

          【速報】【大統領選】消えた「美しい妻」の謎

          あら捜しされる美人と魅力的な不美人(ジェイン・オースティン『高慢と偏見』、シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』)

          英文学最高峰のマッチング小説より。 主人公エリザベスの恋敵キャロラインが、ダーシ氏に告げた悪口である。悪口以外の何物でもない。 登場人物にここまで言わせておいて「怒りにかられた人は、いつも賢明であるというわけにはいかない」なんて評を差し込むのだから、オースティンさんもなかなか意地が悪い。 そして、最近の例では2005年の映画版でエリザベスを演じているのがキーラ・ナイトレイだから、まあ文句なしの美人である。キャロラインもよくもこれだけいちゃもんをつけられたもんだ。 ちな

          あら捜しされる美人と魅力的な不美人(ジェイン・オースティン『高慢と偏見』、シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』)

          スパゲッティで焼きそば

          フランス文学者のエッセイ集より。 ダラクとはもちろん冗談だろうし、ご自身の体験を自嘲的に語っておられるのだと思うが、海外にいると日本食が恋しくなり、疑似体験がしたくなるのはわかる。 この「スパゲティ焼きそば」ような現地調達・創意工夫ものをひとまず「スパそば型」と呼ぶこととしよう。 また、今もあるのかどうか知らないが、学校給食でソフト麺といううどんっぽい麺があって、これにミートソースっぽいものを絡めて食べる風習があった。  つまり、日本にいながら、手軽にイタリア気分を味

          スパゲッティで焼きそば

          高慢と偏見と駆け落ち【名詞句】runaway marriage

          英文学最高峰とされるマッチング小説より。 主人公の妹、無軌道でちゃらんぽらんなリディアが駆け落ちした街 グレトナ・グリーンがどこにあるのか調べてみたら、「駆け落ち結婚で有名」とあったので驚いた。 もしかしてこの小説のおかげで有名になったのか?、と思えばさにあらず。 なるほど。治外法権とか、共同租界みたいなものなのね。 こまへん(『高慢と偏見』のことね)が1813年発表だから、オースティンはこのことを承知の上で小説に盛り込んだのだろうか。 runaway marria

          高慢と偏見と駆け落ち【名詞句】runaway marriage

          姉=従姉=姑

          ウィキペディアの元明天皇の項より。 なぜいま元明天皇について調べているのかというと、万葉集を古代韓国語で解読するというトンデモ本?を読んでいるからである。これがなかなかおもしろい。 元明天皇といえば、太安万侶に古事記編纂を命じ、なんと立派な平城京で有名だが、それより持統天皇との関係に驚いた。 一人三役である。姉と従姉と姑が同一人物だというのだ。 分かりやすくいうと、きれいなおねえさんの水野真紀さんと、『いとこ同士』の山口智子さんと、『地獄の沙汰もヨメ次第』の野際陽子さ

          姉=従姉=姑

          処女性と可用性【名詞】Availability

          YouTubeの動画Japan's MOST SHOCKING Weather Girl OUTRAGE(日本のお天気お姉さんのショッキングな炎上事件)(2023)より。 日本の文化が海外でどう評価されているのか、という動画をいろいろ観ていたら上がってきた。 なお、上の引用は文字起こしとディクテイションによるものなので、正確かどうかは分からない。 私は全然知らなかったが(似たようなニュースは多いのでスルーしていただけかもしれないが)、去年大変なことになっていたみたいなの

          処女性と可用性【名詞】Availability

          風土性を煮詰めると普遍性に転換するのか ─ SF作家司馬遼太郎の可能性

          どこかで誰かが書いていたが、宮崎駿は日本の子どもに向けて作品を作っているのに、なぜか世界中の老若男女に評価されてしまっているという。 土着的な、個人的なものは、なぜか同時に普遍的にもなりうる。 しかし、普遍的なもの、グローバルなものを作ろうとすると、得てして共感を得られないものになってしまう。 例えば『子連れ狼』や『柳生十兵衛』は海外でも人気だが、『ゴルゴ13』はあまりウケないと聞く。海外に寄せすぎだからなのだろうか。 気になるのは、がっつり土着な司馬さんは、なぜ世界

          風土性を煮詰めると普遍性に転換するのか ─ SF作家司馬遼太郎の可能性

          はじめてシーザードレッシングを作った。おいしいけど、『エイリアン』に登場するアンドロイド・アッシュの目や口から漏れ出る液体に似ている。

          はじめてシーザードレッシングを作った。おいしいけど、『エイリアン』に登場するアンドロイド・アッシュの目や口から漏れ出る液体に似ている。

          家に帰るまでが映画でした

          フランス文学者・作家によるエッセイ集。 昔、小説『コーマルタン界隈』を読んで感動して、ひさしぶりに著者のこのエッセイ集を見かけて、手にとってみた。 そう、かつて映画とは、単なるコンテンツではなく、ひとつのイベント、おでかけ、デートだったのだ。 またぞろよくあるノスタルジーだが、映画にしても、音楽にしても、本にしても、昔はまず雑誌やテレビや口コミで情報を集め、出かけていって、入手したり体験したりして帰ってくる、というところまでがセットだった。 遠足ではないが、家に帰るま

          家に帰るまでが映画でした

          語学学習しながら健康診断

          語学学習をほぼデジタル化してから数年になる。 以前は単語や変化表やフレーズを書き込んだノートやメモ、または語学のテキストをコピーしたものやバラしたものを持ち歩いて、隙間時間に勉強していたものだが、いまはほぼすべてスマホで代用している。 「ほぼ」というのは、字を書く練習をするときにはまだアナログに頼らざるを得ないのと、あとはスマホを持ち込めない場所があるからだ。 その場所とは、日に1回の風呂と、年に1回の健康診断だ。 風呂はゆっくりできるので、語学学習より文庫本を持ち込

          語学学習しながら健康診断

          人間たちよ、AIの天然をおもしろがっていられるのも今のうちだ

          最近、ついつい生成AIの動画を見てしまう。 人間には思いつかないような、突飛な解釈や、とんちんかんな展開がおもしろい。 しかしそれがなぜ魅力的なのかというと、それが今しか楽しめない、ほんの束の間のエンターテインメントだということを、みんな知っているからだ。 かつて、特撮映画とかテレビゲームとか、テクノロジーに依存した娯楽は、「今」が最高で最新だった。その先は見えなかった。想像がつかなかった。 例えば『イー・アル・カンフー』を遊んでいる時は、それがマックスだった。テレビ

          人間たちよ、AIの天然をおもしろがっていられるのも今のうちだ