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[詩] 命の球


街は生きる
生かされている

この大きな球の上を
僕らは循環し、停滞し、生産し、破壊し、そして時に争ったりする。

僕らは地上に張り巡らされた複雑な回路を辿り
暗く静かな大陸に姦しい光をもたらす。

僕たちは
冷えた指先を温めることが優しさだと思っている
鮮やかな化粧で彩ることが美しいことだと思っている
静寂を排し、賑わいを求めることが普通だと思っている


街は生きる
生かされている

血は何のためあるのか。
四肢に生をもたらすためか。
脳に思考を宿らすためか。
人格に体温を見出すためか。

僕たちは大きな球の上で
何に生をもたらし
何に思考を宿らし
何に体温を見出すのか。


街は生きる
生かされている

血液はただ静かに巡るだけである





僕は夜景というものに感動を覚えたことがありません。
家の明かり、公園の街灯、看板のネオン、車のヘッドライト、残業中の会社。どの光源も『我こそが主役である!!』と言わんばかりに発光している様が嫌いです。

僕はキャンプが趣味なのですが、そこで見る夜空はとても美しいと思います。
星と星の間には、どうしても埋めることが出来ない暗闇があって、その間隙が一つ一つの星の輝きに一層意味を持たせるのです。

街は暗闇を埋めることに必死で、何だか少し哀れにも思えます。

この詩では、道路を血管に、人を血液に例えています。
人が未開の地を開拓し、文明を築き上げる。地球上のあらゆる土地に血を巡らせるのは、一見いい事のようにも思えますが、それは人間側のエゴに過ぎないと思います。


夜は暗いままでいい。
僕は夜空を見たいから。

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