【詩】 素数

心は数字ではない

線を一本引いてみても

割り切れることなど無い。

理想と現実の間の境界が
幸福と生活を隔ててしまう

「皆、割り切って生きているんだよ」

余りはどうやら、捨ててしまうようだ。


短い人生の中で
沢山の余りを出してきた。
いつか役に立つと思い
大切に保管していたら
僕を圧迫していた。

この閉塞感に対する
愛着に似た感情は
本来抱くべきものではない。

「皆、割り切って生きているんだよ」

その方法を
僕に教えてはくれないか。




「割り切って考える」という言葉があまり好きではありません。ポジティブに聞こえるけど実際は、心に残った不満に蓋をするための言葉であり、「諦める」という言葉と本質は何も変わらないからです。

だから面と向かって「割り切って考えなよ」などと言われると、少し息苦しくなります。

『心を割り切って考えるなんて無理だよ。』

そんな想いを、数学的に割り切ることができない素数に例えました。

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