本能寺の変１８５２　その一因　２(３)光秀の嫡男　そ第11話⑦　天正十年六月二日、明智光秀が織田信長を討った。その時、秀吉は備中高松で毛利と対峙、徳川家康は堺から京都へ向かっていた。甲斐の武田は消滅した。日本は戦国時代、世界は大航海時代。時は今。歴史の謎。その原因・動機を究明する。『光秀記』

その一因　２光秀と光慶　(３)光秀の嫡男　そ第11話⑦　

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２光秀と光慶　
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(３)光秀の嫡男　そ第11話⑦

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　　１信長の後継者　そ第5話①　そ第5話②　そ第5話③
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２光秀の後継者　３光秀は、明智の将来に不安を感じていた。

③光秀は、粛清を怖れていた。

２５信長は、気を揉んでいた。　　　　　　　　　　→◎第11話　第11話　　　　　　　　　
　　七月二日
　　信長は、安土城にいた。
 
　　顕如より、使者あり。
　　この日、勅使とともに、本願寺から、三人の使者が参上した。
　　御礼言上。
　　取次は、松井友閑と佐久間信盛。

　　　大坂本門跡、雑賀へ退出の以後、
　　　藤井藤左衛門・矢木駿河守・平井越後の三使を以て、
　　　七月二日、御礼。

　　　御勅使、近衛殿・勧修寺殿・庭田殿、此の御衆を召し列れられ、
 
　　　御取次、宮内卿法印・佐久間右衛門尉。

　　信長は、これに面会せず。
　　懸け引きであろう。
　　すなわち、威圧。
　　否、「脅し」。

　　代わりに、信忠が、挨拶を受けた。
 
　　　進物、御太刀代・銀子百枚。
　　　中将信忠卿へ、御礼申す。
 
　　　信長公、御対面これなし。

　　信長より、顕如へ。
　　銀子に対して、黄金を贈っている。
 
　　　信長公より、門跡・北の方へ、御音信、遣はさる。
　　　御注文、写し置き候。
 
　　　　黄金三十枚、　門跡へ。
　　　　黄金二十枚、　北方へ。
　　　　黄金十五枚、　あぜち(按察使)法橋(下間頼龍)へ。
　　　　同十五枚、　　下間刑部卿法橋(頼廉)。
　　　　同十五枚、　　下間筑後(頼照)子、小進法橋(仲之)。
　　　　同二十五枚、右五人、今度、使に参られ候衆へ下さる。

　　　翌日、忝(かたじけな)きの由、申し上げ侯て、罷り帰り侯なり。
　　　以上。 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(『信長公記』)

　　顕如は、信長の恐ろしさをよく知っている。
　　これが、最後のチャンス。
　　「教如」
　　そのことを、十分に、心得ていた。　
 
　　　祝儀として、青鳥殊に太刀一腰并に銀子千両到来、喜悦の至りに候、
　　　仍って、黄金三百両を相い贈り候、
　　　祝詞を表す計りに候、
　　　猶、宮内卿法印(松井友閑)、申すべく候也、
　　　謹言、
　　　　　　七月二日　　　　　　　　　　　　　　信長(朱印)
　　　　　　　本願寺
　　　　　　　　　　　　(「本願寺文書」「織田信長文書の研究」８７６)

　　信長は、摂津花隈城を攻撃していた 。
　　兵庫県神戸市中央区花隈町(花隈公園)。
　　城将は、荒木元清(村重の一族)。
　　これを支援するため、毛利より、水軍の将、乃美宗勝が入城していた。

　　なお、荒木村重は、天正七１５７９年九月、有岡城を脱出した後、嫡男
　　村次の尼崎城に入り、同城に立て籠もっていた。
　　後、父子ともに、花隈城に移ったともされるが、定かならず。

　　指揮官は、池田恒興。
　　恒興は、天文五年１５３６の生れ。　　　　　　　　　　　【 人物 】
　　この年、四十五歳。
　　信長の二つ下。
　　母は、信長の乳母、養徳院。
　　すなわち、乳兄弟。
　　股肱の臣である。

　　以下は、これまでの経緯。

　　二月二十七日(天正八年)
　　信長は、織田信澄・塩河長満・丹羽長秀の三人に命じ、花隈城の周囲に
　　付城を築いた。
　　そこに、池田恒興・元助・輝政父子を配置。
 
　　　二月廿七日、山崎に至つて御成り。 
　　　爰(ここ)にて、津田七兵衛信澄・塩河伯耆・惟住五郎左衛門両三人、
　　　兵庫はなくま表へ相働き、
　　　御敵、はなくまへ差し向ひ、然るべき地を見計らひ、
　　　御取出の御要害に仕り侯て、
　　　池田勝三郎父子三人、入れ置き、
　　　其の上、帰陣仕るべきの旨、仰せ付けられ訖んぬ。

　　織田家中では、若手が育っていた。
　　閨三月二日
　　花隈城で戦いがあり、池田元助・輝政兄弟が手柄を上げた。　　

　　　閨三月二日、御敵城鼻熊より池田勝三取出へ人数を出だし侯。
　　　則ち、足軽ども取り合ひ侯のところ、
　　　池田勝九郎・池田幸(古)新兄弟、年齢十五、六、
　　　誠に、若年にて、
　　　無躰(むたい)に懸け込み、火花を散らし、一戦に及ばれ、
　　　父池田勝三郎(恒興)、これ又、懸け付け、
　　　鎗(やり)下にて、究竟(くっきょう)の者五、六人討ち捕り、
　　　兄弟高名、比類なき働きなり。

　　信長は、池田恒興の軍勢を強化した。
　　六月二十四日
　　信長は、荒木村重の元家臣らを恒興の与力とした。
　　「村重後の摂津を・・・」、と考えていたのではないか。

　　　伊丹にて、謀叛、御忠節仕り侯衆の事、
　　　中西新八郎・星野左衛門・宮脇又兵衛・隠岐土佐守・山脇勘左衛門
　　　五人の者、
　　　池田勝三郎与力に仰せ付けられ侯。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(『信長公記』六月二十四日条)

　　信長は、陸海から、花隈城を攻めた。
　　陸からは、池田恒興。
　　海からは、九鬼嘉隆。　　　　　　　　　　　　　　　　　【 人物 】

　　九鬼嘉隆は、天文十一年１５４２の生れ。
　　この年、三十九歳。
　　伊勢志摩の出身。
　　元、北畠氏の家臣。
　　後、信長に従う。
　　九鬼水軍を率いた。
　　天正六年１５７８、信長の命により、六艘の大船を建造。
　　木津河口の海戦で、毛利の水軍を撃破した。

　　池田恒興が、花隈城を攻略した。
　　七月二日、落城。
　　荒木元清は、乃美宗勝とともに、船で、毛利へ脱出した。

　　なお、荒木村重・村次父子も、これと同じ。
　　但し、尼崎城からなのか、花隈城からなのか。
　　また、その時期について、同日なのか、それとも、その前なのか等々、
　　よくわからない。

　　信長は、大阪湾北部の制海権を手にいれた。
　　摂津から、毛利の水軍を、追い払ったことになる。　　

　　斯くして、石山本願寺は、完全に孤立した。
　　陸上からも、海上からも。
　　支援・補給のルートは、完全に封鎖されてしまった。
　　「最早、打つ手なし」
　　お手上げ状態である。

　　信長、上洛。
　　七月十四日
　　無言の圧力、である。　　
 
　　　十四日、壬午((みずのえうま)、
　　　右府信長、御上洛の由、申すの間、
　　　御迎えのため、山科に至り罷り出で、数刻相待つ、
　　　村井作右衛門慰(貞成＝貞勝の子)、先へ罷り皈(かえ)り、云く、
　　　御迎え、各、無用の由、仰せなり、
　　　早々に、罷り皈るべきの由、堅く申さるゝの間、各、皈るなり、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(「兼見卿記」) 

　　信長は、教如を追い詰めた・・・・・。

　⇒　次へつづく