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#歴史

司馬光の「資治通鑑」感想文

司馬光の「資治通鑑」感想文

司馬光の「資治通鑑」感想文

司馬光の「資治通鑑」は、中国歴史学の宝石とも言える作品です。この壮大な編年体の歴史書は、紀元前403年から959年に至るまでの1362年間の中国の歴史を網羅しています。

司馬光は、この膨大な歴史の流れを、読者が理解しやすいように整理し、政治家や学者が参照すべき書としてまとめ上げました。

「資治通鑑」は、その名の通り「治を資く」という意味を持ち、統治者が歴史から学び

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辻村美月『東京會舘とわたし』レビュー

辻村美月『東京會舘とわたし』レビュー

『東京會舘とわたし』レビュー

プロット
『東京會舘とわたし』は、東京會舘という実在の建物を舞台に、異なる時代を生きた人々の物語を紡いでいます。物語は大正時代から現代までの長い歴史を背景に、震災や戦争、オリンピックなどの大きな出来事を通じて、東京會舘に関わる人々の人生を描いています。各章は独立した短編のように構成されており、それぞれのエピソードが一つの大きな物語を形成しています。

キャラクター開

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【読書】岩波新書「遣唐使」の魅力を探る

【読書】岩波新書「遣唐使」の魅力を探る

岩波新書「遣唐使」の魅力を探る

日本の古代外交の歴史において、遣唐使は非常に重要な役割を果たしています。

7世紀から9世紀にかけて、日本は多くの使節団を唐の都へと派遣しました。これらの使節団は、政治的な使命を帯びると同時に、文化や技術の交流を通じて、日本の発展に大きく寄与しました。

岩波新書「遣唐使」は、この歴史的な使命に焦点を当て、当時の日本と唐の関係を深く掘り下げています。

この本は、

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「諦めるなよ、漢(おとこ)だろ?」酔いどれ農夫から皇帝へ~司馬遷「史記・高祖本記」

「諦めるなよ、漢(おとこ)だろ?」酔いどれ農夫から皇帝へ~司馬遷「史記・高祖本記」

司馬遷の『史記』、特に「高祖本記」は、中国古代の歴史を紐解く鍵となる文献です。この部分は、漢の高祖劉邦の生涯を描いており、彼の英雄的な逸話から政治的な策略まで、多岐にわたる内容が記されています。司馬遷自身が太史公としての役割を果たし、前漢の武帝の時代に編纂されたこの歴史書は、その後の中国の歴史書の標準となる「紀伝体」の形式を確立しました。

「高祖本記」は、劉邦がどのようにして秦を倒し、漢を建国し

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【読書】小学生で読んだ初めての歴史小説『国盗り物語』司馬遼太郎

【読書】小学生で読んだ初めての歴史小説『国盗り物語』司馬遼太郎

国盗り物語 ブックレビュー

プロット解説:
司馬遼太郎の「国盗り物語」は、戦国時代を舞台にした壮大な歴史小説です。この物語は、力と知恵を駆使して天下統一を目指す織田信長や豊臣秀吉、徳川家康といった武将たちの野望と戦略を描いています。小学生の頃に初めて読むには複雑なプロットですが、日本の歴史に対する理解を深めるための素晴らしい入門書と言えるでしょう。

キャラクター開発:
主要な武将たちは、それぞ

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【連載評伝】劇秦美新~王莽~最終話「予は天子。漢兵に何が出来ようぞ!」

【連載評伝】劇秦美新~王莽~最終話「予は天子。漢兵に何が出来ようぞ!」

王莽の昆陽の戦い後の混乱を描いた物語

昆陽の戦いの後、王莽の新朝は大きな打撃を受けました。かつての確固たる権威は揺らぎ、彼の統治は危機に瀕していました。この物語は、王莽が直面した内外の圧力と、彼の統治の崩壊への道を探ります。

第一章:敗北の影
昆陽の戦いでの敗北は、王莽にとって予期せぬ出来事でした。彼は自らの不死性と神聖な支配を信じて疑わなかった。しかし、現実は残酷で、彼の軍は敗走し、彼の権威

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【読書】「天下と天朝の中国史」漢民族と夷狄・東夷と呼ばれた日本と中国の関係

【読書】「天下と天朝の中国史」漢民族と夷狄・東夷と呼ばれた日本と中国の関係

🗾🐼日本と中国

 「天下と天朝の中国史」は、檀上寛さんが書いた中国史の一冊です。この本では、中国の歴代王朝がどのように「天下」と「天朝」という概念を用いて自らの統治を正当化し、周辺の国々との関係を築いてきたかを、古代から現代まで横断的に分析しています。その前に近年の中国の経済成長の様子から見ていきましょう。 

中国の経済成長は興味深いトピックではないでしょうか。2021年の実質GDP成長率

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2024年大河ドラマ「光る君へ」紫式部、藤原道長、奥州藤原氏を予習

2024年大河ドラマ「光る君へ」紫式部、藤原道長、奥州藤原氏を予習

NHKが2024年に放送予定の大河ドラマのタイトルが『光る君へ』であると発表しました。主演は吉高由里子が務め、紫式部/まひろを演じます。脚本は大石静氏が手掛け、平安時代に「源氏物語」を著した紫式部の一生を描きます。物語は貴族文化が花開いた平安時代を舞台に、最高権力者となる藤原道長との関わりや、執筆への情熱などを盛り込んだ華やかなものとなる予定です。

概要大河ドラマ「光る君へ」は、平安時代を舞台に

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【文選2】諸葛亮『出師の表』忠義の士、先帝に報い逆賊曹魏を討つ。北伐への決意表明!!

【文選2】諸葛亮『出師の表』忠義の士、先帝に報い逆賊曹魏を討つ。北伐への決意表明!!

今回は『文選』の第2回目になります。

 『文選』(もんぜん)は、中国南北朝時代の南朝梁の昭明太子蕭統によって編纂された詩文集で、全30巻となります。この詩文集は、春秋戦国時代から南朝梁までの文学者131名による賦・詩・文章800余の作品を、37のジャンルに分類して収録されています。隋唐以前を代表する文学作品の多くを網羅しており、中国古典文学の研究者にとって必読書とされています。収録作品のみならず

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【文選】屈原の『離騒』~悲劇の忠臣の苦悩を描いた詩作

【文選】屈原の『離騒』~悲劇の忠臣の苦悩を描いた詩作

『文選』は、中国南北朝時代の南朝梁の昭明太子蕭統によって編纂された詩文集です。全30巻には、春秋戦国時代から南朝梁までの文学者131名による賦・詩・文章800余の作品を、37のジャンルに分類して収録されています。隋唐以前を代表する文学作品の多くを網羅しており、中国古典文学の研究者にとって必読書とされています。収録作品のみならず、昭明太子自身による序文も六朝時代の文学史論として高く評価されています。

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犬公方綱吉は身長127cm?まさかの真実!徳川歴代15将軍の意外なプロフィール暴露!

犬公方綱吉は身長127cm?まさかの真実!徳川歴代15将軍の意外なプロフィール暴露!

みなさん、わたしのnoteをご覧いただきまして、ありがとうございます😀

NHKの大河ドラマ「どうする家康」はご覧になっていますか?

1600年に徳川家康が関ヶ原の戦いで勝利し、家康は後陽成天皇から征夷大将軍(せいいたいしょうぐん)に任命され、江戸に幕府を開きました。つまり、徳川幕府(江戸幕府)の始まりです。 征夷大将軍とは天皇家に関係する重要な役職であり、これによって徳川将軍が政権を握り、1

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唐の太宗『貞観政要』を読了して

唐の太宗『貞観政要』を読了して

もともと中国史が好きで、関係する書籍はほとんど目を通しています。
司馬遷の『史記』に始まって、24史。
20代から30代までは、どっぷりと中国史につかってました。
いつかは読まなきゃと思っていたのが、この『貞観政要』

言うまでもなく、中国の皇帝で、一、二を争う名君である、
唐の太宗こと李世民。
彼の臣下との問答集がこれなんですね。

本作は、歴代中華皇帝はもとより、
日本でも、源頼朝、妻の北条政

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