本能寺の変１８５２　その一因　３(３)光秀の嫡男　そ第11話⑧　天正十年六月二日、明智光秀が織田信長を討った。その時、秀吉は備中高松で毛利と対峙、徳川家康は堺から京都へ向かっていた。甲斐の武田は消滅した。日本は戦国時代、世界は大航海時代。時は今。歴史の謎。その原因・動機を究明する。『光秀記』

その一因　３光秀と光慶　(３)光秀の嫡男　そ第11話⑧　

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(３)光秀の嫡男　そ第11話⑧

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　　１信長の後継者　そ第5話①　そ第5話②　そ第5話③
　　　　　　　　　　そ第6話①
　　２光秀の後継者　そ第6話②
　　　　　　　　　　そ第7話①　そ第7話②　そ第7話③　そ第7話④
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　　　　　　　　　　そ第11話⑨

２光秀の後継者　３光秀は、明智の将来に不安を感じていた。

　１時代の風潮
　２信長の猜疑心
　３粛清 の怖れ　光秀は、粛清を怖れていた。

３ー２６本願寺退城　賀州の儀　　　　　　　　　　　→◎第11話　第11話

　　教如は、ついに、屈服した。
　　宗門の「滅」と「生」。
　　そうする他、道はなかった。
　　「なれど」、・・・・・。

　　信長は、教如を赦免した。
　　七月十七日(天正八年１５８０)
　　教如に、起請文を与えた。
　　「今度、光寿赦免の事」、とある。

　　　　　敬白　　　　　起請
　　　右意趣は、今度、光寿赦免の事、
　　　其方、実儀に於ては、条数の通り、聊か以って相違あるべからず、
　　　もし此旨、偽りに於ては、
　　　梵天・帝釈・四大天王、惣じて、日本国中の大小神祇、
　　　八幡大菩薩・春日大明神・天満大自在天神・愛宕・白山権現、
　　　殊に、氏神の御罸を蒙るべく候也、
　　　仍って、起請、件の如し、
　　　　　天正八年七月十七日　　　　　　　　　信長(花押)
　　　　　　　本願寺新門主
　　　　　　　　　　　　　　　(「本願寺文書」「織田信長文書の研究」)

　　戦国時代＝相互不信の時代、である。
　　教如は、信長を信用せず。
　　信長もまた、教如を信用していない。
　　互いの心底に、このことがあった。
　　その様な時代なのである。

　　信長は、教如を懐柔した。
　　あわせて、以下の条々(条件)を示した。
　　全五ヶ条。
　　「従えば、・・・・・」、ということ。

　　　　　　条々
　　　一、人質、気付のため(不安であろうから)、遣わすべき事、
　　　一、往還の末寺、先々の如き事(今まで通り)、
　　　一、賀州の儀、大坂退城以後、如在なきにおては、返付すべき事、
　　　一、町人等、立て置くべき事(居住を許可する)、
　　　一、月切、八月十日以前(退去の期限)に究むるの事、
　　　　　　　七月十七日　　　　　　　(朱印)
　　　　　　　　　　　　　　　(「本願寺文書」「織田信長文書の研究」)

　　信長は、加賀を返すつもりだった。　　　　　→そ第11話⑥　柴田勝家　　
　　一国、丸々。
　　「賀州の儀」「大坂退城以後」「返付すべき事」、とある。
　　但し、「如在なきにおては」。
　　すなわち、何事も起こらねば、・・・・・。
　　一抹の不安、・・・・・。

　　信長は、石山本願寺が欲しかった。
　　喉から、手が出るほど、欲しかった。
　　そのままの状態で、・・・・・。
　　直ぐにでも、使いたかった、・・・・・。

　　退去の日は、「八月十日以前」。
　　これが、信長の決意。
　　教如に対し、最終期限を明示した。
　　以上。

　　信長は、猜疑心が強い。
　　不信の男。
　　実際に、手にするまで。
　　教如が退去するまでは、安心できぬのである。
　　積年の思いが、手の届くところに、来ていた。
　　「油断すべからず」
　　「油断すべからず」
　　・・・・・。

　　信長は、教如を威圧しつづけた。
　　石山本願寺の周辺に、軍勢を集結させていた。

　　すなわち、和戦両様の構えで臨んでいた。
　　七月十八日
　　信長は、筒井順慶に朱印状を送った。
　　「警戒せよ」
　　「次の指示を待て」
　　以下の如し。
 
　　　大坂面(おもて)、
　　　急度(きっと)、取り詰むべきの間、諸卒召し寄せ候処、
　　　退城すべきの由、懇望せしめ、
　　　動(はたらき)の段、今少し、相拘(かか)うべきの通り、申し越し候、
　　　何れも、人数相集め、一左右を相待つべく候也、
　　　　七月十八日　　　　　　　　　　　信長(朱印)
　　　　　筒井順慶
　　　　　　　　　　　　　　　　(「西山文書」「織田信長文書の研究」)

　　信長の忍耐は、限界に達していた。
　　七月二十日
　　信長は、近衛前久に、教如に起請文を与えたことを知らせるとともに、
　　その退去を急がせるよう命じた。
　　「遅々、之れ在らば」「外聞面目、口惜しく候」
　　「延々、候へば」「旁、急ぎたく候」
　　「相急がるべきこと専一に候」
　　さもなくば、・・・・・。　　　　

　　　追って、馬一疋、黒松毛、進ぜ入り候、
　　　あ(悪)しく候へども、先度、御約束の条、此の如くに候、
　　　猶、面拝を期し候、

　　　今度、新門跡退城の儀、別儀なく候間、朱印并に誓詞を遣わす条、
　　　もし、一揆の口に候へ共(退出口のことについて)、
　　　取り詰め候事、大儀(厄介事)にも之れあるかと存じ、
　　　又、此上(そのために)、遅々、之れ在らば、外聞面目、口惜しく候、
　　　早々、彼の長袖の(教如の方で)手筈を御取り、
　　　その上、使いの者共人質を念を入れ請け取られ、
　　　一左右、待ち奉り候、

　　　これにより、諸勢、宇治川切りに陣とらせ候、
　　　延々、候へば、人の勢もぬけ、味方地あれ、
　　　旁(かたがた)、急ぎたく候、

　　　此の存分、毛頭偽りにあらず候、
　　　其ため、誓文を以って送り候、
　　　梵天・帝釈・四大天王、惣じて、日本国中大小神祇、
　　　八幡大菩薩・春日大明神、天満大自在天神・愛宕・白山権現、
　　　殊に、氏神の御罸を蒙るべく候、

　　　此の状を彼方へ見置かれ、相急がるべきこと専一に候、
　　　恐々謹言、

　　　　　七月廿日　　　　　　　　　　　信長御朱印 
　　　　　近衛殿　　　　　　　　　信長
　　　　　　　　　　　　　　　(「近衛家文書」「織田信長文書の研究」)

　　近衛前久は、そこに、信長の強い決意を感じ取った。
　　正に、身の毛のよだつ如し。
　　気迫。
　　否、凄み。
　　これすなわち、最後通牒。
　　信長から、本願寺へ。
　　「危うい」
　　・・・・・。

　⇒　次へつづく