成長するために手放すもの|女性社長の頭の中
卒業がおめでたい理由
「何かを手に入れるということは、何かを手放なすこと」
と言いますが、卒業は今ある地位や場所や習慣を手放すと言うことだなと思うのです。
そして、手放したらその余白に新しいものが入ってきます。
卒業は、強制的に環境や人間関係、習慣など、何かを手放し、新しい可能性を得ることです。
だから、わたしも学生さんたちの卒業に際して、学位を取得したことを祝うより、新たな門出を祝う意味合いを大切にしたいと思うのです。
他方、何かを手に入れたい、変わりたいと思っても、それが実現しない人がいます。それは、手放す勇気がないからかもしれません。
手放すってとっても勇気がいることだから。
『茶の本』の教え、余白の美学
日本の美意識を説いた岡倉天心の『茶の本』では、茶道の思想の原点に、「本質を虚に求める」美意識があると説いています。
これは、道教(老荘思想)に基づく考え方ですが、書道や日本建築、華道の源泉となる思想ですね。
「虚」とは何もないということ。余白は不完全だからこそ、無限の可能性があります。
茶の本には、「琴ならし」という道教徒の物語の引用があります。
誰にも鳴らすことの出来なかった琴を奏でることが出来た名人伯牙(はくが)は、成功の秘訣をこう語りました。
「他の人々は自己の事ばかり歌ったから失敗したのであります。私は琴にその楽想を選ぶことを任せて、琴が伯牙か伯牙が琴か、ほんとうに自分にもわかりませんでした」と。
これをわたしなりに解釈すると、「自分のことしか考えていない人は、自分の器を自分のことでいっぱいにしたから失敗した。成功の秘訣は、自分の器を空けて、他者を受け入れることだった」ということです。
わたしが手放してきたもの
わたしも、人生を振り返るといろんなものを手放して、今の自分を手に入れてきました。
例えば、司法試験受験生でいることを手放して、社会での経験(企業法務やマーケティングの知識と体験)を手に入れました。
会社員であることを手放して、自立して稼ぐ力を手に入れました。
ビジネスアカデミーの経営を辞めたときに、出版の話が舞い込んできました。
手放すと新たな可能性が広がるのです。
手放すものの例
手放すというのは、
・今いる場所を離れる
・今いる地位を捨てる
・思い込んでいることを捨てる
・今していることをやめる
・今の人間関係から離れる
ことなどです。
もっと具体的にいうと、こんなことが手放す対象です。
・いらない洋服
・会社での地位
・目的のないネットサーフィンの時間
・家に帰るとテレビをつける習慣
・住んでいる家
・地元の友だち
・自分の正義
・みんなに気に入られたいという思考
など。
手放す潔さが成長の秘訣
捨てられない人は何も得られません。
それは、自分の器に余白がないから。
手放す潔さは、わたしたちをどんどん成長させてくれます。
タレントの千秋さんは、友人が離婚したときに、
「ハッピーニューライフ!」とお祝いするそうです。
離婚も新たな門出。卒業の1つと捉える面白い考え方ですね。
余白の美、引き算の美を感じる、卒業シーズン。
美を友として世を送った人のみが、麗しい往生をすることができる
『茶の本』より
卒業された方に、おめでとうを届けるとともに、淡々と麗しく行動できる潔い自分でありたいと身が引き締まる思いです。
↑紙の本で『茶の本』読みたい方は、岩波文庫のものもありますが、こちらの訳の方が美しく読みやすいです
↑アウトラインをさらいたい方にはマンガもあるみたいです
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