至極のおつまみレシピ その0.00 刺身の雑味の始末 (番外編) 家政学の奥深さ (食材と細胞膜) 当たり前過ぎて意識しなくなっていること 当たり前過ぎて意識しなくなっていること
義父が家政学は理系だと言っていた事を思い出したという蛇足です。
刺身の雑味の始末に関して、食材、特にその細胞膜の性質について浸透圧とかイオンの拡散とか、深い洞察力が必要でした。
【家政学の美しさ】
その辺りはこちらをお楽しみ下さい。
加えて物理学的な意味での美しさに通ずるシンプルにして雄弁な成果(例えば、海水同程度の濃度の精製塩水でマグロの雑味を始末するというソリューション)を、おつまみというお料理のプロトコルの中で表現するというとても素敵で楽しい世界。しかもそこに優雅に遊ぶ心の余裕も。
複雑なものの本質を捉えて単純化して遊ぶ
(まるで物理学、しかも遊びの余地は上かも)
家政学って本当に面白いですね~。
【家政学の知見と一般的な知見の接点】
食物学科の領域なのでしょうが、古典的な料理人の方々の中には「マグロは海でとったのだから海水での処理が最適」と言われる方が居て、だから海水の濃度に近い塩水で処理をすることが理に適っていると仰る。確かに結果としては私が試行錯誤をした末にやってる事と同じ何ですよね。多少理屈に飛びがあっても
良い(直)感をしているなぁ
と感心してしまいます。
【物理屋としての雑感】
因みに細胞内液(つまり細胞(膜)の内側の液体)の塩分濃度は約0.9%で、海水の約3.5%に比べると低いのですが、そもそも原始海水は現在の海水よりもカリウム濃度が高かったようです。それで細胞質基質の電解質(つまり細胞(膜)の内側の液体)の組成は、地球に生命が誕生した頃の海水の組成に近いと考えられています。
(それを内包した刺身を今扱っている…)
一方細胞外液(つまり細胞(膜)の外側の液体)の組成は、浸透圧が低くナトリウムの比率が高くなっていて、これは生命が海から陸上に生活圏を広げた頃の海水の組成に近いと考えられています。つまり陸上の生物の細胞質基質や細胞外液などは、太古の海水の組成を今に伝えているということになりますよね。
(それの1例がこの作業をしている私という存在。魚の細胞膜と私の細胞膜が接触して作業してる…)
諸説有るのですが、私としてはまぁこんな感じかなぁと
つまり、
奮闘した刺身の雑味の始末の基本として生命細胞内外の液質成分と濃度が地球での生命進化の軌跡とも言えることに思いを馳せつつ、折角頂いた命を如何に失礼なく丁寧に(細胞膜の性質について浸透圧とかイオンの拡散とか考慮して)扱うかという一連の所作に配慮してる
ということをしていると自覚した次第。
家政学は奥深い。
“義父が家政学は理系だ”と言っていた事を思い出し、改めてそれを認識しました。
蛇足
海水には、微生物含めて沢山の生物、不純物が含まれています。それをそのまま刺身の処理使うのもアリです。対極には精製塩のみで作った3.5%の塩水で処理するのもアリ。その間で、例えばにがりを上手く使いこなして食べる直前に少し海の味を加えて楽しむなんてのものアリ。
にがりの件(くだり)は以下をお楽しみ下さい。
ということで3編と少し引っ張ってしまいましたが、思って居たことは全て残せました。(自己満足)
超蛇足
家政学を学んでいる人にも届くと良いなぁ
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