交渉ごとは座席の決め方が9割
こんにちは、たけしです。
日々の暮らしの中では、怒りっぽい人や対立関係にある人と話をしなければならない状況って出てきますよね。そんな時には、その人と向かい合って座らずに、となりに座ってみましょう。
このような小さな工夫は、緊張をほぐし、対立を避けやすくしてくれます。感情的にならずに落ちついて話しあうことは、問題解決のためにいちばん大切なことです。
ロシアに駐在していた時のある冬の日のこと。シベリアのある小さな街で、私は同僚とともにお客様のオフィスに向かっていました。手には日本の高級ウイスキーを3本。注文を頂いていた商品の納入が大幅に遅れてしまい、謝罪するためにやってきたのです。
現地で合流したビジネスパートナーいわく「あそこのオーナーは短気で有名だから、かなり感情的にでてくるかもしれない」とのこと・・緊張が高まります。
車に30分ほど揺られ、いかにもソ連時代の建物というような、こじんまりとしたオフィスビルに到着。外は極寒ですが室内はポカポカです。まもなく秘書の方に執務室に通されオーナーと対面。厚いメガネをかけた無表情のソ連人といった感じです。
秘書の方に飲み物をすすめられたのでコーヒーをお願いすると、私は意識してオーナーのとなり前の席に座りました。というのも、向かい合ってしまうと確実に対立的な雰囲気になってしまうと思ったからです。
まずは同僚が遅れにたいするお詫びとともに、特別ディスカウントと無料サービス条件を説明。その後、私からも重ねて心からお詫びしました。そして、現在日本側が全力で進めている挽回策と、短縮できる日程につき、資料をオーナーに見せながら説明をしました。
重苦しい沈黙のあとで、オーナーが口を開きます。
「いったいどうしてくれるんだ!?」
と怒鳴られるかな、とも思いましたが、続く彼の声は意外にもおだやかでした。
「正直言って、この遅延による我々のビジネスへの影響は決して小さくない。だが、あなた方がいま出来るベストを尽くしてくれていることは理解した。納入については、今あなたが示してくれたスケジュールを何としてでも守ってほしい。頼みますよ」
その言葉に、私たちの緊張はスッとほぐれていきました。
その後、オーナーはコーヒーをひとくち飲むと、メガネを外して懐かしそうな表情を見せました。
「実はね、もう10年以上も前だが、日本に行ったことがあってね、、」
なんとそこから、オーナーの日本旅行の思い出話が始まったのです。
新幹線の速さに感動したこと、箱根の温泉でくつろいだこと、東京の高層ビル群に驚いたことなどを話してくれ、そこからの時間はまるで古くからの友人を思い出すような和やかな雰囲気ですぎていきました。
予想もしていませんでしたが、帰り際にオーナーは、
「今日はよく来てくれた。ここに日本人が来たのはあなたが初めてだよ」
と言って、私に社名入りの立派な木箱を手渡してくれました。中には、私でもみたらわかるぐらいのヨーロッパの高級シャンパンボトルが入っていました。
私はモスクワに戻ると、その木箱を自分のデスクの上に置きました。商品納入完了まで、毎日「約束の証」として目に入れるためです。
そして、無事に納入完了の写真付きメールをもらったその日、関係者でそのシャンパンを開け、カチンと乾杯しました。
人との対立は、実は「座り方」で変わることがあります。向かい合って座ると、知らず知らずのうちに相手も「対決モード」になってしまいがち。ですが、となりに座れば、自然と「一緒に考えるモード」に切り替わります。
あの日オーナーは、私たちが提示した案と条件をもとに、ビジネスの損失を最小化するにはどうしたらよいか「一緒に考えて」くれたのだと思います。
この「座り方」の効果を最大限に活かすために、いくつかの具体的なポイントをご紹介します。
この小さな工夫は、時に大きな変化を生むきっかけになります。職場での少人数の会議、部下や上司との面談など、色々な場面できっとあなたを助けてくれるはず。明日からぜひ試してみてください。
オーナーのイライラをやわらげた「座り方」のように、実はメンタルケアのしかたにもコツがあります。ビジネスパーソンの方々から絶大な支持を得ているこの記事では、誰でも今から実践できる具体的な方法をお伝えしています。ぜひ次の週末から試してみてくださいね