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素敵な作品・勉強になる記事

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素敵なクリエイターさん方の作品はここに整理しようと思います。 自分の未熟さに笑えてきます。 何度も読みたい。 がんばろっと思います✨
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#小説

掌編小説|ついたち

掌編小説|ついたち

 足音が近づく。手にしていたスマートフォンは布団の中に隠し、枕元にあった漫画を開いた。
 予想通り、足音は私の部屋の前で止まり、次にはドアをノックされた。
「こん、ばん、み」
 気に入っているタレントの挨拶を真似て部屋へ入ってきた母は、手にコミック本を数冊抱えている。
「どうしたの、それ」
 触れないのも気まずい。だから質問を投げた。
「もうさ、我慢できなくて大人買いよ。知ってるよね?〝あたいらの

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感情が揺れ動くことはあるのも一般的

感情が揺れ動くことはあるのも一般的

まずはひーさんの記事からご覧ください

最近、考えていたことから感じたのは
「人との距離感の必要性」

自己啓発では他人に頼ることが推奨される
しかし頼りすぎるのは良くないと思う

昨日の他人も今日の他人も、わたしが知らないだけで何かに影響されて変わっているかもしれない
「今日もちょっとぐらい」甘えてしまい怒られる
そして裏切り者だの、傷ついただの喚き散らす

ひーさんのメモは非常に興味深い

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ミッドナイト・ランドリー【ピリカ文庫】

ミッドナイト・ランドリー【ピリカ文庫】

すすぎの音を立てるドラム式の洗濯乾燥機の中で、元気に泳いでいるのは河童だった。

洗濯槽が右に左に回転するたびに生み出される、ねじれた水流の中をほとんど転がるようにして、河童は短い手足で気持ちよさそうに水を掻いている。ウィルキンソン炭酸のずんぐりとした1Lペットボトルほどの大きさしかないので、河童はまだ子どもなのだろう。マンションの一階部分に完備されたコインランドリーの、二台並べ置かれたうちの右側

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掌編小説 | レディー・キラー

掌編小説 | レディー・キラー

 〝花 吹雪〟と書かれた名刺を渡された。綺麗な名前だねと言ったら、左隣に座るその女性は僕から少し体を離して、嘘でしょ?、と笑った。
「うそじゃないよ。なんで?」
「ねえ。これ、読めないの?」
 そう言って、名刺の文字を細い指先でなぞりながら、僕にもう一度読むように促す。
「はな、ふぶ……えっ」
 女性は笑い出した。
「ね、面白いでしょ」
 彼女が体を揺らして笑うので、いい香りがする。カウンターの中

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短編 | 赤と黒

短編 | 赤と黒

地下室に隠れている男がいた。

「お前の名前は?」

「言えぬ」

「言わないのなら撃つぞ」

「お前たちは本気で言っているのか?私の顔を見て気づかないとは愚か者めが」

「口を慎め!何様のつもりだ!撃つぞ!」

「私はこの国の王だ!」

「えっ?!」

 私たちは男の思わぬ言葉に耳を疑った。本当か?こんな砲弾の飛び交う場所に護衛の者をひとりも付けることなく隠れているなどあり得るだろうか?

 私

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文章を書くときに気をつけていること。 (ひーさん🌙✨お題)

文章を書くときに気をつけていること。 (ひーさん🌙✨お題)

風呂場の脱衣所に置かれた洗濯機の横に腰掛ける。
洗濯が終わったことを告げる通知音を聞いてやってきたものの、小説を書き始めてしまったから、洗濯ものを広げつつ寒い脱衣所で書くことにした。

最近はnoteに投稿する小説はだいたいスマートフォンで書いている。
以前は紙のノートだったり、パソコンを優先していたが、寝転がっていても、なにかの途中でも書けるのでやはり便利。

昨夜こちらの記事を拝読し、自分が文

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読みやすさは親しみやすさ

読みやすさは親しみやすさ

高校時代の制服はブレザーで
勉強さえしていれば校則が緩い、楽勝学校
個性がほしくて皆がやること以外を求めた

ラルフローレンの靴下は、ももまろ
天然金髪に踊るリボンは、ももまろ
ランコムのトレゾアは、ももまろ

以下、身バレ防止で控えるとして
何かの病気ぐらいに、自分をマーキングした

文章も同じで、お金をもらわない
これといった規則がない中では
一貫性を重視し、主語を明瞭にし、リズミカルに
「わ

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他人に機嫌を取ってもらう

他人に機嫌を取ってもらう

喜びが見出せなくて

よく「自分の機嫌は自分で取る」
見かけるよ、見かけるけどさ
たまには他人に機嫌をとってほしい

しかし、他人や世間の批判ばかりして
自分を変えようとしない、わたしもイヤじゃん
他責思考を拗らせているんだから

何か、なにか他人から喜びがもらえて
機嫌を取ってもらえて
善行になる方法はないか

毎朝、家の前で落ち葉掃きはしているよ
落ち葉は車がスリップする原因になるものね
「も

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この歳で母に説教される

この歳で母に説教される

うちの母は、メンタル最強で
一瞬しょげても、立ち直りが早い

「うつ病です」「糖尿病です」他人の有り様へ
「悪かったですね。お大事に」

母から言わせれば、生きている以上
病気をしない方がおかしいと言う
共感や共鳴がなく、労りと事実を受け止めるのみ

母の感受性は人並みにあるが、共感するのは別で
本、ドラマや映画へ感情移入する人ではなく
構成や印象に残るセリフを拾って
メモ帳に書いていくタイプ

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人は、それほど気をしてない

人は、それほど気をしてない

誰かに必要とされたい
誰かに特別と思われたい

先に悲しいお知らせをすれば
他人ってのは、自分がどれだけ人格者でも
反対にダメ人間街道にいても
それほど気をしてないのよ

気にするとすれば、実利を与える人より
損や危害を加えた人を意識する

「誰からも必要とされてない…孤独だ」
自分を傷つけているのは、常に自分

何かに努力したとき、成功したとき
気持ちにすきま風が入ったとき
他人に見て欲しいかも

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私になる (縦スク文庫)

私になる (縦スク文庫)

心躍る魅惑の世界
光の集まるそこに 真夜中の混沌
暗い気持ちを 上へ上へと 押し上げる
自分の鼓動など聞くな

速まるリズム
交わる人々
交わされる 軽々しい 言葉たち

振り返る
そこに あのこはいない

戻らない

あのこのいない 場所へ
あのこではない 誰かになる

心のネジをふたひねり
「さあ わたしは  だれ」

今は精一杯
忘れるとき

あのこは 私
#縦スク文庫

縦スク文庫を作

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【短編小説】飛び降り自殺した幼馴染が蘇って、今日もまた自殺した。

【短編小説】飛び降り自殺した幼馴染が蘇って、今日もまた自殺した。


——昨日、幼馴染の神崎君が自殺した。

飛び降りだった。
特に何の前触れもなかった。

ちょっと散歩するような感じで。
彼は、放課後の高校の屋上から、私の目の前で飛び降りた。

でも、これだけならただの不幸な事故だろう。
問題は彼の死体が見つからないことだ。

「夢でも見たかな?」

私はまず、自分の正気を疑った。
けど残念ながら、私はこの目でしっかりと見ていた。
彼が飛び降りて、地面に激突する

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ももまろ的主観解釈のワード

ももまろ的主観解釈のワード

そろそろ、うちの近所では夜中に雉が鳴く
雉の轟は慣れないと、心臓に悪い

『雉も鳴かずば撃たれまい』類語は
口は災いの元かと思えば
『出る杭は打たれる』

余計なことを言って、自分の首を絞める人と
秀でた人が目立って足を引っ張られるは
一見して、意味が異なる
どうして類語とされているのだろう

わたしの考えでは、杭は基本同じ長さで
均一に打ち込むから、基礎が強くなるのであり
1本出ていると、基盤が

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ゆで卵男 (短編小説)

ゆで卵男 (短編小説)

体の右側がいつもより騒がしい気がして、僕は詰めていたイヤホンを外した。

「ゆで卵を食べたいんだ」

はっきり聞こえるその声は、大声で主張している。
その前に、僕がいるここはどこだっただろう。
目の前にはノートパソコン。その隣には皿があり、卵の殻と粗塩が少々乗っている。
あまりに作業に没頭していて瞬時に思い出せなかったが、ここはカフェで、僕は朝食を取っていたようだ。

「目玉焼きじゃ代わりにならん

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