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無知は力なのか? トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』

 こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です!

 いまから紹介するトム・ニコルズの『専門知は、もういらないのか』は、現代社会における「専門知軽視」という厄介な問題に鋭く切り込む一冊です。

 インターネットやSNSの普及によって、誰もが簡単に情報にアクセスできるようになった現代。

 しかし、その一方で、専門家の知識や経験を軽視し、根拠のない情報や個人的な意見を過信する傾向が強まっています。

 この本は、そんな「専門知軽視」の風潮が、私たちの社会にどのような影響を及ぼし、そして私たちは何をすべきなのかを深く考えさせてくれます。


専門家不信の根源

 ニコルズは、なぜ現代社会で専門家不信が広がっているのか、その根源を丁寧に分析しています。

  1. インターネットの普及 誰もが簡単に情報にアクセスできるようになったことで、専門家の意見とそうでない意見の区別がつきにくくなり、情報の信頼性が低下して、真偽不明の情報が溢れかえり、何が正しいのかを見極めるのが難しくなった

  2. メディアの変化 視聴率やクリック数を稼ぐために、センセーショナルな報道や専門家の意見を歪曲した報道が増え、専門家への信頼が損なわれてしまった

  3. ポピュリズムの台頭 大衆の感情に訴えるポピュリズム政治が台頭し、専門家の意見よりも大衆の意見が重視される風潮が強まった

無知礼賛の危険性

 つぎに、専門知識を軽視し、感情や偏見に基づいた判断をする「無知礼賛」の風潮が、社会に深刻な影響を及ぼすと警鐘を鳴らします。

  • 民主主義の危機 正しい情報に基づいた議論が難しくなり、民主主義が機能不全に陥る可能性があること

  • 社会の混乱 専門家の助言を無視することで、誤った政策が実行され、社会全体が混乱に陥る危険性があること

  • 個人の不利益 専門家の知識に基づいた判断を怠ることで、健康被害や経済的損失など、個人レベルでの不利益が生じる可能性があること

民主主義と専門知

 そして、民主主義社会において専門知識は不可欠であると主張しています。専門家は、複雑な問題を理解し、解決策を提案するために必要な知識と経験を持っています。専門家の意見を尊重し、その知識を活用することで、より良い政策決定や社会運営が可能になります。

専門家と市民の協働

 さいごに、専門家と市民が互いを尊重し、協力することの重要性を強調しています。専門家は、専門知識を分かりやすく伝え、市民の意見に耳を傾ける必要があります。市民は、専門家の意見を尊重し、その知識を積極的に活用する必要があります。

解決策

 専門知軽視の問題を解決するために、以下の3つの提案をしています。

  1. 教育の改革 批判的思考力や情報リテラシーを育む教育を強化する必要がある

  2. メディアの責任 メディアは、正確でバランスの取れた情報を提供する責任を担うべき

  3. 市民の意識改革 市民は、専門家の意見を尊重し、その知識を活用する意識を持つこと

私たちにできること

 では、私たちはこの「専門知軽視」の時代に、何をすべきなのでしょうか?
 ニコルズは、以下の3つの行動を提案しています。

  1. 批判的思考力を養う 情報の真偽を見極める力を身につけ、根拠のない情報に惑わされないように注意する

  2. メディアリテラシーを高める メディアの報道を鵜呑みにせず、複数の情報源を比較検討する習慣を身につける

  3. 専門家との対話を大切にする 専門家の意見に耳を傾け、疑問点があれば積極的に質問し、理解を深める

『専門知は、もういらないのか』は、私たちが生きる情報化社会において、どのように専門知識と向き合っていくべきかを深く考えさせてくれる一冊です。
 この本を読むことで、あなたはきっと、専門家の知識の価値を再認識し、より良い社会を築くために自分ができることを考えるようになるでしょう!

個人的な感想を

 インターネットやSNSの普及により、誰もが簡単に情報発信できるようになった現代において、専門家の意見が軽視され、根拠のない情報が拡散される状況は、もちろん日本でも日常的に見られる光景です。

 ニコルズの指摘するように、専門知の軽視は、民主主義の根幹を揺るがし、社会に深刻な影響を及ぼす可能性があります。例えば、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおいて、専門家の意見が軽視された結果、感染拡大を招いた事例は記憶に新しいところです。

 専門知を軽視する風潮は、私たち一人ひとりの生活にも影響を及ぼします。例えば、健康に関する情報について、専門家の意見よりもインターネット上の不確かな情報を信じてしまうことで、健康被害を受ける可能性もあります。

 ニコルズは、専門知の重要性を再認識し、専門家と市民が協力してより良い社会を築くことの必要性を訴えています。この点は、私たちも深く考えなければならない問題です。

 専門家と市民が互いに信頼し合い、協力するためには、専門家は自身の専門知識を分かりやすく伝え、市民は専門家の意見に耳を傾ける必要があります。また、学校教育においても、批判的思考力や情報リテラシーを育むことが重要だと感じました。

 本書は、専門知の価値を再認識し、より良い社会を築くために私たちが何をすべきかを考えるきっかけを与えてくれる、非常に重要な一冊だと思います。

 ぜひあなたもこの本を手に取って、大変な目に遭わないようにしましょう!

情報の洪水のなかで、あなたは真偽を見抜けますか?
この本を手に取って、無知礼賛の時代に立ち向かいましょう!

【編集後記】
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