【読書記録】アフリカ幻想冒険小説「薬草まじない」
まえのタイ小説に続いて、アフリカ小説。40年も前のものなので、さすがにネタバレしてもいいよね?
奥さんに子供ができる薬を求めて、さいはての地に住む「女薬草まじない師」に会うため、勇敢な狩人だった若者が旅に出る。
特にアフリカでは不妊は重要な問題だからね。
得意の弓を持って、ジャングルの奥地へ!立ちふさがる「首の取り外しがきく男」!
「アブノーマルな蹲踞の姿勢の男」!
日陰で休んでいたら日陰ごとエレベーターみたいに空中を飛んで行って、日陰を盗んだ罪で糾弾されたり、何となく数か月だと思っていた旅路が5年以上たっていたり、時間感覚も名前のセンスも独特でこれが異国情緒っていうのか、なんかもうわからない。遠く遠くの異文化の、自分が知らない国にも物語があって、想像力を使って小説を書く文化があることが喜びになる。
無事に終盤では「子宝を授かるスープ」を手に入れて、きっちりふたをしたあとで、
「どんなにお腹がすいても、決して帰る途中で飲んではいけませんよ」
と、浦島太郎の玉手箱みたいに念を押される。
絶対この後口にしてしまいたくなる展開が待っているんだろうな、と予想できてしまうんだけど、本当に、手に入れるのに作中で何年もかかったはずなのに、飲んでしまうまでのテンポが速くて笑った。
よく、映画のストーリーを分析すると結局は何パターンかに分けられる、なんて言うけど、それでいう「行って帰ってくる話」。
同作者の前作「やし酒飲み」のほうが自由に破綻していて、創作に行き詰まった人を救ってくれるらしい。
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読んでくれてありがとうございます。
これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。