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「親孝行は3才まで」の意味

「親孝行は3才まで」の意味

桜が終わる季節になると、私の記憶はいつも2015年にトリップする。

ワンピースの下に地球儀を隠し持つかのごとく、まるまると膨らんだおなか。予定日を過ぎても、陣痛が始まってもなかなか出てこない、のんびりやの命。
今、「ほら、もう行くよ」と何度声をかけても目の前の遊びにしか興味のない息子を見ると、あの胎児(こ)にしてこの子あり、と大いに納得するのだけれど、そんな息子ももうすぐ9才である。



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【君の夢は僕の夢】

【君の夢は僕の夢】

「いつか美容系の仕事をしたい。将来、自分のお店を持つのが夢なんだ」

奥さんと付き合い始めた頃、彼女は自分の夢についてそんな風に話していた。

「カットだけじゃなくてスキンケアやネイルができたり、美容に関する相談も気軽に出来るそんなサロンが作れたら良いなって」

自分の夢を語る時の彼女の顔は本当にキラキラしていた。
当時の僕は自分の夢を持つどころか将来設計すらろくに立てていなかった。ただ目の前の仕

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きみは四つ葉のクローバー

きみは四つ葉のクローバー

長女は個性的だ。

赤ちゃんの頃は、どちらかというと大人しい印象で、あまり泣かなかった。ミルクをよく飲み、丸々と太ってよく笑う、可愛い赤ちゃんだった。ただ、いつも何かを探しているような顔つきをしていた。

義母が「名前を呼んでも反応しない。耳が聴こえていないのではないか」と心配していたが、生後すぐ受けた聴力検査は問題無かったし、まだ赤ちゃんだからそんなもんだろう、と気に留めていなかった。初めての子

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"幼稚園への送迎"を全力で味わうと決めた2023年。

"幼稚園への送迎"を全力で味わうと決めた2023年。

12月後半。

期限付きのやらなきゃいけないこと、期限はないけれど今すぐやりたいことが、同時にグアーっと押し寄せてきた。

1分1秒もムダにしたくない。

そんな気持ちが強くなってしまっていた。

やらなきゃいけないことも、やりたいことも、息子がいたら集中してできない。できることがあったとしても、きっと3倍の時間がかかるだろう。

息子がいないときが、それらのことをグッと進めるチャンスなのだ。

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「お母さん」が終わりかけている

「お母さん」が終わりかけている

子どもたちが、すっかり大きくなった。
喜ばしいけど、さみしくもある。

もうトイレについていかなくていいし、電車もおりこうに乗れる。3合お願い!と言っておけばご飯を炊いてくれる。外で手をつなごうとするとふりほどかれる。知らないYoutuberの話で盛り上がっている。今時の歌をすらすらと口ずさむ。娘の身長は、あと少しで私を追い越してしまう。

あんなに小さかった子どもたちが、小学生のお姉さんお兄さん

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【天豆ライフエッセイ】共通テストで漏らすは恥だが役に立つ。

【天豆ライフエッセイ】共通テストで漏らすは恥だが役に立つ。

寒い日にはあの日のことを思い出す。

今年は次男が高校3年になる。

我が家にも俄かに緊張感が漂い始めたが、この1月の時期が近づくと思い出すことがある。

心の奥深くに閉まっていたあの時のことを。

身体の芯で憶えているが消し去りたい記憶。

私は人生で一度だけ失禁したことがある。

それは忘れもしない18歳の寒い冬。当時の共通テスト、センター試験の数学の時間だった。

試験当日、私は極度の緊張に

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いつか巣立つ君たちへ

いつか巣立つ君たちへ

騒がしいな
兄弟そろってキッチンで
晩ごはんを作っている

ペペロンチーノと
カルボナーラをそれぞれ
作ってくれるらしい

二人で大騒ぎしながらの笑い声に
妻のサポートの合いの手が入る

僕はソファに寝転がって
それを聞いている

味がどうなるのか不安だけど
僕の心はもう充分味わって満腹だ

こんなやり取りも数年後には
聞けなく見えなく味わえなくなる

それが自然の流れだけど
それは抱きしめたい切

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親の言葉、子供の言葉。

親の言葉、子供の言葉。

子供はやお父さんとお母さんがいて「すべて」。

お父さんとお母さんが言う言葉を全て吸収する。
それが「ただしいこと」。

それらがいろんな世界を見て感じて「ちがう」ってことがわかってきたら、
大人への入り口に入った証拠。

自分の思いも意見も大事たけれど、
「違うのかも」と一旦立ち止まって考えてみる。

お父さん、お母さんの言葉が常に根底にあるからそこらの兼ね合いでもがく。

そうして試行錯誤しな

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87歳と4歳が一緒にお風呂に入ったら。

87歳と4歳が一緒にお風呂に入ったら。

昭和10年生まれ。姫路の港町で長男として生まれ、家業である魚屋を継ぎ87歳になる今でも現役で店に立つ。

『ようきたなぁ』が口癖のように、いつ遊びに行っても海のような大きな愛情で包んでくれたおじいちゃん。

昔は、頭が良くて働き者で、博識で、とても大きな存在だったおじいちゃんだが、最近はお酒を飲んだことを忘れてお酒がほしいとおばあちゃんにおねだりしては、もう飲んだでしょ?と怒られる。

大きい背中

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机に「死ね」と書かれたキミへ

机に「死ね」と書かれたキミへ

息子の机に「死ね」ということばが書かれていた。

この事実を私が知ったのは、仕事帰りに、実家に子供を迎えに行った時だった。
私の母親は、子供たちを週2回ほど学童に迎えに行き、仕事が終わるまで預かってくれている。非常にありがたいことである。

私は一瞬うまくことばを飲み込めなくて、母親にもう1度聞き返した。

「だからね。死ねって書いてあったんだって。本人が言ってる。担任の先生が書かれた文字の写真を

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子供のさいごの卒業式でも、結局は涙した。

子供のさいごの卒業式でも、結局は涙した。

あしたで、3月が終わろうとしている。

「note」でも、「卒業」に関する記事を書いていらっしゃるのを、よく見かける。

今回は、卒業式にまつわる記事を書いてみようと思う。

私が車を運転できないこと。あと、自営業で時間の融通が利くので、子供たちの保育園の卒園式から、高校の卒業式まで、主人とふたりで子供たちの卒業式に出席した。

最後の卒業式は、3年前の娘の高校の卒業式。

中学の卒業式までは、感

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おかあにはもう夢なんてないだろう。

おかあにはもう夢なんてないだろう。

ずっと本当のことは言っていなかった。
嘘ばかりついていて、だんだん嘘と本当の境目はあやふやになっていた。 

その嘘は誰のため?

全て自分のためだ。 

自分がこの場所で居心地良く過ごすために。

この家族の中に必要とされる私でいるために。

私は20歳で結婚してから何十年も、自分を生きているより役割を生きていた。

もともと自己肯定感が高く、プライドも高かった。

できないことはしてこなかった

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手をつないで一緒に歩いてくれるのはいつまでか

手をつないで一緒に歩いてくれるのはいつまでか

先日、4歳息子と一緒に動物園へ出かけた。

7歳の娘は、動物園ではなくスイミングのテストに向けて練習したい、とのことで父親と市民プールへ。その日は二手に分かれて、別行動。

電車に乗って2人でお出かけ。我が家は車で行動することが多く、電車に乗ることが少ないので珍しく感じるのか、それだけで嬉しそう。

駅に着くと動物が大好きな息子は、ワクワクした様子で動物園へ向かう。

小さな手をしっかりつないで歩

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ピアニカの文字のせつなさ

ピアニカの文字のせつなさ

熊本の被災地に、状況が落ち着いたら寄付しようと思っているものがある。
それは、大学生になった息子のベッドの下に溜めこまれていた学校グッズ。

ピアニカ(鍵盤ハーモニカ)、リコーダー、アルトリコーダー、等々だ。

購入するとそれなりの金額がする。
私が過ごした学校は教科書も、楽器類もすべてレンタル式だった。それだけに度々あった息子のグッズ購入には、学校はなぜ数年しか使わないものを買わせるんだ!使いま

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