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複数の世界を持ち、半身で気楽に楽しむという人生のコツ。〜「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んで〜

三宅香帆さんの「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んだ。

まず、本当に読んでよかったと感じている。
面白かったし、人生について考える良い機会を与えてくれた。

タイトルを見て、敬遠していた。
単なる読書術の本だろうと。

全く見当違いだった。
この本は読書だけじゃなく、「生きる」ということの本質であったり楽しみ方を提示してくれる素晴らしい本だ。

詳しくは読んでほしいので、自身に響いた部分を中心に紹介していく。

本書の後半で提言される「半身社会」という言葉が、これからの私の人生を豊かにしてくれそうだと感じている。

簡単に言えば、現代の社会人は全身全霊で仕事に打ち込んでいるから、余裕がないと。
余裕がないから、余計なノイズが含まれていないインターネット等に時間を費やし、無駄な情報が含まれる本などのエンタメを楽しめなくなってしまう。

腑に落ちすぎる。
私も経験したことがあり、仕事で余裕がなかった時は目の前の情報を処理することで手一杯で、意図的にいらない情報を遮断していた。
そして、心は荒んでいき、目の前の景色から色がなくなっていた。

人生とは、無駄を楽しむものだと思う。
本書でいう「ノイズ」が心を刺激し、今まで出会ったことのない感情を生み出してくれて、日々が豊かになる。

このノイズを楽しめない状態で生きる日々に、なんの意味があるのだろう?
そこまでして得たお金や地位や名誉があっても、それを喜ぶ感情を失ってしまっていたら、元も子もない。

頑張らなくていい。
半身主義でいこう。

だけども同時に、一生懸命やるからこそ得られる素晴らしい感情というものもある。
半身で生きてたら、そんな中途半端なことしてたら、ダサいんじゃない?得るものもないんじゃない?

そうではなく。そんな極端な話ではなく。
「色々な世界を持っておく」ことが大切で、その上で、その時々に頑張りたいことを、「気楽さの上で」頑張っていけたらいいと思う。

これは決して逃げではない。
人生を楽しむための、攻めの戦略だ。

言葉を選ばずに言うと、
「まぁ、これがダメでもあっちの世界があるから大丈夫!」
「だから気負わずに、やれるだけをやってみよう!」

このマインドだ。
ある種の開き直りだと捉えられてもいい。

「これしかない」と追い詰められる人生は辛い。
「頑張らなきゃ」というモチベーションからの努力は喜びよりも苦しみにつながる。

もっと気軽に。軽やかに。
その上で、一生懸命に。
爽やかな青春を謳歌するように。

私は本を読むことが好きだ。
だから、本を読んでノイズに触れることを拒むような、そんな心ではいきたくない。

みんな、疲れすぎていないかい?
一歩立ち止まり、心の声を聞いてみよう。

人生は楽しむためにある。
そう信じて。
半身で生きていいのだと、作者が優しく教えてくれた、素晴らしい一冊でした。

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