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#小説
正しいティッシュの使い方
「ティシューちょうだい」
「何に使うの」
「コンタクトの液こぼしちゃったから拭きたい」
「だったらこっちのティッシュ使わないで、あっちの使って」
私は棚の上にあるティッシュ箱を指さした。
「なんで」
「こっちは高いの。セレブリティなティッシュなわけ。肌に触れること以外は使わないで欲しいの」
「なんだよ、それ。変わらねぇだろ」
「変わるんですー。お高いんですー。肌ざわりが違うんですー」
捲し立
夏、大人になった俺たちは
茹だるような暑さの日。
俺はノートを持って外に出た。
34歳、俺。現在無職。
いや、漫画家志望の夢見る少年。
いや、実家暮らしのくそニート。
室内でも少し熱くなった小銭を握って、コンビニに入る。
氷入りのカフェラテと、ソフトクリームを持って、レジに小銭を置く。
無人でもガラガラと音を立てて収納される小銭を眺め、レシートを取らず外に出た。
外に出て、公園のベンチに座った。
もちろん日陰。ただそ
絵描きの私と5人の男 #1
とある昼下がり。人里離れた少し寂れた私の家に、知らない女の子が飛び込んできた。
どうやら売れない絵描きの私の家に住む男、木山と知り合いらしい。
その木山も数カ月前突然家にやってきて、
「家なくなったから一緒に住んでいい?」と言ってきた。
まぁ知らない人では無かったし、いいよと答えたのだ。
まずは人を信じることが大切、と、昔から教わってきたし。
突如来た彼女は、家に入ってきて早々、急に携帯を鳴らし
埋もれる真実を叫ぶ男
「そこに全力で叫ぶ男がいた。
特定の誰かに向かってでは無く、
ただ自分の想いだけを一心不乱に叫び続ける男。
その名もMrs.Principal (大友悠大・29・東京都)。
彼は高校の時からMrs.Princes というバンドを組んでいたが、そのバンドはつい3日前、活動を休止した。
メンバー間の音楽性の違いで、というのが世間への発表だが
実際はメンバー内には誰1人、違いなど持ったものはいな
とある奇人の指針 #1 「鍵のあるドア」
さて、ここで質問です。
今、あなたの目の前に
沢山の鍵穴がついたドアがあります。
そして、あなたの手元には1つの鍵が。
どれも同じ鍵穴に見えますが、
全て違うドアのものです。
あなたの手元の鍵はマスターキーのようなもので、どのドアでも開けることができます。
1回差したらもう戻すことは出来ません。
そのまま右に捻って鍵を開けてください。
あなたなら、どのドアを開けますか。
急に聞かれても
死ぬことを恐れない男
ある昼下がり、俺は駅に立っている。
未曾有のウイルス災害によりテレワーク続きだった会社も、徐々に出勤となった。
しかし時差出勤とやらで俺はこの時間に会社に向かうことになったのだ。
午前にリモート打ちが無ければ昼前まで寝れることは嬉しいが、逆にそんなに長く寝てしまうと今度は起きることがしんどくなる。
それが俺にとっての最近辛いことだ。
瞼が重い。欠伸が出る。
電車はまだ来る気配がない。
ポカポ
教えてくれないQRコード
帰りの電車でQRコードを見つけました。
いまや当たり前にあるこのコードの意味と
このコードの由来を知っている人はどれくらい居るのでしょう。
知らなかった私は、
調べてみることにしました。
このコードは1994年に誕生し、
QuickResponseの略でQRコードと呼ばれるそうです。
その名に恥じない、早い反応を試そうと思って私はそのQRコードにカメラを向けました。
一瞬で、大学の情報ペー