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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~279


「もういい加減、私が私を解放してあげなければ、一体誰が私を完璧という『幻想』から解放するというのだろう。私が私を許してあげなければ、一体誰が私を許すというのだろう。私は『完璧』でも何でもないし、誰にもなれないし、痩せ続けることも出来ないのだから」

今夜も、月の光が部屋に差し込んでいた。太陽とは違う、柔らかな、それでいて眩しいくらいの光。太陽は、自ら光を出しているけれど、月は、自ら光を出して輝いているのではない。太陽の光を反射して輝いているだけ。それでも、月は、未だに自分の力だけでは変わることの出来ない今の私を象徴しているような気がした。

「自ら光を出して輝かなくてもいい。太陽の光を反射して輝いているだけでもいい。今夜の月のように、暗くて、何もない、殺風景な私の部屋を照らしてくれるような、そんな光を反射してでも出すことが出来たら、何かが変わるのかもしれない。それとも、月の光が、私の部屋だけではなくて、暗くて、何もない、空虚な私の『心』を照らしてくれれば、なかなか踏み出せない『もう一歩』を踏み出す『勇気』が持てるのかもしれない」

そんなことを考えてしまうけれど、それでも『月の光』にはいつもいつも優しく包み込まれているような気がして、何だかとても癒される。

そう、私はいつだって考え過ぎているのかもしれない。考えても考えても答えに辿り着くことが出来ないことや、答えのないようなことをいつまでも考え続けて、自分で自分を苦しめているだけなのかもしれない。

(紗希ちゃん、そんな難しいこと考えたって、疲れちゃうだけだよ。出来ない時は出来んし、出来る時は出来る。世の中の流れに逆らっちゃ、いけないよ。時間が経てば、きっと出来るようになるから。それよりほら、美味しいもんたくさん食べて、力つけないと。治るもんも治らんよ。心配せんでも、小さい頃から紗希ちゃんは何でも出来たんだから、ちょっと考え過ぎて、疲れちゃってお休みしとるだけなんよ。またいつでも話においで、おばあちゃん、いつでも待っとるからね……)

「ねえ、おばあちゃん、私には何が足りないのかしら。あと何があれば全てを吹っ切ることができるのかしら。おばあちゃん、教えて。おばあちゃん、何とか言って。おばあちゃん、おばあちゃん、おばあちゃん……」


今日もありがとうございます。

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