幼い頃、父が「『我に艱難辛苦(かんなんしんく)を与えたまえ』と祈った人がいたそうだ」と教えてくれた。わざわざ苦難を天に求めたわけだ。私はうっかり、父と一緒にそう夜空に祈ってしまった。以来、苦しくなるたびに後悔する。でも仕方なかった。当時はクーリングオフ制度すら無かったのだ。