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ニュースの手帖

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2019年6月の記事一覧

『「いいね!」戦争』を読む(7) 戦争犯罪を暴くアマチュアたち

『「いいね!」戦争』を読む(7) 戦争犯罪を暴くアマチュアたち

▼『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』の第3章のラスト。3つのキーワード、「クラウドソーシング」「市民レポーター」「オシント革命」のうち、最後の「オシント革命」について。

本書について、2019年6月30日のお昼現在でもカスタマーレビューがない。不思議。

▼「オシント革命」は、一つめのキーワード「クラウドソーシング」によって生まれたものだ。

「オシント」は「OSINT」で、「オ

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『「いいね!」戦争』を読む(6) 「市民レポーター」に敬意を表する件

『「いいね!」戦争』を読む(6) 「市民レポーター」に敬意を表する件

▼前号では、『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』の第3章から、3つのキーワード、「クラウドソーシング」「市民レポーター」「オシント革命」を取り出した。

今号は「市民レポーター」について。適宜改行。しかし、2019年6月29日現在で、まだカスタマーレビューがついていない。不思議。

▼「市民レポーター」というのは、「命がけ」の場合がある。

〈ソーシャルメディアを使って、既成メディア

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内閣参事官が「首相官邸」と「企業」を同一視している件

内閣参事官が「首相官邸」と「企業」を同一視している件

▼前号の続きだが、安倍晋三総理大臣率いる首相官邸が「言いっ放し」で開き直り、自民党から何の抑制もない、という事態が続いている。その一つ。

▼前号では、2019年6月24日付の毎日新聞1面トップ(大場弘行記者)を紹介した。首相の面談記録が作られていないのは、明らかにルール違反だ、と、ルールを作った本人が証言した、という記事だった。

その関連記事が、同日付の3面トップにあった。見出しは

〈首相面

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総理大臣が「国家の歴史」を消している件

総理大臣が「国家の歴史」を消している件

▼国家の最高指導者が、国家の政策について、誰とどういう話をしているのかを、すべて消してしまっている、という話。

▼2019年6月3日付の毎日新聞1面トップから。「公文書クライシス」シリーズのスクープだ。適宜改行。

〈首相の面談記録、作成せず 官邸、災害対策も〉

〈安倍晋三首相が官邸で官庁幹部と面談した際に、首相官邸が議事概要などの打ち合わせ記録を一切作成していないことが、官邸への取材で明らか

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『「いいね!」戦争』を読む(5)「クラウド」の闇は深い件

『「いいね!」戦争』を読む(5)「クラウド」の闇は深い件

▼『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』のアマゾンのカスタマーレビューは、2019年6月28日の9時現在でまだ1件もついていない。まだそんなに売れていないのか。値段が高いからかな?

2592円は、読んだ感想としては「とても安い」。流行りの言葉でいえば、「コスパ」が良すぎて「涙が止まらない」、という感じだ。

▼第3章は、ここ10年ほどで、世の中からどんどん「秘密」がなくなってきた現実

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全国紙の1面トップ記事に「なんやそれ」という言葉が載った件

全国紙の1面トップ記事に「なんやそれ」という言葉が載った件

▼全国紙の1面トップの記事に「なんやそれ」という見慣れない文章が出てきて、「なんやそれ」と思いながら読んでみると、なかなか面白かったという話。

▼2019年6月24日付の日本経済新聞。「データの世紀 世界が実験室 1」。見出しは

〈ワタシvs.操る技術/追跡網 膨張どこまで〉

記者が一人称で書く文体で、新しい試みなのだろう。占い好きの29歳の記者が、タブレット端末に出てきた広告に違和感を覚え

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『「いいね!」戦争』を読む(4) 「不倫サイト」と「ロシア軍」の共通性

『「いいね!」戦争』を読む(4) 「不倫サイト」と「ロシア軍」の共通性

▼『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』を読んで考えるシリーズの続き。

▼ちょっと驚いたのだが、2019年6月27日の21時の時点で、まだアマゾンのカスタマーレビューが1件もついていない。もうそろそろ誰か書き込むと思うが。

この本は必ず各詩誌の書評で取り上げられるから、楽しみに待っておこう。

▼今号は、第3章「いまや「真実」はない ソーシャルメディアと秘密の終わり」の前半から。適

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「薬物依存」をなくすための、清原和博氏のお願い

「薬物依存」をなくすための、清原和博氏のお願い

▼2019年6月23日付の朝日新聞に、「薬物依存 どうすれば」という見出しで、清原和博氏のインタビューが載っていた。(大岩ゆり記者)

〈若い頃から自分は「二度死ぬ」と考えていました。野球人生と、その後の人生においてです。〉という、この冒頭の一文から、清原氏には過度なストレスがかかっていたことがわかる。適宜改行。

〈薬物依存の後遺症で患ったうつ病の治療は思うように進んでいません。今も感情に波があ

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『「いいね!」戦争』を読む(3) ウェブが「兵器」と化した時

『「いいね!」戦争』を読む(3) ウェブが「兵器」と化した時

▼『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』を読む続き。

第2章は「張りめぐらされる「神経」 インターネットはいかに世界を変えたか」。この章は、もしかしたら「世界一短くて的確なインターネット小史」かもしれない。

冒頭(43頁)は、アメリカNBCのキャスターが、生放送中に「ところで、インターネットって何だ?」と尋ねる場面から始まる。

1994年のことだ。

▼本書では、20世紀中盤から

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『「いいね!」戦争』を読む(2) 「顔のない敵」とつきあう五つの原則

『「いいね!」戦争』を読む(2) 「顔のない敵」とつきあう五つの原則

▼身近な話から行こう。シカゴのギャングの話だ。

〈2017年にシカゴで発生したストリートギャング絡みの暴力による死者数は、イラクと、続くシリアでの通算10年間におよぶ紛争における米軍特殊部隊の死者の総数を上回った。その抗争の中心となっているのがソーシャルメディアだ。〉(25頁)

▼どこが身近? ギャング同士の、オンラインの貶(けな)し合いが、銃殺、そして報復のための銃殺に至る例が後を絶たない。

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『「いいね!」戦争』を読む(1)「ドナルド・トランプ」と「イスラム国」

『「いいね!」戦争』を読む(1)「ドナルド・トランプ」と「イスラム国」

▼インターネットって素晴らしいな、と思わせる記事が、2019年1月4日付の読売新聞に載っていた(安田龍郎記者)。「ネットの先に」という連載の1回目で、見出しは、

〈終わらぬ「闘病ブログ」/遺志継いだ 見知らぬ男女〉

大阪で暮らしていたヒロさんが、肺がんのステージ4を告知され、それから始めたブログが、ヒロさんが亡くなった後も、会ったこともない人々によって続き、ヒロさんの妻の香さんにとって、そのブ

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教師に余裕ができれば子どものSOSを受信しやすくなる件

教師に余裕ができれば子どものSOSを受信しやすくなる件

▼今号はタイトルを「教師に余裕ができれば子どものSOSを受信しやすくなる件」としたが、そんな当たり前のことを書かねばならないほど、日本の教育現場は追いつめられている、という話。

▼新潟県村上市で震度6強の地震があったので、新潟日報を読んでいたら、「学校に行けない小中学生が14万人いる」という記事があった。

全国不登校新聞社事務局長の小熊広宣氏の寄稿。適宜改行。見出しは

〈忙し過ぎる教師に余裕

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5歳以下で「ゲーム」を始めるとすごく「依存症」になりやすい件

5歳以下で「ゲーム」を始めるとすごく「依存症」になりやすい件

▼やっと「日本人のゲーム依存と思春期」の本格的な調査が出た。

2019年6月22日付の毎日新聞から。

〈幼少期にゲーム 依存傾向/早いほど思春期に影響/久里浜医療センター調べ〉(上東麻子記者)

〈ゲームを習慣的に使い始める年齢が早いほど中学生になった時の依存傾向が強いとの調査結果を、国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)がまとめ、21日に新潟市であった日本精神神経学会で発表した

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ネット内では、人はどこまでも無責任になれる件

ネット内では、人はどこまでも無責任になれる件

▼スマホは、人をどこまでも無責任にする。盛り上がると、とくに無責任になり、バカになり、恥知らずになる。以下の話も、スマホがない時代には起こらなかっただろう事例だ。

フリーランスライターの畠山理仁氏が、2018年7月11日付の東京新聞夕刊に書いた体験談が興味深い。

〈ネット上に蔓延する「無責任」/現場軽視と他者攻撃/新潟県知事選取材ツイッターで炎上〉

〈(2017年の)6月10日に投開票が行わ

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