【詩】 季節めく、、、

最近日常が崩れている
昨日が今日で,今日が明日。
時計は時を刻む。暦は日々を区画する。
それらの明確な境界が,日常の骨格である。

しかし僕はそれに従わない。
布団に入り,意識を手放すその瞬間までが,僕の「今日」である。
布団から出て,部屋の明かりを点けてからが僕の「明日」である。
時計,暦,ニュースキャスターの声,排気音,日光,
僕はそれらに従わない。


コロナウイルスの流行で僕らの日常は停滞した。
今まで億劫に感じていた通学が
僕の日常の指揮を執っていたことに気づく。

方向感覚を失い,浮遊した日常。
見慣れたはずのこの景色が
随分と挿絵じみている。

樹木,気温,日照時間,広告,街ゆく人々の服装
外の世界は知らぬうちに季節めく。

取り残された僕を憐れんでか
空はいつも晴れている。




コロナウイルスによって奪われた日常について書いた詩です。

最も影響を受けたのは生活習慣でした。バイトも学校も週に数回になり,朝まで起きていることや昼まで眠っていることが非日常ではなくなりました。

たまに外に出ると視覚や触覚を通じて、季節の変化を痛感します。そうした体験はどこか連続しておらず、長編小説の挿絵だけを見ているような感覚に陥ります。

僕にとっては『密』ではなく『疎』な一年でした。

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