すっとこどっこい丸

若者らしい皮肉的で斜に構えた文章ですが、こんな僕にも純粋無垢な子供時代はありました。 …

すっとこどっこい丸

若者らしい皮肉的で斜に構えた文章ですが、こんな僕にも純粋無垢な子供時代はありました。 詩やエッセイを投稿しています。 公募に応募するときは「高橋優斗」の名に頼る時もあります。

マガジン

  • ぼくのポエム

    自分で書いた詩をまとめました。 過去作も含みます。 下書き的な側面もあります。 最後の方にその詩を書いた経緯なども載っています

  • ぼくのエッセイ

    エッセイと日記の違いは、『読んでくれる人が居るか否か』だと思っています。

最近の記事

【詩】 特別公演

小学生の頃 特別公演とかいって 壮年の女性歌手が僕の学校に訪れた その人のことを僕は少しも知らなかったからいろんな先生に尋ねてみたが どうやら、どの先生もその女性の正しい褒め方を知らなかったようで 朝礼で校長が語っていた言葉を器用に組み替えては 「要するに『すごい人』だよ。」と語った 普段は生徒に向けて 聖徳太子やら織田信長やら実在したかどうかも定かではない大昔の人について延々と語っている学年主任ですら、彼女のこととなると途端に口数が少なくなった 「実は先生もよく分からな

    • 【詩】 僕がいないヨッ!

      仲の良い4人組 から僕を除いた3人の 賑やかな会食の写真が送られてきた 『僕がいないヨッ!』 「お前はいつも予定が合わん」 「来月の休みはいつ?」 『まだわからない』 先週の話。 隣町珈琲での詩の教室は 土曜の19時 僕は仕事で 2度も欠席している 中延駅に向かう途中の電車で 僕を呼び戻す知らせを2度も受け取った 今回はどうか見逃してくれと こっそり抜け出してきたわけだ 詩は僕のこころのため 仕事は僕の生活のため 生活費に関しての問題しか 僕が勤め人であることを肯定で

      • 【詩】 整列

        正しさというものが 人を豊かにするとは限らないのに 大人は「気をつけ」を強いる言葉を好む ある日に時間をかけて整理した背の順の待機列は 休み明けにはすっかり塗り替えられていた かつて自分の前後に立っていた同級生の姿を見つけても そこに僕の居場所はない 周りを見渡して 自分と同じくらいの背丈の同級生を見つけるのが この時僕たちに課せられた使命であり まるで握手でもするかのように 互いの背筋を寄せ合った 僕らは正しい順番を探り 先生の「気をつけ」の言葉にどこか 新しい響きが

        • 【詩】 煮っ転がし

          鮮魚コーナーで 秋刀魚の値段に顔を顰めていると 野菜売り場の見切り棚に残された 里芋が目に入った 椰子の木 タワシ 満員電車の後頭部 平凡な連想の後 買い物かごに押し入れる 里芋といえば煮っ転がしか。 椎名町駅前の 立ち食い蕎麦屋と交番の間を通り抜けながら 「煮っ転がし」について考える。 ずいぶん可愛らしい言葉だな。 どうにか普段使いできないものか。 身体を 煮っ転がすのは難しい 風呂は身体を洗う場所だから。 コーヒーを 煮っ転がすのは難しい 僕にとって重要なのは抽

        【詩】 特別公演

        マガジン

        • ぼくのポエム
          44本
        • ぼくのエッセイ
          24本

        記事

          【詩】 水曜日

          徹夜明けの水曜日 僕は聞いたことのない音楽の解説動画を観ている 楽器がどうとか コードがどうとか 転調がなんだとか 文字で 言葉で 合成音声で 語っている 僕はその曲を聴いたことがないし これから聴く予定もないけれど いつか偶然出会ったときに 合点がいくのだろうか どうなるかは分からないし 僕は音楽について明るくないけれど いつか誰かが僕の詩を メロディにしてくれたら素敵だなと そう思った

          【エッセイ】 4半世紀が過ぎた日

          25歳になりました。 4半世紀を過ごしたことになります。 僕の成長曲線は減速と停滞の連続で、特に20を超えたあたりからの怠慢っぷりは目を見張るものがあります。 綺麗な上り坂から一転、ウサギどころかカメまでもが午睡を嗜みそうな、フルフラットシートばりの成長度です。 文字で表すなら、『√』⇦こんな感じです。(文字通り文字で表しました) 僕は相変わらず、新しい人間関係を築こうという意識が欠如しており、9月14日にメッセージを送ってきてくれる人も年を追うごとに減ってゆくばかりです

          【エッセイ】 4半世紀が過ぎた日

          【エッセイ】 クロックスに穴が空いた

          クロックスに穴が空いた。左足の母指球のあたり。 学生時代に疲労骨折した場所と同じだ。運動やらスポーツから遠ざかって過ごしているのに、その頃の身のこなしは衰えていないのかもしれない。 「やけに小石が入ってくるなー」とか、「心なしか濡れてる気がするなー」とか、「地面の起伏をダイレクトに感じるなー」とか思っていたが、まさか穴が空いていたとは。 足を組んで座っていたら、後輩に指摘されて気づいた。 「靴下に穴が空いていた」とかの比じゃないほど恥ずかしい。本来靴に穴が空くなんてことはあ

          【エッセイ】 クロックスに穴が空いた

          【エッセイ】 導線が長い。

          久しぶりに自分に関する文章を書きたいと思った。 最近、身体の芯が失われている。 どこかへ向かう時、思いがけない方向に身体が傾いてしまう。 あくまで比喩の話だが・・・ 僕をうんざりさせるような話題は相変わらず尽きなくて、つい最近も後輩同士の不毛な諍いに巻き込まれたりした。 悪意と敵意しかないやり取りを散々見せつけられて、こんな奴らのそばにいたくないと心から思った。 「〜さんはどう思いますか!?」 僕は、あなたたちが幼いだけだと思います。 仕事はフレックス。 先週は4日くらい

          【エッセイ】 導線が長い。

          【詩】 今、良い詩を書いている

          今、良い詩を書いている 良い詩を書いているのに、嫌な通知が飛んできた。 思考を横取りされて 不完全のまま沈み込む 今はとっておきの詩よりも 謝罪の文面を考える必要がある 『も』と打ったら 『申し訳ございません』が最初に出てくる 『蒙昧』は出てこない 僕の言葉はどちらだろう 僕の心はどちらだろう 『申し訳ない』と思う気持ちは本当だが 定型文じみた謝罪は「口先だけのでまかせ」らしい ならばいっそ 『蒙昧な昨日の僕の影に引き留められて現実との接触性が失われていた』と正直に

          【詩】 今、良い詩を書いている

          【詩】 仕分ける

          昼過ぎに電車に乗って スーツを着ていない社会人と非社会人を勝手に仕分ける 鞄を右肩に食い込ませ 左半身を庇っているあの男性は前者 沢山の色を取り寄せて 複雑に編み込まれた服を着たあの女性は後者 前かがみで ゆったり頁をめくっている初老は前者で 必死に液晶画面をなぞっている少年は後者 車内の振動に抗わずに壁に身体をぶつけ 自分を罰する術を探している彼は前者 彼の直ぐ側に腰掛けて 顰め面で彼を睨んでいる女性 目元を明るく染めた彼女は これから誰に会うのだろうか 彼の苦悩

          【詩】 仕分ける

          【エッセイ】 クラゲ

          眠気覚ましに煙草を吸っていたら喉を痛めた。 お手本のような不健康。 朝の4時。 3時間後には仕事が始まる。僕は今、神経過敏になっているので、3時間程度では寝付けない。 だから眠気覚ましに喫煙所巡りをしていた。僕のデスクは28階。階段を降りたり登ったりしながら局内を巡回する。 途中自販機で缶コーヒーを買ったり、コンビニでグミを買ったり、フリースペースで詩を書いたりしていた。どれも僕の生活に必要不可欠な要素だ。 歩くたびに眠気が遠のいていくのを感じる。一箇所に留まれば眠気が

          【エッセイ】 クラゲ

          【詩】 Keepメモ

          死に急ぐように 喫煙所へ向かう 僕の仕事デスク 同僚との会話 2万円ほど入った財布 自宅の鍵 読みかけの文庫本 買ったばかりの天然水600ml スマホの充電器 終わらない仕事 それらは10階にあるけれど 喫煙所は9階が上等 タバコとライターだけ 僕に従う 1日には 人知れず落ち込む瞬間が必要で そのためには 決まった場所が1つあればいい 僕の足元は気まぐれに まだ開けたことのないドアを探している もう24になるが 未だに人の目を見るのが苦手で だからこうして 煙で視界

          【詩】 鮎

          人を殺した。 うなじの美しい女だった。 金曜日の夜、池袋の駅で彼女を見かけた。 あのうなじに触れたい。そう思った。 西口から駐輪所まで行く間に、その方法をいくつか考えた。 しかしそのほとんどが僕には相応しくなかった。 高校時代のクラスメイトだったSあるいはRなら、スマートにやってのけたかもしれない。 ただ僕はSあるいはRではない。 だから僕は最も単純で効果的な方法を取ることにした。 砂浜を裸足で蹴ったことがある。 枯れ木を折って遊んだことも。 ほんの戯れに、蟻を潰したこ

          一年の計は元旦にあり

          【一年の計は元旦にあり】 意味 : 何事もまず、計画を立てることが大事 今日は1月22日です。時刻は23時56分。つまり23日ですね。 元旦から22日経っています。 久々の休日だったので、友人と映画を観に行きました。スラムダンクです。 『過去の設定が本編中でほとんど描かれてないから宮城リョータが主人公なんだろうなー。融通が利くだろうし。家族の死を持ち出すとか感動するに決まってるじゃん。卑怯だなぁ。』 『カッケェー。久々にバスケしたくなってきたな。俺?スラムダンクで一番好

          一年の計は元旦にあり

          【詩】 鈴虫と金木犀

          眠れぬ夜は 今日 ではなく昨日の僕を 布団の中で追いかける 過去は 僕ではない人の言葉で語られる 屈折した光の向こう 拾い損ねたものを探す 景色は浅いまま 自室と社会を行き来する 答え合わせをするように 白と黒を繋ぐ 新鮮な空気の端と端に絡まった口唇に なにか暴力的なものを感じて 頭を掻きむしった。 窓を抜けると鈴虫が 影を何重にも重ねたような暗がりを引き連れて 夜を下ってゆくところであった。 不安定がふさわしい午前3時 身体を起こして 今日の分の米を研ぐ。 少し肌寒

          【詩】 鈴虫と金木犀

          帰省

          久々の休みに、親に会いに行った。 生まれも育ちも名古屋だが、親と兄は長野の田舎に住んでいるので、親に会う際は名古屋ではなく長野に行くのが決まりになっている。 僕以外の家族が長野に住んでいるからだろうか。名古屋に帰る時よりも、長野に行く時の方が「帰ってきたなぁ・・・」感が強い。実家感覚は家や土地ではなく、家族に宿るものかもしれない。 仕事終わりに東京駅から2時間半くらいかけて上田駅に行き、そこから父の運転で家まで向かう。 車の助手席に乗るのも久しぶりだった。 『仕事の調子