映画監督の崔洋一さんが亡くなられたそう。昔、崔監督作品「東京デラックス」を観たがあまり記憶に残っていない。覚えているのは主要出演者が題名と同じ名の主題歌を歌っていた事。「♪嫌だ〜嫌だ〜勝手に死ぬなんて〜♪」。「血と骨」も有名ですが、これは小説で読みました。猛毒。
金俊平の野性むき出しの凶暴さは世間にとって大問題だけど、必要な事には貪欲でありながら不要だと判断する事は完全無視する、そんな彼独自の冷酷な知性があるような気がする。「父性」って世の中では憎悪や悪意の対象にしかならないのかな。でも金俊平には世の中の"無駄な部分"を排除してほしくなる
何事にも極端な金俊平に分かりやすい憧れは抱かない。ただ私は、お喋りが"好き"な人はそれでいいんだと思うけれど、お喋りが"得意"な人は嫌いなんだろう。 全体の4分の1しか読んでないのだけど、そんなことを感じながらこのまま読み進めます。
母性本能というけれど父性本能という言葉は聞いたことがない。母性が喜ばれたり大切にされるのは理解できるけど、これは父性が必要とされてないからなのか?なんというのか、行き過ぎた優しさが蔓延する世界では父性がもっと強く作用してもいいだろうにと思う私には金俊平の問答無用の凶暴さが清々しい
怯える側も恐れる側も命懸けだけど、その裏には「死ねや!」という憎悪が隠れている。金俊平が凶暴なのは、人々の怯えや恐れ、優しさが隠れ蓑にしか見えないからではないか。金俊平は人を詮索しないしされるのを嫌う。本能だけで生きている人間だから人とのお喋りが少なくて済むのかもしれない。
どういうバックボーンがあってこういう男が生まれてくるのかという疑問をそのまま人間にしたような金俊平。ただなんとなく感じるのは、彼は自分に怯えたり恐れたりする人々の裏に隠れた自分に対する憎悪や悪意を感じ取り、制御不能な怒りを爆発させているように思える。単純というよりシンプルな本能。