マガジンのカバー画像

弱おじの本棚

199
読んだ本の記録です。
運営しているクリエイター

#生き方

ピンと張りすぎた心の弦を、優しく緩めてくれる一冊。〜「かすり傷も痛かった」を読みました〜

ピンと張りすぎた心の弦を、優しく緩めてくれる一冊。〜「かすり傷も痛かった」を読みました〜

箕輪厚介さんの「かすり傷も痛かった」を読んだ。

以前に出版された「死ぬこと以外かすり傷」に対するアンサー的な本で、心境の変化や生き方に対する考え方が大きく変わっていて、読んでいてとても面白かったし、共感できた。

そして何より、心が緩む一冊だなと感じた。
もちろん、良い意味で。

頑張れ。負けるな。もっとやれ。
成功のために書かれた意識の高い本なら山ほどあるが、本書のように「やっぱりあんまり無理

もっとみる
登山とは人生であり、人生とは登山であり。「残照の頂」を読んで。

登山とは人生であり、人生とは登山であり。「残照の頂」を読んで。

湊かなえさんの「残照の頂」を読んだ。

登山と人生。
よく対比される二つ。

様々な思いを抱えながら、山を登る人々。
みんな色々ある。
そう思えるだけで、力強く、明日へと踏み出す力をもらえる。

登山の季節がやってくる。
一歩一歩、無心で歩みを進めていく。
山に登らずとも、皆が山を登っているのかもしれない。

登っていく自分を労っていこう。
他人を見下すのではなく、共に人生という山に挑む仲間として

もっとみる
依存をしないために自立をしなきゃ。「盲目的な恋と友情」を読んで感じた人生の難しさ。

依存をしないために自立をしなきゃ。「盲目的な恋と友情」を読んで感じた人生の難しさ。

辻村深月さんの「盲目的な恋と友情」を読んだ。

他者への依存をテーマにした作品で、怖いな、と同時に、わかるな、と感じた。

人は弱い生き物だ。
自分に足りない部分を、何かで埋めなくては生きていけない。

だから酒を飲む。
ギャンブルにハマる。
タバコを吸い、時にはいけない薬なんかにも手を出す。
いわば、依存だ。

人への依存は、その最たるものかもしれない。
満たされない。認められたい。この世界に自

もっとみる
人生と小説はマジ自由。「みどりいせき」を読んで感じたこと。

人生と小説はマジ自由。「みどりいせき」を読んで感じたこと。

大田ステファニー歓人さんの「みどりいせき」を読んだ。

お洒落。ポップ。
今風。

小説というお堅い存在に抵抗がある人は、騙されたと思って読んでみて欲しい。
こんな小説もありなんだと、表現は自由なのだと、きっと驚くはずだ。

人生を楽しむ。
ルールなどない。

物語の内容とか、それ以前の部分で強く感銘を受けた作品。

作者の生き様だとてもかっこいいです。
やりたいことやろう。
人生はまだまだ楽しめ

もっとみる
複数の世界を持ち、半身で気楽に楽しむという人生のコツ。〜「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んで〜

複数の世界を持ち、半身で気楽に楽しむという人生のコツ。〜「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んで〜

三宅香帆さんの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んだ。

まず、本当に読んでよかったと感じている。
面白かったし、人生について考える良い機会を与えてくれた。

タイトルを見て、敬遠していた。
単なる読書術の本だろうと。

全く見当違いだった。
この本は読書だけじゃなく、「生きる」ということの本質であったり楽しみ方を提示してくれる素晴らしい本だ。

詳しくは読んでほしいので、自身に響いた部

もっとみる
「もう明日が待っている」を読んで、「色々あるけど頑張ろう」と思えた話。

「もう明日が待っている」を読んで、「色々あるけど頑張ろう」と思えた話。

鈴木おさむさんの「もう明日が待っている」を読んだ。

率直な感想。
読んでよかった。

私自身、SMAPの熱烈なファンというわけではない。
昔からスマスマとかのバラエティはよく見てたなぁ、くらいの印象。

今回、この本を読んで、SMAPという存在を深く知ることができてよかったと思っている。
鈴木おさむさんとSMAPの関係性も知らなかったから、知らないところで色んなドラマがあるのだなと、改めて感じた

もっとみる
「成瀬は信じた道をいく」を読んで、「やりたいこと、やろう」と思った話。

「成瀬は信じた道をいく」を読んで、「やりたいこと、やろう」と思った話。

宮島未来さんの「成瀬は信じた道をいく」を読んだ。

前作に続いて、登場人物たちの爽やかな姿に心を動かされ、生きる元気をもらえた。
今回の作品は主人公の周囲の人たちにスポットライトが当たる機会が多く、それもまた良いなと感じた。人と人とのつながりが美しい。

信じた道をいく。
改めて、やりたいことをやらなきゃなと、感じさせてくれた。
やりたいことをやらず、何が人生だ。

信じる対象は、自分の心の声だ。

もっとみる
「令和元年の人生ゲーム」を読んで、「人生なんて所詮ゲームだよな」って心が軽くなった話。

「令和元年の人生ゲーム」を読んで、「人生なんて所詮ゲームだよな」って心が軽くなった話。

麻布競馬場さんの「令和元年の人生ゲーム」を読んだ。

若者たちが働き方や生き方に悩んだり考えたり、そんな姿を見て、自分の生きたいように生きなきゃなと思った。

自己実現。理想の自分。
私もいいおじさんだ。
何歳まで、そんな綺麗事を言っていていいのだろう?
いや、何歳だって、この問いから目を背けてはいけないのかもしれない。
いつかどうせ、壁にぶち当たる。

私の人生、これでいいの?
こんなはずじゃな

もっとみる
人間だから、弱いし、揺らぐ。〜「ともぐい」を読んで感じたこと〜

人間だから、弱いし、揺らぐ。〜「ともぐい」を読んで感じたこと〜

直木賞受賞作、河﨑秋子さんの「ともぐい」を読んだ。

「熊文学」とも評される作品で、熊とそれを狩って生きる孤独な人間の姿が、とてもリアルな描写で表現されている。

読後に感じたのは、「人間って、やっぱ弱いよな」ってこと。
そして、「弱くても別にいいんだよな。人間だし。」という、なんだか自分を肯定してあげる気持ちも芽生えた。

主人公の男性は一人、熊を狩りながら生きていくが、その日々に疑問を感じ、揺

もっとみる
「脳に良い行動を積み重ねれば、幸せに生きられんじゃね?」という考察。〜「脳科学で解く心の病」を読んで〜

「脳に良い行動を積み重ねれば、幸せに生きられんじゃね?」という考察。〜「脳科学で解く心の病」を読んで〜

カンデルさんの「脳科学で解く心の病」を読んだ。

心の病からアプローチして、脳の働きを説明してくれている本書。
内容は専門的で、正直ちゃんと理解ができているかは怪しい。

学んだことを端的に表すと、「心の状態を作るのは脳」だということ。
ならば、健全な精神状態を生み出すためには、脳の状態を健全に保つことだけに、まずは全振りしてみても良いのではないか?

具体的に。
脳に良い習慣として、私が行ってい

もっとみる
「仕事の辞め方」を読んで、「結局はご縁だよな」と思った話。

「仕事の辞め方」を読んで、「結局はご縁だよな」と思った話。

鈴木おさむさんの「仕事の辞め方」を読んだ。

私自身、今すぐに仕事を辞めたいと思っているわけではない。
だけど、将来に漠然とした不安や不満があるのは事実だ。
本当にこのまま生きていていいの?
この仕事を続けていって、本当に後悔しないの?

日々の忙しさをいいことに、私たちは自分の感情から目を逸らす。
やりたいことをやるなんて、若者の特権。
おじさんは我慢して、淡々と死ぬまで生きるだけ。
そんな人生

もっとみる
「正欲」を読んで「自分が生きたいように生きること」について考えた話。

「正欲」を読んで「自分が生きたいように生きること」について考えた話。

朝井リョウさんの「正欲」を読んだ。

人生ってしんどいよなって思った。
社外のレールから外れるのが怖くてみんな必死に普通を目指して躍起になる。
しんどいし、人生ってマジで意味ないよなって思えてしまう。

ちゃんと仕事をして、大切な異性を作り、サックスをして、子供を作り、育てる。
そんな社会に敷かれた当たり前というルールでありレール。
はみ出そうものなら、「大丈夫?」「なんで?」と変わり者を見る目で

もっとみる
意味のないこの人生で、いかに意味を感じて幸せに生きるか。 〜「どう生きるかつらかったときの話をしよう」を読んで〜

意味のないこの人生で、いかに意味を感じて幸せに生きるか。 〜「どう生きるかつらかったときの話をしよう」を読んで〜

野口聡一さんの「どう生きるかつらかったときの話をしよう」を読んだ。

めちゃくちゃくらった。
そして人生について深く考える素晴らしい機会を与えてもらった。

この本を手にしたってことは、私はどう生きるかわからず辛かったのだろう。
本書を読み終えた今だって、悩みは尽きない。
だけど、目の前に少しだけ、光が差している。
こうすれば今より幸せに生きられるんじゃない?みたいな手応えが、今微かに掴めそうな気

もっとみる
人生なんて曖昧でいい。虚構だもの。〜「夜果つるところ」を読みました〜

人生なんて曖昧でいい。虚構だもの。〜「夜果つるところ」を読みました〜

恩田陸さんの「夜果つるところ」を読んだ。

「鈍色幻視行」の物語に出てくるいわば作中作品で、まずその仕組みが面白いなと感じた。

虚構の中に存在する虚構の物語が、こうして現実には存在する。
なんだか訳がわからなくなるが、人生とはそんな曖昧なものなのかもしれない。

著者がインタビューで「曖昧な状況に耐えるのが人生」という言葉を残していた。
そして「真実は虚構にしかない」とも。

白黒つけられない人

もっとみる