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ぼくのポエム

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自分で書いた詩をまとめました。 過去作も含みます。 下書き的な側面もあります。 最後の方にその詩を書いた経緯なども載っています
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2021年4月の記事一覧

[詩] 言葉遣い

『努力は必ず報われる』
その言葉の前でいったいどれほどの人が希望を持っただろうか。
その言葉の背後でいったいどれほどの人が絶望を味わっただろうか。

『愛している』の一言でさえ
人は歓喜し、時に涙を流す。
優しい言葉は誰かの哀しみでできている

悪意をそっと忍ばせた言葉と
純粋な感動を掬い取った言葉が
同じ音を成すなんて
何と罪深いことだろう。

だから人は不意に傷つく。
だから人は容易に感動する

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[詩] 月光

窓に映る月の輪郭に沿って,指を滑らせる。
そうして僕は,先人たちの思考に触れようとした。

初めて月の光が偽物だと知った時
裏切られた気分になった
当時の僕は子供だったから
その優しさを理解することが出来なかったのだ。

太陽の光線を
直接見る事が出来ない僕たちを憐れんでいるのだろうか。

あの遥かな光源の
優しい部分だけを掬い取ったこの光は
星々の輝きを邪魔しないように
闇の中を
ささやかに照ら

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【詩?】 僕の愛する『牧野ヶ池緑地』!!

【詩?】 僕の愛する『牧野ヶ池緑地』!!

僕の近所には緑地がある。
江戸時代に灌漑用に作られた人工池と,それを覆い隠すように茂る雑木林から成るその地を,人は『牧野ヶ池緑地』と呼んでいる。

僕の住んでいる名古屋市名東区は都会と言い切るにはやや味気ない部分がある。しかし,容易く喧騒を遠ざけることができるほど慎ましい街でもない。
だからこそ,手っ取り早く自然を感じることが出来るその場所が昔から好きだった。

アスファルトの浮いた遊歩道を歩く。

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[詩] 春の陽気

春の陽気に煽られて
ゆらりと蠢く青年が一人。

春というだけで幸せになれるほど
僕は子供じゃないが
陽気に惑わされずに済むほど
僕は大人ではない。

日差しが
確かな重量をもって
僕にもたれかかっている。
微かに滲んだ汗を媒体にして
他の季節の記憶を思い出そうとした。

卯月の大気は気まぐれで
僕の身体を渇いた風で冷やしたかと思えば
翌日には
汗腺の機能を試したりする。

あの寒い日々は
何故か遠

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[詩] 『就活は嫌だ!』の詩

「世間知らず」と言われ
順当に傷ついた僕は
得意面を浮かべ
現実逃避と洒落込んだ。

20年と少しの年月で
必死に築いたこの世界は
所詮空想でしかなく
住処にするには頼りない。

今日はいい天気だ。
皮の薄い四肢に
春風を纏わせて
放蕩に耽る「世間知らず」な僕。

夏を待ちわびる樹冠
その侘びしげな色彩を
僕は知っている。

歪んだ背筋が頼りない
すぐ隣に位置する
背筋を正した建築に怯えているのだ

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[詩] 夜の色

雨粒が
光を反射して
街は白い膜に包まれた。

やがて大気が落ち着ついて
街が雨と闇で黒く染まった頃
僕は外に出た。

夜は毎度訪れる。
それは確かな事だ。

昼間の豊かな色彩を,闇が黒く塗りつぶす。
人気のない雑木林で,淡々と歩みを進める僕の身体も輪郭を失い,やがて闇と一体化する。

街灯は,殆ど無い。
手に持っている小さなLEDライトで足元を照らす。

照らした地面だけが,明け方の色を取り戻す

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[詩] 休日日和

せっかく早起きしたのに
いつの間にか日が暮れていた
そんな日曜日

僕も君も暇じゃないけど
たまにならいいんじゃない?

情熱を保ち続けるのが
簡単じゃないことくらい
誰だって分かっているさ。

『頑張り過ぎだよ』という言葉は
時に努力すら否定してしまうけど
今の君には必要な言葉だろう

何もしなかったことに
罪悪感を覚えるくらい
真面目な性格なんだから。

春に咲いた桜が
いずれ散ってしまう事く

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[詩] 樹幹

自分らしく生きたいなんて
自分勝手かな

独りで生きられるほど万能ではないから
人にすがることで何とかマトモに過ごしてきた

無地のキャンバスに
塗り広げられた鮮やかな色
綺麗だと言う人もいるけれど
これは僕の色彩では無い

人気のない夜の街
直線的な建物の
陰に隠れた広葉樹は
随分と背筋が歪んでいるな
誰も咎める事はしないけど
君も息苦しくなったりするかい?

自分らしく生きることって
難しい事

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【詩】 通学ノート

私の狂気はマンホールの下で発掘される。暴きだされた感情は淡い糸を紡いで空に達し、拡散する。
鰯雲は大きさを増し、やがて宇宙をも覆う。
あの娘のチョーカーは夕闇の中で番犬の首輪となり、私の逃避行を追従する。
教室を箱庭に。鏡が共反射する、彼等の虚像の虹の尾を掴むのは簡単である。霧吹き1つあれば良い。
しかし虹を追うのは少年にしか出来まい。己の純真さを屠った我々には、不純を煽って泡を食うのが限界だ。

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【詩】 素数

心は数字ではない

線を一本引いてみても

割り切れることなど無い。

理想と現実の間の境界が
幸福と生活を隔ててしまう

「皆、割り切って生きているんだよ」

余りはどうやら、捨ててしまうようだ。

短い人生の中で
沢山の余りを出してきた。
いつか役に立つと思い
大切に保管していたら
僕を圧迫していた。

この閉塞感に対する
愛着に似た感情は
本来抱くべきものではない。

「皆、割り切って生きて

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[詩] 命の球

[詩] 命の球

街は生きる
生かされている

この大きな球の上を
僕らは循環し、停滞し、生産し、破壊し、そして時に争ったりする。

僕らは地上に張り巡らされた複雑な回路を辿り
暗く静かな大陸に姦しい光をもたらす。

僕たちは
冷えた指先を温めることが優しさだと思っている
鮮やかな化粧で彩ることが美しいことだと思っている
静寂を排し、賑わいを求めることが普通だと思っている

街は生きる
生かされている

血は何のた

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【詩】 季節めく、、、

最近日常が崩れている
昨日が今日で,今日が明日。
時計は時を刻む。暦は日々を区画する。
それらの明確な境界が,日常の骨格である。

しかし僕はそれに従わない。
布団に入り,意識を手放すその瞬間までが,僕の「今日」である。
布団から出て,部屋の明かりを点けてからが僕の「明日」である。
時計,暦,ニュースキャスターの声,排気音,日光,
僕はそれらに従わない。

コロナウイルスの流行で僕らの日常は停滞し

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【詩】 虚像の部屋

【詩】 虚像の部屋

つまらない 下らない話をしよう
虚数や宇宙の話では無くて
例えばホラ  貴方の話とか。

僕は孤独
鏡に映る  私も孤独
目の前のよく似た存在
気持ちの悪い  顔をしていた

姦しいとはよくいった
奴らは今日もおしゃべり,おしゃべり
同意同調  愛想相槌
聞いてみれば  面白い。
非難や批判を礎に
奴らが創り上げるのは歪な楽園

「アナタのことは良く分かる。同じ悩みを抱えた人はたくさんいるから。」

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