神無月はすぐそこ 二本の木の間から見上げた 昼間の白い月 昨日はまだ半月に見えた 今日は白い三日月 倒す前に切り取ればいつでも会えた 薄雲が隠したのか 空に溶けたのか 昨日の彼も 今日の彼も もういない 明日は雨なら 顔を見せないのだろう
男が三人集まれば猥談が始まり 女が三人集まれば密談が始まり 男女七人集まれば曝け出す心地よさが生まれる 日本人は静かな空間で秘密を共有するのが好きなのだ 気がつけば桜が咲いていた 幾本も幾本も・・ さらさらとどこかの小川も流れることだろう 白梅の中の紅く(繰)れない 今日も桜見る
オレンジ色の灯がゆらぐ 壁一面に染まる あなたの影が大きく映し出される わたしを映さないでほしいの 影が一瞬、人魚の尾鰭のように壁を叩きつけて散る 身をよじり体をかたくする 隠れていても見つかって 安静を破られる気がするから 大きな影がくちづけする あなたは二度、人魚の名を呼んだ
家のあかりがついていたの 窓が黄色のひかり 異次元みたいな あふれてまあるい 知らない世界 待っていてくれる人がいるの うれしい マスクのした 笑っていたの ひよこみたいにもぐりこむ もぞもぞもぞもぞ 手探りの恋はくすっぐたい
清く 澄んでいたい 風を知りたい どこへ行くのか
枯木に花を咲かせましょう 後悔の灰を振り撒いて 涙の海を漕ぎ出して あけぼのの空が見える頃 一緒に消えていくあなた 体温がまだ覚えている わたしの桜色の頬紅を 太陽がいつしか涙の海を浄化して あなたの咽を潤す雫となる 空には星屑 仕掛けた糸を手繰る 網の中も星屑 地球の裏で会えた
手の内に入れてしまったら 最初は嬉しくて心が跳びはねているようだろうね からだが軽くなったように きみを思い出してばかり ふわふわ薄桃色の雲に乗ったみたい きみの本心がぼくに向いたら天にもあがる きみは抱いていると温かい でもきみの心は氷の石 誰かを想うきみは綺麗だ 失いたくない
真夜中に走る工輪 黒がねの車輪が闇の中を 駆け抜けてゆく 静寂が戻り どこまでも黒い森
朱い野を跳びおどる 金色のうさぎ 火之神神楽があるというならば 焔中に立ちて一瞥の嘲笑と共に 火の粉に舞い 一夜のうちに大火を留めん
◇◆白い闇◆◇ 闇を黒いと決めつけたのは誰か? 真白(ましろ)の中にも しらぬ間に陰ができる うっかりするとおりが澱む 自分を見張っているものが 目の端に映るとこころの角の 隙間に逃げ込んだ 問いかける 自分が敵 正義の中の内ポケットに 今も入れたままの惰性
原野に立ちて 思う 手を伸ばしても 沈む夕陽はつかめない 宵闇は少し安心するけれど それは飼われていても 軒があるから 放たれた野の夜には為すすべもない このあとの闇は 語れない
白梅に似ていた きらきらと水面にはぜた煌めきが ゆらゆらと 思いのほか流されぬ 泥ふかく根をはる君は藻の花の 更に白い面の唇を 食べてみたいと手を伸ばす 蛇の苺はきみのこと 華の悪意は微笑んで チロチロ赤い舌が出た 蛙は動けずあやつられ 心配そうな梅藻花 いつに食おうか たるら虫
そのチャリンコに むかしは何を乗せていた? ガンプラ? 汗臭いジャージ? 漫画本?女の子? 今、乗せているものは 宝物ですか しあわせですか
きりとって・・ とじこめて・・ あいのうた・・
追いかけた横顔 見送った背中 飛び込んだシャツの胸 背中合わせで聞いた夢 腕まくりして取ってくれたもの ドリブルしながらふざけた道 寒い冬に咲いて 春に美味しい実をつけるもの 寒い冬に青々とした葉に 真っ赤な実をぶら下げて 細い茎でも踏ん張って 命の色を見せてくれる さあ、帰ろう
たはむれて 草の庵に花たずねん 露のみちくさ 白羽根のしとねは
会えない刻が 愛を育てるって いうけれど だれがそんなこと いいだしたんだい?
椿の花 ぽとり 花ごと丸ごと 落ちる花 赤い椿につもる雪 綺麗な女の人みたいよ だけどおまえ 首から落ちる花だから お侍さんは嫌いなんだよ 首を落とされると 御家が潰れてしまうだろう 牡丹の花もくずれ花 身を持ちくずすから あんまりお屋敷に植えたくないね 夢二は好きな花よ 綺麗よ
わだかまり 明日はきっと 雲の向こう側
さよなら って言ってみる さようなら って言うより わたしは好きだ 誰かを思って言うのかもしれないし 変なキモチに向かって言うのかもしれない 自分のことだってわかっているようで わかっていないのだもの だけど 怒ってるんじゃないよ さよなら ね? やさしく聞こえてくるでしょ
こんなに愛しているのに わかってくれないと思うのは 傲慢だろうか こんなに愛してくれているのに わかろうとしないのは 怠慢だろうか ふたりの磁石は 時々SとSかNとN アナタイタズラシタ? サアネ! ソレカラマタSトN 時々SNS かなりSNS 嗚呼 やきもち妬く アンチクショウ