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2021年8月の記事一覧
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~280
「ねえ、おばあちゃん、私には何が足りないのかしら。あと何があれば全てを吹っ切ることができるのかしら。おばあちゃん、教えて。おばあちゃん、何とか言って。おばあちゃん、おばあちゃん、おばあちゃん……」
*
(紗希ちゃん、何も足りないことなんてありゃしないよ。あと何がって、これ以上何もなくたって、十分なんだよ。紗希ちゃんは、口には出さないけど誰よりも頑張ってること、おばあちゃんはいつも見て知ってるよ
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~279
「もういい加減、私が私を解放してあげなければ、一体誰が私を完璧という『幻想』から解放するというのだろう。私が私を許してあげなければ、一体誰が私を許すというのだろう。私は『完璧』でも何でもないし、誰にもなれないし、痩せ続けることも出来ないのだから」
*
今夜も、月の光が部屋に差し込んでいた。太陽とは違う、柔らかな、それでいて眩しいくらいの光。太陽は、自ら光を出しているけれど、月は、自ら光を出して
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~278
私は、私一人では『完璧』から逃れることが出来なかった。
私は、完璧から解放される『言葉』を見つけることが出来なかった。
だから私は、必死になって『痩せること』で『完璧』から逃れようとした。
だから私は、全てを『吐き出す』ことで『完璧』から解放されようとした。
だけど私は、どんなに痩せても『完璧』から逃れることは出来なかった。
だけど私は、全てを吐き出しても『完璧』から解放されることはなか
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~277
「私は、いつでも『完璧』『100点満点』を目指していた。それが『普通』だったし『当たり前』だった。そうすることを『期待』されていたし、それが出来ると信じていたし、実際そうすることが出来ていた。でも、ある時からそれがだんだん出来なくなってきて、辛くなってきて、自分を責めることが多くなっていった。もしおばあちゃんがその時も、今もずっと生きていて、私のそばにいてくれたら、多分夢の中のように話をしてくれた
もっとみる摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~276
やっぱり今日も、相当疲れていたようだった。電車に乗って、運良く空いていた席を見つけると、頭で考えるより先に身体が動いていた。座って一息ついた直後から熟睡してしまった。
*
(紗希ちゃん、いつでも100点満点じゃあなくたって、いいんだよ。90点だって、80点だって、十分なんだから。紗希ちゃんが精一杯やった結果なんだから、ダメだなんて思わなくたっていいんだよ。人間誰だって、調子のいい時もうまくいか
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~275
私の、私だけの、私のための『物語』。
私の、私だけの、私のための『ストーリー』。
私は、私の『物語』の『主人公』。
私は、私の『物語』の中で生きていく。
私が、私の『物語』を作って、演じていく。
私は、私の『ストーリー』の『主人公』。
私は、私の『ストーリー』の中で生きていく。
私が、私の『ストーリー』を作って、演じていく。
*
「そうよね、私は私のために生きていく。私が『主人公
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~274
仮に、私の聞いたことが本当じゃなかったとしても、私がそう思って、私が安心出来て、私がそう信じてることが『大切』で、それが正に
私の、私による、私のための『マイルール』
で、私が良ければそれでいい。そんな、私がポジティブになれる『マイルール』を一つ一つ増やしていければ、私が私を『解放』することが出来るかもしれない。
*
私は、私。
私以上でも、私以下でもない、誰でもない私。
私は、私自身
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~273
『痩せている』ことと『痩せたい』気持ちは、同じではないのかもしれない。
今の私は、以前のような『とにかく痩せたい』と全く同じ気持ちではなくて、痩せていれば『安心』だったり、痩せていればこの先考えなくてはならない『難しい何か』に向き合わなくて済んだり、痩せることだけを考えていればいいと思っていたり、何かそんな感覚があるような気がした。
*
今の私は、
ただ痩せていればそれで満足
ただ痩せて
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~272
今までの習慣や今までの自分を変えること、新しい一歩を踏み出すことは、不安だし、怖くもあるし、躊躇ってしまう。
だけど、そこに向き合うことを避けるための『痩せたい』だとしたら、いつまでたっても『痩せたい』からは逃れられない。私は、本当は『痩せたい』のではなくて『痩せたい』に守られて、安心したいだけなのかもしれない……
*
アイスがすっかり溶けてしまったパフェは、いつの間にか『芸術品』ではなくな
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~271
だって、人は一人で生きてはいけないのだから。
私だって、本当は寂しくて仕方がないのだから。
私だって、本当はみんなと繋がりたいのだから。
私だって、本当は『普通に』食べたいのだから。
私だって、本当は『痩せたい』訳ではないのだから……
*
さっきまでは、芸術品か何かのように美しく盛り付けられたパフェを食べて、一人贅沢な気分を存分に味わっていたのに、食べながら考え事をしていたら、今までの
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~270
今まで、私は『痩せること』を優先するあまり『食べること』を犠牲にしてきた。
それは正に、人とコミュニケーションをとること、人と繋がることを犠牲にしてきた、ということなのかもしれない。
人は、一人で生きてはいけない。
私が今まで追い求めてきた『痩せること』は、人とのコミュニケーションや人と繋がることを自ら遠ざけることになっていたのかもしれない。
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「そうだよね、今日だって本当は誘えるもの
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~269
「私は『食べること』からは離れて『幸せ』になれる方法を探してみたけれど、どうやら『食べること』からは離れられないようね」
『食べること』で壊れてしまった心は、『食べること』でしか癒すことが出来ないのかもしれない……
*
『たまには、食べ物以外の買い物でもしようかなぁ』なんて思って出かけてみたけれど、行き着く先は『食べること』になってしまった。それでも、今日ここに辿り着いたことには満足している
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~268
パフェというよりは、芸術品か何かのように美しく盛り付けられたメロンが、ホテルのラウンジという上品な空間ピッタリとはまっていた。食べるのが憚られるような気品さえ漂っている。私は、その『芸術品』を少しだけ眺めてから、ありがたくいただくことにした。
「いただきます」
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メロンが甘い。甘くてみずみずしい。砂糖とは違う、自然な甘さが爽やかで、さっきまでの暑さを忘れさせてくれる。
メロン味のアイスや
摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~267
「私も、完璧を追い求めるよりも、もっと『偶然』とか『直感』みたいなものを信じてもいいのかもしれない。永遠に『完璧』にはなれない『完璧主義』を、手放してもいいのかもしれない。いつまでも自分にしかわからない、自分にしか通用しないような『拘り』に縋って、依存することはないのかもしれない。私が私を許さなければ、私が私を解放しなければ、私は『その先』の世界へは辿り着けないのかもしれない」
*
どれくらい