マガジンのカバー画像

大人の英語講座

784
文法をイメージでとらえること、文学の英語など。大人の学び直しの英語教科書。 エッセイも多く含みます。初級者から上級者まで、英語が好きな人が集まる場にしたいです。
単に学習法だけを取り上げるのではなく、英語の周辺の知識と身につける方法を考えます。また英語を学ぶ意…
¥750
運営しているクリエイター

#読書感想文

中原道喜 | マスター英文解釈(聖文新社)

中原道喜 | マスター英文解釈(聖文新社)

 英文法書は何冊も持っているけれども、お気にいりの本は限られています。

 私は主に文学作品を読んで、英語学習をつづけています。当然のことながら、学校の教科書ではないので、非標準的な言葉の使い方やスラングも登場します。

 私の母語は英語ではありませんから、微妙なニュアンスはつかみきれません。なんとなく「こういう意味なのかな?」ということはわかっても、余計な誤解は招きたくありません。それゆえに、な

もっとみる
襲撃 | スタインベック

襲撃 | スタインベック


(1) スタインベック「襲撃」について

 スタインベックの短編小説「襲撃」を読みました。この短編小説「襲撃」(The Raid)は、Peguin Classics の John Steinbeck, The Long Valleyの中に収められています。また、「襲撃」の日本語訳は、大久保康雄(訳)「スタインベック短編集」として新潮文庫に収められています。

 「襲撃」はPenguin版では 6

もっとみる
「透明人間」の非標準英語について

「透明人間」の非標準英語について

 何度か記事に書いていますが、現在、ラルフ・エリソンの「透明人間」を読んでいます。
 この本はアメリカ文学史に残る不朽の名著ですが、非標準的な英語がかなり会話に使われていて慣れないと読むのに手こずります。そうかと思えば、標準な英語で書かれている箇所には、難解な言葉が使われていて英語で読むのはけっこう大変です。

 この記事では、非標準的な英語で書かれている箇所と、標準的な英語で書かれている箇所を引

もっとみる
高度な英語力とは?

高度な英語力とは?

 一週間くらい前から、Ralph Ellison, "Invisible Man"を読んでいる。1人称に3単現のSがついていたり、綴りがおかしかったり、musta (must have )などの短縮形が使われたりして、作中人物の非標準的な会話が読みづらい。

 考えてみれば、学校英語の試験問題や資格試験では、非標準的な英語にお目にかかることはまずない。しかし、小説の中では、非標準的な英語がひとつも

もっとみる
読書 | 長沢和俊(著) | 張騫とシルク-ロード

読書 | 長沢和俊(著) | 張騫とシルク-ロード

 長沢和俊(著)「張騫とシルク-ロード」[新訂版] (清水書院)を読みました。
 先日読んだ井上靖「楼蘭」を読んで、シルクロードに関心を持ったのが、この本を読んでみようと思ったきっかけになりました。

 「張騫とシルク-ロード」のメインは、シルクロード。私は高校の頃に、世界史と日本史を両方学びました。受験では日本史を選択したので、世界史の記憶はほとんど失われています。しかしながら、この本を読んでい

もっとみる
読書 | 補陀落渡海記

読書 | 補陀落渡海記

 井上靖の短編小説「補陀落渡海記」(ふだらくとかいき)を久しぶりに読みました。この小説は新潮文庫「桜蘭」に収められています。年末に「銀河鉄道の夜」「フォークナー短編集」と一緒に購入しました。

 「補陀落渡海記」をはじめて読んだのは2013年3月1日から3月2日でした。
日本語ではなく、オックスフォード版「日本文学短編集」の「Passage to Fudaraku」(James T. Araki

もっとみる
私の英語愛読書10冊

私の英語愛読書10冊

 noteには、読書感想文をけっこう書いています。
 今回は感想文ではなく、「私の英語愛読書」を10冊挙げてみたいと思います。ここに挙げる本は、個別に何度か記事にしていますが。。。
 たぶん、今までに300冊以上の英語の本を読んでいますが、繰り返し何度も読んでいる本は多くありません。

 この記事では、「黙読」および「音読破」(最初から最後のページまで音読したもの)した本に限定して紹介します。

もっとみる
読書 | ニッポン社会入門 (How to Japan)

読書 | ニッポン社会入門 (How to Japan)

 Colin Joyce(著)、「How to Japan 」(NHK出版)。

 今から10年くらい前に購入した本。2週間くらいかけて、ゆっくり読んでいた。

 この本は、イギリスから日本へやって来たジャーナリスト・コリン・ジョイスさんのエッセイ集。
 このエッセイ集は、最初に日本語で「ニッポン社会入門」として書かれた。そして、話題になって英語版が出た。私は日本語版は読んでいない。
 気軽に読め

もっとみる
英語de数学主義

英語de数学主義


(1) 原文

森毅(著)「現代の古典解析~微積分基礎課程~」、ちくま学芸文庫、p343より。

文庫版あとがき
--数学主義について--

 長い間、大学の理工系の新入生とつきあったが、彼らが一番悩むのは、高校数学と大学数学のギャップのようだ。なかには、そのギャップを大学に入ったあかしとして楽しむのもいるが、たいてい困ることのほうが多い。それでも、大部分は1年か2年のうちに、それなりに慣れるか

もっとみる
英語で日本語を考える

英語で日本語を考える

片岡義男(著)「英語で日本語を考える」(ちくま文庫)を読みました。

この本では、比較的短い英語のフレーズが100挙げられています。

1つ1つフレーズがエッセイ風な解説とともに説明されています。

この記事ではその中から、私が「なるほど!そう表現すればいいのか!」と思った例文を3つ紹介します。

日本語を先に書きます。
下に片岡さんの英文を載せます。
みなさんも英語でどう言えばよいのか考えてから

もっとみる
読書 | 悪文の構造

読書 | 悪文の構造

 千早耿一郎(ちはや・こういちろう)(著)「悪文の構造」(ちくま学芸文庫)を読みました。
 この本では、さまざまな「悪文」の用例を挙げて、著者の具体的な改善案が示されています。
 著者の千早さんは、機能的な文章を書くことを提唱しています。
 この記事では、著者の考え方を要約したあとに、具体的な例を検討してみます。

(1) 文章のもつ2つの働き

 文章には大別すると、2つの働きがあります。
 1

もっとみる
読書 | 翻訳をジェンダーする

読書 | 翻訳をジェンダーする

 
古川弘子(著)「翻訳をジェンダーする」(ちくまプリマー新書)を読みました。
この記事では、私がこの本の内容そのものよりも、私がこの本を読んで考えたことを中心に書きます。

 「翻訳をジェンダーする」という本では、主に英語の文学作品や文献がどのように訳されてきたのかを、ジェンダーに注目して分析しています。

 日本語は、英語に比べると「文末詞」(役割語)が発達していますね。

 たとえば、英語で

もっとみる