シェア
すっとこどっこい丸
2021年4月29日 00:27
『努力は必ず報われる』その言葉の前でいったいどれほどの人が希望を持っただろうか。その言葉の背後でいったいどれほどの人が絶望を味わっただろうか。『愛している』の一言でさえ人は歓喜し、時に涙を流す。優しい言葉は誰かの哀しみでできている悪意をそっと忍ばせた言葉と純粋な感動を掬い取った言葉が同じ音を成すなんて何と罪深いことだろう。だから人は不意に傷つく。だから人は容易に感動する
2021年4月27日 02:07
窓に映る月の輪郭に沿って,指を滑らせる。そうして僕は,先人たちの思考に触れようとした。初めて月の光が偽物だと知った時裏切られた気分になった当時の僕は子供だったからその優しさを理解することが出来なかったのだ。太陽の光線を直接見る事が出来ない僕たちを憐れんでいるのだろうか。あの遥かな光源の優しい部分だけを掬い取ったこの光は星々の輝きを邪魔しないように闇の中をささやかに照ら
2021年4月26日 01:49
僕の近所には緑地がある。江戸時代に灌漑用に作られた人工池と,それを覆い隠すように茂る雑木林から成るその地を,人は『牧野ヶ池緑地』と呼んでいる。僕の住んでいる名古屋市名東区は都会と言い切るにはやや味気ない部分がある。しかし,容易く喧騒を遠ざけることができるほど慎ましい街でもない。だからこそ,手っ取り早く自然を感じることが出来るその場所が昔から好きだった。アスファルトの浮いた遊歩道を歩く。
2021年4月22日 03:11
春の陽気に煽られてゆらりと蠢く青年が一人。春というだけで幸せになれるほど僕は子供じゃないが陽気に惑わされずに済むほど僕は大人ではない。日差しが確かな重量をもって僕にもたれかかっている。微かに滲んだ汗を媒体にして他の季節の記憶を思い出そうとした。卯月の大気は気まぐれで僕の身体を渇いた風で冷やしたかと思えば翌日には汗腺の機能を試したりする。あの寒い日々は何故か遠
2021年4月21日 00:15
「世間知らず」と言われ順当に傷ついた僕は得意面を浮かべ現実逃避と洒落込んだ。20年と少しの年月で必死に築いたこの世界は所詮空想でしかなく住処にするには頼りない。今日はいい天気だ。皮の薄い四肢に春風を纏わせて放蕩に耽る「世間知らず」な僕。夏を待ちわびる樹冠その侘びしげな色彩を僕は知っている。歪んだ背筋が頼りないすぐ隣に位置する背筋を正した建築に怯えているのだ
2021年4月19日 00:21
雨粒が光を反射して街は白い膜に包まれた。やがて大気が落ち着ついて街が雨と闇で黒く染まった頃僕は外に出た。夜は毎度訪れる。それは確かな事だ。昼間の豊かな色彩を,闇が黒く塗りつぶす。人気のない雑木林で,淡々と歩みを進める僕の身体も輪郭を失い,やがて闇と一体化する。街灯は,殆ど無い。手に持っている小さなLEDライトで足元を照らす。照らした地面だけが,明け方の色を取り戻す
2021年4月17日 21:45
せっかく早起きしたのにいつの間にか日が暮れていたそんな日曜日僕も君も暇じゃないけどたまにならいいんじゃない?情熱を保ち続けるのが簡単じゃないことくらい誰だって分かっているさ。『頑張り過ぎだよ』という言葉は時に努力すら否定してしまうけど今の君には必要な言葉だろう何もしなかったことに罪悪感を覚えるくらい真面目な性格なんだから。春に咲いた桜がいずれ散ってしまう事く
2021年4月16日 18:43
自分らしく生きたいなんて自分勝手かな独りで生きられるほど万能ではないから人にすがることで何とかマトモに過ごしてきた無地のキャンバスに塗り広げられた鮮やかな色綺麗だと言う人もいるけれどこれは僕の色彩では無い人気のない夜の街直線的な建物の陰に隠れた広葉樹は随分と背筋が歪んでいるな誰も咎める事はしないけど君も息苦しくなったりするかい?自分らしく生きることって難しい事
2021年4月14日 22:34
私の狂気はマンホールの下で発掘される。暴きだされた感情は淡い糸を紡いで空に達し、拡散する。鰯雲は大きさを増し、やがて宇宙をも覆う。あの娘のチョーカーは夕闇の中で番犬の首輪となり、私の逃避行を追従する。教室を箱庭に。鏡が共反射する、彼等の虚像の虹の尾を掴むのは簡単である。霧吹き1つあれば良い。しかし虹を追うのは少年にしか出来まい。己の純真さを屠った我々には、不純を煽って泡を食うのが限界だ。
2021年4月9日 00:39
心は数字ではない線を一本引いてみても割り切れることなど無い。理想と現実の間の境界が幸福と生活を隔ててしまう「皆、割り切って生きているんだよ」余りはどうやら、捨ててしまうようだ。短い人生の中で沢山の余りを出してきた。いつか役に立つと思い大切に保管していたら僕を圧迫していた。この閉塞感に対する愛着に似た感情は本来抱くべきものではない。「皆、割り切って生きて
2021年4月4日 19:19
街は生きる生かされているこの大きな球の上を僕らは循環し、停滞し、生産し、破壊し、そして時に争ったりする。僕らは地上に張り巡らされた複雑な回路を辿り暗く静かな大陸に姦しい光をもたらす。僕たちは冷えた指先を温めることが優しさだと思っている鮮やかな化粧で彩ることが美しいことだと思っている静寂を排し、賑わいを求めることが普通だと思っている街は生きる生かされている血は何のた
2021年4月3日 22:02
最近日常が崩れている昨日が今日で,今日が明日。時計は時を刻む。暦は日々を区画する。それらの明確な境界が,日常の骨格である。しかし僕はそれに従わない。布団に入り,意識を手放すその瞬間までが,僕の「今日」である。布団から出て,部屋の明かりを点けてからが僕の「明日」である。時計,暦,ニュースキャスターの声,排気音,日光,僕はそれらに従わない。コロナウイルスの流行で僕らの日常は停滞し
2021年4月1日 01:13
つまらない 下らない話をしよう虚数や宇宙の話では無くて例えばホラ 貴方の話とか。僕は孤独鏡に映る 私も孤独目の前のよく似た存在気持ちの悪い 顔をしていた姦しいとはよくいった奴らは今日もおしゃべり,おしゃべり同意同調 愛想相槌聞いてみれば 面白い。非難や批判を礎に奴らが創り上げるのは歪な楽園「アナタのことは良く分かる。同じ悩みを抱えた人はたくさんいるから。」