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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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#読書好き

アメリカの価値観 VS アジアの神秘「世界しあわせ紀行」

アメリカの価値観 VS アジアの神秘「世界しあわせ紀行」

久しぶりのテレビで「外国人の日本褒め」を浴びて気持ち悪かったけど、これを読んだら治った。
世界の人の大半は、外国人の評価がなくても、なにが誇りでなにが欠点か自分で決めるし、そもそも他人を気にしない。

これは、日本にも住んでいた鉄火巻き好きのアメリカ人記者が、「しあわせ」とされている国をめぐり、しあわせ迷路に迷い込む一冊だ。

読むだけでふつうに驚けるし、実際に旅行する100分の1かもしれないけど

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【読書】台北プライベートアイ2(ネタバレなし)

【読書】台北プライベートアイ2(ネタバレなし)

前作は風呂で読んだから紙がしけちゃったけど、今回は夏なので湯船の影響を受けない。
かわりにマウントレーニアのコーヒーをトートバッグに入れて、フタしてるから大丈夫だろう、って忘れててしっかりシミになっていた。

なんで毎回半月で好きな本をボロボロにできるんだ!

台湾のミステリー「DV8 台北プライベートアイ2」
読みづらい。進まない。わき道にそれる。
登場人物がやたらと多く、主人公は本筋と関係ある

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すばる7月号を学校の図書室に置こう

すばる7月号を学校の図書室に置こう

すばる7月号を読んだ。
李琴峰さんのアイオワ滞在記が良すぎて共有したいので、ここだけでもカッターで切り取って小冊子にして全国の高校の図書館に吊るそう。

アイオワ大学で、反LGBTQの活動家が講演をすることに、大学生たちが一斉に抗議する。
コールで、アートで。それぞれのスタイルで反差別を態度で示し、近所の車はクラクションを鳴らし、武装警察まで巻き込む騒ぎ。
その一部始終をその場にいるような迫力で記

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【読書記録】アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」にしびれた話をさせてください、さあ。

【読書記録】アーサー・C・クラーク「宇宙のランデヴー」にしびれた話をさせてください、さあ。

これの話です。何十年も前の作品なので、完全に結末まで言っちゃっていいと判断してしまいます。要はネタバレです。

「宇宙のランデヴー」は、遠い未来の、宇宙に飛来した謎の物体をめぐる物語。

銀河の果てから巨大な「くるくる回る水筒」みたいなやつが飛んでくるのです。最初は流星かなにかだと思ったが、明らかに他の文明によって作られたもの。
このまま行くと永遠にないのかと思っていた「異星人との接触」。そのとき

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【読書記録】アフリカ幻想冒険小説「薬草まじない」

【読書記録】アフリカ幻想冒険小説「薬草まじない」

まえのタイ小説に続いて、アフリカ小説。40年も前のものなので、さすがにネタバレしてもいいよね?

奥さんに子供ができる薬を求めて、さいはての地に住む「女薬草まじない師」に会うため、勇敢な狩人だった若者が旅に出る。
特にアフリカでは不妊は重要な問題だからね。

得意の弓を持って、ジャングルの奥地へ!立ちふさがる「首の取り外しがきく男」!
「アブノーマルな蹲踞の姿勢の男」!
日陰で休んでいたら日陰ごと

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ラッタウット・ラープチャルーンサップ「観光」今年ベスト短編集!

ラッタウット・ラープチャルーンサップ「観光」今年ベスト短編集!

タイ系アメリカ人の短編集。ハードル低かったのもあるけど、すごい良かった!誰かにオススメの短編聞かれたらこれにする!
こんなのとの出会いがあるから、ブックオフもたまには行くもんだな!

「カフェ・ラブリーで」
お兄ちゃんに連れられて初めて悪い遊び場に行くはなし。
お兄ちゃんについて行ったら大丈夫、と思っていたらシンナー吸いだしてわけわかんない状態になって、一人で取り残された少年が女の人にからかわれな

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【読書】火垂るの墓は急にガンダムにならない「宇宙の戦士」(改稿)

【読書】火垂るの墓は急にガンダムにならない「宇宙の戦士」(改稿)

ロバート・A・ハインライン「宇宙の戦士」新訳版を読みました。

「パワードスーツ」を着て戦う小説で、数多くの漫画、アニメに影響を与えています。刊行されたのは1967年。
カバー絵のいかにも「ちょっと前のロボットアニメ」っぽいイメージで読んだ。(原題がSTARSHIP TROOPERS)

そのイメージからすると、すごいギャップがあった。

「機動歩兵」部隊の主人公は、金持ちの父に歯向かい、勢いで軍

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「つけびの村」が他人事とは思えない

「つけびの村」が他人事とは思えない

限界集落で行われた連続放火殺人事件の犯人を取材したノンフィクション「つけびの村」が、まあ怖かった。恐怖を与えるために書かれた本じゃないのに、不安になるツボを刺激する内容だった。
それは、ぼくが電車内で叫んでいる「どうかしてる人」を見ていられないのと関係がある。
そういう人が、向こう側の人間とは思えないのだ。

「つけびの村」では、連続放火殺人をおこして、殺害予告のような川柳を残した犯人の印象を聞い

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【読書記録】韓国、北朝鮮を本でしか知らない。「血と骨」

【読書記録】韓国、北朝鮮を本でしか知らない。「血と骨」

最近、本を読むのに多少「がんばり」がいるようになっていたのだけど、これは濁流に押し流されるように、気が付いたら残りページが全部なくなっていた。あああ終わってしまう!読む前には右の方にいたしおりがここまで移動している!さびしい!

どんな話かというと、暴力を振るう最悪なかまぼこ職人の人生。
十日に一日の休みで限界まで働かされ、給料は日本人の半分以下。労働基準法も衛生管理も人間らしい暮らしもない。

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翻訳ミステリーが好きなことにきづいてしまった!

翻訳ミステリーが好きなことにきづいてしまった!

芸術性のある素晴らしい物語よりも、冒頭で事件なり犯行予告なりに引っ張ってもらう方が好きなことに気づいてしまった。
翻訳ミステリーが好きなことに気づいてしまった。
半月に一冊のペースで読む。読むか飽きると、帰りしな本屋に立ち寄ってその場だけの限られた在庫と、少ない紹介文から一冊を選ぶ。
値段はちょっと高め、2000円から3000円ぐらい。その時はちょっとした祭りである。
日本作家の繊細な文章とは違う

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レイ・ブラッドベリでSF小説デビュー!【華氏451度】

レイ・ブラッドベリでSF小説デビュー!【華氏451度】

SF小説入門サイトで知った「華氏451度」を読んでいます。
支配者階級によって、一般人が余計なことを考えず従うように、本がご禁制になったディストピア社会。
主人公は本を見つけて焼却する「ファイアマン」の仕事に就いている。かつてその職は火を消す役割だったことも知らず。

SF小説というものを全く読んだことがなくて、ずっとふしぎな存在だった。
映画で「未来だ!」と思うのは、斬新なファッションや宇宙船が

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