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お友だちは、ユーレイ
母の生家は霊園の中にあった。
其処には祖父や祖母の墓もあり、幼い頃はお盆の時期になると家族で墓参りに訪れていた。
病弱だった夫と六人の子供を抱え、祖母は生活のために霊園管理の職を得て、住み込みといういうのだろうか、一家は霊園の中に管理所も兼ねて建てられた借家に住んでいた。
霊園のある山は街の中心部に位置しており、中腹にあった霊園からは美術館や市立図書館、デパートにも徒歩で行けたので「自分は都会育
野花のベッドで眠りたい
北国にも、ようやく遅い春がやって来て、スプリング・エフェメラル(Spring Ephemeral)と呼ばれる、春の儚い花たちも咲き始めた。
これらの野花は、可憐でひっそりとした風情というよりも、蔓延っていると言ったほうがいいくらい旺盛にびっしりと咲いていて、その様は、まるで花の絨毯というか寝床のようにも見え、思わずその上に寝そべってみたくなる。
たぶんこの国では、本当に寝そべっても誰にも何も言わ
精霊になった、あなたへ
車ごと列車に乗り込み、南の街から1000km離れた北へと向かった。
車窓を流れる風景は、平原からなだらかな稜線を描く山々、白樺から針葉樹の森へと移り変わってゆく。
極北の大地は太陽の沈まない完全な白夜に包まれ、薄明の空の下を一晩中、夜行列車は走り続ける。
ガタンゴトン、ガタンゴトン、レールと車輪の軋みに揺られ、コンパートメントの三段ベッドに寝そべっていると、「大いなる鉄路」でナレーションを担当し