[詩] 言葉遣い
『努力は必ず報われる』
その言葉の前でいったいどれほどの人が希望を持っただろうか。
その言葉の背後でいったいどれほどの人が絶望を味わっただろうか。
『愛している』の一言でさえ
人は歓喜し、時に涙を流す。
優しい言葉は誰かの哀しみでできている
悪意をそっと忍ばせた言葉と
純粋な感動を掬い取った言葉が
同じ音を成すなんて
何と罪深いことだろう。
だから人は不意に傷つく。
だから人は容易に感動する。
言葉が人を傷つけるのは
人が言葉を生み出すからだろう。
樹々や風は
僕らを不用意に傷つけたりしない
産み落とした言葉の鼓動に
僕は怯み、目を反らす
彼が誰かを傷つける日を恐れて
彼の誕生を喜ぶこともできない
この文字列ですら
いつか人を傷つける
たとえその日、僕が生きていなくても。
励ますつもりで言った言葉がかえって当人を傷つけてしまったり。
逆に,皮肉を言ったつもりが相手を喜ばせたり。
そんな経験,誰しもあると思います。
言葉を思うがままに操れるほど僕は賢くない。
言葉を操るという事は,人の心を操る事と同義だと思う。
そんな思いを綴った詩です。
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