詩のようなもの#7~9

7,収末

春と呼ぶには暑すぎる夜 

のぼせてぼやけた頭でも分かることだった

単純でたったそれだけのことなのに

僕の歴史の何十ページをも埋めていたものを失うのが 恐ろしく

別れと呼ぶには明るすぎて 進歩と呼ぶには遠すぎて

それでも一歩踏み出していて 北では桜が散っている


いつの間にか朝が来ていた 

嫌いで仕方ない朝日でも新しい時代の幕開けに目が霞んでいて

僕の虚しさを少しずつ埋めていった

憧れと呼ぶには近すぎて 友と呼ぶには大きすぎて

それでも寄り添ってくれていて ずっと道は続いている


また会う日までと いつものように 力強く言い放った

涙を見せず笑い飛ばして 爆弾落として さようなら



8,ひととき

顔の彫りを確かめて 伸びかけた髭をなぞって

チクチクしたこの痛みを忘れないように


9,化粧

ウォータープルーフの綺麗な涙に負けた

下品なホテル街

消えていった背中

抱かれていたなんて




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