#多様性を考える
【ショートショート】マリの友達
「マリ、金を拾ったんだ。アイスを買ってあげよう」
呼び鈴が押されたので、マリが急いでドアを開けると、ひとつ上の階に住むジョーイの白い目が隙間に見えた。差し出された手の平には、色の異なる3枚のコインがのっている。
「いいの? ジョーイ」
「ああ、準備をしておいで」
「うん!」
準備と言っても、猫のぬいぐるみのマルをソファーの上から取ってくるだけだ。
「準備できたわ、行きましょう」
【ショートショート】ひょひょいのひょうい
「太郎くん、涙が……」
吉男が太郎の顔を見て、びっくりして心配そうに言った。
──あれ? 僕、あの人を見ていると、なんだか懐かしいような悲しいような……なぜだろう、どこかで会ったことがある気がする……
「あっちの人も泣いているね」
吉男が太郎の視線の先にいる初老の紳士を指差して、太郎の耳元で囁いた。
──やっぱり、あの人も何か感じるんだ……たまたま中学の修学旅行で来ただけだけど、