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経営幹部

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経営幹部に必要な記事。 施設を越えた経営幹部間の意見交換のプラットフォームとなることが目的。一部有料。
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記事一覧

給料も人も欲しいという要望は実現可能なのか?

給料も人も欲しいという要望は実現可能なのか?

「給料はもっと欲しい。」
「そして、人も増やして欲しい。」
そうした要望が叶うのは、企業の収入が年々増え続ける成長期だけだろう。

従業員の給料は、基本的には企業の収入から支払われる。従業員1人あたりの給料は、企業が給料として支払うことができる金額を全従業員で分けた結果である。  
 つまり、従業員1人あたりの給料と従業員数は、トレードオフ(一得一失)の関係にある。

したがって、人を増やしつつ給

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リハ専門職一人につき1日何単位が妥当なのか?

リハ専門職一人につき1日何単位が妥当なのか?

過去、私は約120人規模のリハセラピストが所属するリハ部門の管理職を務めていました。したがって、リハ部門の管理職が抱く苦悩は理解しているつもりです。
 さて、階層型組織の視点では、リハ部門の管理職は、経営者(あるいは経営層)と現場のリハ専門職の間に挟まれます。このことから、しばしば経営者と現場の相反する意向の板挟みとなり、管理職としての決断を強いられることも少なくありません。その中の一つに、「リハ

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病院経営に寄与する広報の力点はどこか?

病院経営に寄与する広報の力点はどこか?

2024年現在、わが国の医療機関を取り巻く環境は極めて厳しく、多くの病院経営は赤字経営を余儀なくされている。
 日本病院会、全日本病院会および日本医療法人協会に加盟する全病院を対象とした調査(調査期間:2024年7月22日〜8月29日分、回答数541病院;回答率12.2%、有効回答数480病院)によると、医業損益の前年同月比較(2023年6月/2024年6月)において減収・減益であり、病院の経営状

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リハ専門職の人材不足をマネジメントで乗り越えられるのか?

リハ専門職の人材不足をマネジメントで乗り越えられるのか?

 本noteは、2024年11月15日に開催された、全国病院経営管理学会 第59回大会のシンポジウムで筆者が講演した要旨です。
 この内容は、全国病院経営管理学会リハ専門委員会の発足からこれまでの8年間の調査研究の結果に基づいています。われわれの活動の内容を多くの方々に知っていただき、業界を挙げてマネジメントの課題に取り組む契機になればと考え、事務局の許可を得て公開します。

外部環境の外観

 

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リハ専門職の直接的介入は、間接的介入に置き換えられるのか?

リハ専門職の直接的介入は、間接的介入に置き換えられるのか?

私たち、全国病院経営管理学会リハ専門委員会では、「リハ専門職の包括化を見据えた効果的・効率的な介入のあり方を創造し具現化する」ことをビジョンとして活動してきました。
 本noteでは、2024年10月4日に開催した「全国病院経営管理学会リハ専門委員会報告会」における小生の講演「直接的介入は間接的介入に置き換えられるのか-リハ専門職が介入すべき直接的介入を明確化する-」の要旨を記します。

まず、私

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医療従事者の待遇(処遇)改善に思うこと

医療従事者の待遇(処遇)改善に思うこと

 2024年9月19日、衆議院議員の小泉進次郎氏のX(旧Twitter)の投稿が、われわれリハ専門職の間で話題になっています。それは、現場のリハ専門職と意見交換を行い、リハ専門職の待遇改善に対してスピードを上げて対策を打ちたいという意思表示を示した投稿でした。

 この投稿の内容は、われわれリハ専門職にとっては、とてもありがたい内容に感じました。薄給であるが故に、リハ専門職がその職務のやりがいを唱

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病院広報のKPIとは何か?

病院広報のKPIとは何か?

病院経営は極めて厳しい時代を迎えている。2023年度の病院経営定期調査(概要版)によれば、赤字病院の割合は2019年は68.3%であったのに対し、2020年は78.2%に増加し、以後4年連続で70%後半を推移している。病院の開設主体の区分は、国、自治体、その他公的、医療法人、その他私的なものがあるが、国民医療の約8割は私的医療機関が担っていると言われている。私的医療機関は国立病院などと異なり、赤字

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人材不足の時代に病院はどう生き抜くか

人材不足の時代に病院はどう生き抜くか

 少子高齢人口減少社会の影響により、生産年齢人口は縮小の一途を辿っている。これにより、医療従事者等のなり手も縮小し、新卒採用は売り手市場となる。新卒採用が売り手市場となると、多くの病院の人材不足は常態化する。すると、中途採用の間口はおのずと広がり、経験や専門性を高めたい職員などの流動性が加速する。その結果、働き手に選ばれない病院の人材不足はさらに深刻化し、医療サービスの質を保つことすら困難となる可

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なぜ、人材育成はOJTのみでは不十分なのか

なぜ、人材育成はOJTのみでは不十分なのか

経営資源は、人・物・金・情報に時間・知的財産を加えて6つあると言われています。これらの経営資源のうち、扱いによって価値が増減するものは「人(材)」のみです。
 人(材)の価値を高めるためには、効果的で持続的な人材育成が必要です。その手段はいくつかありますが、OJT(On the Job Training)に依存する組織も少なくないように感じます。

ところで、有名なP.F.ドラッカーは、われわれリ

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病院の見張り台に見張り番がいますか?

病院の見張り台に見張り番がいますか?

 病院運営のパターンは、以下の3つに大別されるといいます。

トップ主導運営は、トップダウンによる運営で、創業期に多いとされています。トップが収集した情報と、トップのこれまでの経験に基づく直感や感性で意思決定されます。したがって、意思決定と実行に移すスピードが早いという利点があります。
 しかし、それ故に、トップが観察できる範囲を超えた問題は認知されません。また、指示に従うことが求められることで、

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なぜ、管理監督者と医療従事者は対立するのか

なぜ、管理監督者と医療従事者は対立するのか

経営者および管理監督者と現場の医療従事者の対立の要因

 わが国の医療業界は、少子高齢人口減少社会の影響により、病院経営はとても厳しくなると考えられています。組織が生き残るためには、外部環境に適応するだけでは不十分であり、経営者や管理監督者の視座は常に外部環境の進化の先にあることが重要と考えられています。つまり、経営者や管理監督者は、ビジョナリーであることが求められていると考えることができます。

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戦略人事を学び、創業者が夢見たユートピアの具現化に役立ちたい

戦略人事を学び、創業者が夢見たユートピアの具現化に役立ちたい

私は現在、「戦略人事」に関心があります。経営資源には、人・物・金・情報・時間・知的財産・ブランドがあると言われていますが、その価値が急に10分の1になったり急に10倍になったりする経営資源は人だけです。一方、わが国の生産年齢人口は確実に減少することがわかっています。つまり、人という経営資源の価値を高めることは、組織の持続可能性という視点で極めて有用であると思うのです。
 戦略人事とは、“経営資源の

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話し合いとは何か?

話し合いとは何か?

 組織マネジメントに関心がある私は、幸いなことに内外のマネジャーと対話する機会をいただいています。そこで、おそらくうまくいっているであろうマネジャーと、うまくいっていないと自覚しているマネジャーの決定的な違いは、組織メンバーとの「話し合い」の内容ではないかと感じていました。そんな時、中原 淳 著“「対話と決断」で成果を生む話し合いの作法”(PHPビジネス新書)を拝読し強く共感しました。
 そこで本

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リハ専門職は何を目指し、どう育成すべきなのか?

リハ専門職は何を目指し、どう育成すべきなのか?

本noteは、全国病院経営管理学会主催「令和5年度リハ専門委員会報告会」で筆者が講演したイントロダクションの一部です。われわれの活動およびリハ専門委員会報告会の様子を広く知っていただくことを目的として公開しています。
 多くの方が、リハ専門職の現在と未来を考える契機となれば幸いです。

リハ専門職は何を目指し、どう育成すべきなのか。その答えは、「間接的にも成果を示すことができる専門職を目指し、見通

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