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#経済
他国を救わないと、自国がとても損をする話
▼「三田評論オンライン」に載った、ゲイツ財団日本常駐代表の柏倉美保子氏のインタビューから。(2021年2月15日)
友人から教わったのだが、とても興味深い話だ。
▼ゲイツ財団は、「COVAX(コバックス)ファシリティ」という、途上国にもコロナワクチンを行き届くようにするシステムづくりに努力しているのだが、先進国のなかでは、日本は最初に手を挙げた国だ。これを筆者は日本人として誇りに思う。コバック
技能実習生がもう限界の件
▼コロナ禍で苦しむのは、女性、こども、そして外国人である。
2021年3月22日付日本経済新聞に、外国人の苦しみについてよくわかる記事が載っていた。適宜改行と太字。
〈技能実習生 もう限界/仕事失い帰国できず、コロナで二重苦/「生活苦で犯罪」防ぐ支援を〉
〈新型コロナウイルスの影響で、苦境に陥る外国人技能実習生が後を絶たない。雇用情勢の悪化などで働き先を失い、帰国しようにも渡航制限でかなわな
コロナ第3波が来るかもしれない件
▼2020年10月になってから、東京の新宿区内でマスクが50枚300円台で売っているのを見かけた。
だいぶ値下がりしてきたわけだが、コロナウイルス感染は第3波の気配が静かに漂い始めた。NHKニュースから。適宜太字と改行。
〈新型コロナ感染1000人超 “感染状況把握に努める” 経済再生相〉2020年11月6日 15時19分
〈新型コロナウイルスの1日の感染の発表が5日、8月以来、全国で100
アメリカと中国との関係は「新冷戦」ではなく「ハイブリッド戦争」である件
▼アメリカと中国との関係について、「新しい冷戦だ」という表現を使う人がいるが、そうではないとする論者も多い。筆者は後者に賛成するが、その論のなかでも、わかりやすい説明が2020年10月22日付の日本経済新聞に載っていた。
▼カーネギー財団モスクワセンター所長のドミトリー・トレーニン氏。適宜改行と太字。
〈いまの米中対立を「新冷戦」と称する向きがある。しかし、世界史の中で、冷戦は1度しか起きてい
感染症対策を「経済」の大臣が仕切ることに日本では疑問を持たれない件
▼何度か書いたが、やはり違和感がある、というより、違和感が強くなるばかりなので、メモしておく。2020年6月14日付の日本経済新聞1面から。適宜太字。
〈連絡先1カ月保存/人同士の距離2メートル/接待伴う飲食店に指針〉
〈西村康稔経済財政・再生相は13日、夜の繁華街で営業する接待を伴う飲食店など3業種の感染防止策の指針を公表した。客に連絡先の届け出を求めるほか、店内での人との間隔はできれば2メ
非正規労働は、女性が29万人減って、男性が2万人増えた件
▼前号で、コロナ・パンデミックの最大の被害者は女性だ、というグテレス国連事務総長のコメントを紹介した。
そのコメントどおりの、身も蓋(ふた)もない現実を、総務省がずいぶん前に公表している。2020年5月9日配信の毎日新聞から。
〈女性非正規29万人減少 「心身とも限界」「1日1食」 母子世帯や単身者が困窮〉
〈新型コロナウイルスの感染拡大の影響による雇用情勢の悪化で、特に女性の非正規労働者に
コロナ検査は、未だ見えない「出口戦略」=経済再開に不可欠な件
▼ゴールデンウィークが明ける前後から、新型コロナウイルス対策の「出口」、という言葉がマスメディアに噴出している。今号は、その「出口戦略」、つまり経済再開についての話。
▼2020年5月5日付の各紙は、緊急事態宣言の延長を受けての報道だった。毎日新聞と日本経済新聞に、強い政権批判の記事が載った。
まず、毎日から。
〈新型コロナ 医療に安全保障の視点を〉(編集編成局長・砂間裕之)
これは骨太の
2つの「生存権」がぶつかっている件ーー医療崩壊か、経済崩壊か
▼日本では、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう「緊急事態宣言」が延長された。2020年5月31日までの予定。5月5日付の各紙は、すべてこの宣言延長を特集していた。
これまでの1カ月とは、まったく違う行き詰まりと不安に、日本列島が襲われている印象だ。自分の思い通りにならないことが増えると、誰かを思い通りにしようとする人が増える。
これからの1カ月間、ひどくなるばかりの差別と暴力を、少しでも減
終戦記念日の新聞を読む2019(7)~産経新聞『経済学者たちの日米開戦』評
▼1冊の本をどう評するかで、評した人の考えがわかる。2019年8月15日付の産経新聞に、牧野邦昭氏の名作『経済学者たちの日米開戦』の著者インタビューが載っていた。(磨井慎吾記者)
▼この本の核心である、〈なぜ非合理的な開戦の決断に至ったのか〉の理由について。適宜改行。
〈牧野准教授は2つの要因を挙げる。1つは、人間はどちらを選んでも損失が予想される場合、失敗すればより巨大な損失を出す恐れがある
終戦記念日の新聞を読む2019(5)「虫の目」と子ども
▼今号は、2019年8月15日付の各紙コラムから、三つの「虫の目」を紹介したい。
一つめは、父親が娘を見つめる「虫の目」。あとの二つは、子どもをめぐる「虫の目」。どちらの「虫の目」も、戦争というものの実像に正確にピントを絞(しぼ)り得ている。
▼まず、2019年8月15日付の新潟日報「日報抄」から。
〈向田邦子の小説「あ・うん」は、2人の男の友情を軸に周囲の人々の心模様を描く。日中戦争の発端
終戦記念日の新聞を読む2019(4)毎日新聞「余禄」~アジアから見た日本
「終戦記念日のコラムを読む」は、(1)では特攻した少年と親の物語、(2)では原爆被爆者の一言、いわば「虫の目」で見た戦争を、(3)では気候変動などの「鳥の目」で見た戦争や国家を、取り上げた。
▼今号で取り上げるコラムは、気候変動などと比べたら「低空飛行の鳥」の目で見た戦争かもしれない。
▼「戦争を知らない人間は、半分は子供である」という有名な言葉は、大岡昇平がフィリピン戦線の日本軍を描いた傑作
感情論は論理ではない件(1)日韓両政府の面子(めんつ)問題
▼よく「それは感情論だよ」とか言うが、厳密にいうと、「感情論」は「論理」ではない。「感情論」はただの「感情」である。
2019年8月14日付の各紙に載った、共同通信の記事。
〈日韓輸出規制/報復合戦で消耗戦に/企業不安視、打開策なく〉
〈輸出規制を巡り、日韓両国が報復合戦の様相となってきた。韓国で輸出管理上の優遇国から外されることに日本側は平静を装うが、出口の見えない消耗戦を企業は不安視。さ
日本は優生思想に寛容である件(5)無知でデマを騒ぎ立てる人が多すぎる
▼2019年7月13日付の読売新聞の「論点スペシャル」で「犯罪に負けない社会のために」という特集が組まれていた。
その記事を読むと、犯罪に負けない社会をつくる以前の問題に言及せざるを得ない状況が浮かび上がる。
▼筑波大学教授の原田隆之氏(臨床心理学と犯罪心理学)いわく、
〈犯罪に至る可能性がある「危険因子」は予防につながる重要な視点だ。ただ、加害者の状況や傾向を一つ二つ取り出し、それをあたか
日本は優生思想に寛容である件(4)「病気は自己責任」論との危ない関係
▼ただの紙切れにすぎない紙幣(しへい)をめぐって、世界中の人々が左右され、動かされているように、「思想」というものは目に見えない力を持つ。
資本主義の思想は紙幣に体現されており、この文章を読んでいる人の誰もが、たとえばコンビニで買い物をして、赤の他人に紙幣を渡して、お釣りの小銭をもらう、という一連の行為が成り立っていることに、ふだんは1ミリの疑問も持たない。
これが思想の力だ。
▼「買い物」