マガジンのカバー画像

読ませて頂きました

2,360
運営しているクリエイター

#小説

ロブスターのいるところ

サインバルタ六十ミリ、インチュニブ六ミリ、レキサルティ一ミリ、レキソタン五ミリ、とんぷくとしてワイパックス一ミリ、エビリファイ三ミリ(液体)、睡眠薬のレンドルミン〇・二五ミリ、頭痛止めのロキソプロフェンナトリウム六十ミリ、二十八日分、の処方せんを、待合室が八畳くらいの小さい調剤薬局に預けて、ご住所やお電話にお変わりありませんか、と事務員さんに尋ねられ、はいと言って、お薬手帳を預け、出てきた。夫が調

もっとみる
【閲覧注意】わたしは書くことと自分が好き

【閲覧注意】わたしは書くことと自分が好き

藤原華さんのコンテストに落選しても
恐らく週末に発表される創作大賞に落選しても
その前にあった三羽烏さんの短歌企画に落選しても
この先、どんなコンテストや企画があっても
落選から免れず
でも、きっとわたしは書いているよ

藤原華さんからの新たなお題 #なぜ私は書くことができているのか

単純に、書くのが好きで内観したいだけ

日常の出来事や経験、派生した感情を書き留めることは、自分の気持ちを客観的

もっとみる
愛とはなにか  ──あるいは祈りについて

愛とはなにか ──あるいは祈りについて

寄り道をすること

愛とはなにか?
この壮大な問いに対して、私は、愛とは人生に意味を与えてくれる寄り道なのだと答えたい。
そして、愛することとは、寄り道に意味を、つまり物語を吹き込むことなのだと。

それでは、愛はどこからの寄り道なのか。
それは真っ直ぐな人生からの寄り道である。

では、真っ直ぐな人生とは何か。合理的で、経済的で、無駄がない人生である。
いい学校に行くために勉強をし、いい企業に入

もっとみる
小説感想『生きてるだけで、愛』

小説感想『生きてるだけで、愛』

本谷有希子さんの小説です。

久々に、読んでいて感情を露わにしてしまうような作品でした。

怒り?怒りのような感情が湧き出てくるのには驚きました。ただし、それは怒りと呼んでしまうには新鮮な感覚で、なんというか、自分が持っている醜さが膿となって脳に吐き出されている感じです。

というのも、今作は精神に病を抱える主人公が生きていく話なのですが、僕はどうして彼女と違って会社に時間通りにちゃんと行き、人間

もっとみる

イエスマンにはなるな、でもイエスから始めろ

あぁ、これでようやく日本に帰れる。

僕はバーカウンターで一人ビールを飲みながら放心していた。海外での一週間の研修プログラムを終え、あとは最後の、参加者総出のクロージングパーティーをやり過ごすだけだった。会場となっている巨大なレストランでは、世界中から集まった参加者、新任の管理職たちが、テーブルにも座らずビールを片手に大声で語り合っていた。

その輪の中に入っていく気はなかった。これで終わりだ、と

もっとみる
いしのおと と ヒカルの碁

いしのおと と ヒカルの碁

囲碁漫画である。(ネタバレがあります)

私も囲碁はやるけど、もっぱら詰碁で、しかもアプリである。
その上、著しく弱い。
19×19の世界を、俯瞰で見ることなど出来ない。
囲碁は、琴棋書画(きんきしょが)の一つで、文人の嗜みの一つである。
琴は古琴のことで弦楽器を奏でること、書は書芸であり、書道である。画は、文人画のことを指すので、絵心だろうか。
そして、棋が、囲碁である。将棋のように思えるけれど

もっとみる
小説 ちんちん短歌 第29話『セックス刑』

小説 ちんちん短歌 第29話『セックス刑』

 小舟には、建だけが乗ることになった。常陸娘子の遺体の入った行李と、建が、ぽん、と船に置かれる。
 船頭もいない。ここまでついてきた異民族のケロケロの二人も、ここでお別れだ、という。

「あの浮島がそう」

 と、ケロケロのケロッピが指をさすと、もうちょっと、本当、20メートル先に、葦が茂っている。

「別に、船でなくても渡ろうと思えば渡れるけど、ところどころ、川底、ヘドロで、足元取られちゃうから

もっとみる
花ちゃんち

花ちゃんち

「寒くなったね」

「そうだね」

朝の道で交わした会話。

本当に寒くなった。 手袋をしていないと指先がかじかんで感覚がなくなってつらい。

昨日の夜、「明日行くね」って電話があった。

嬉しかった。

やっと歩けるようになった、娘の子供が久しぶりにやってくる。

毎日忙しいからそんなに考えているわけじゃないけれど会えるのは嬉しいな。

はじめてのことじゃないけど、女の子は可愛い。

息子の子供

もっとみる
【詩】手を伸ばす

【詩】手を伸ばす

流れを眺め

手にするのは

上手くない

表面が滑らかなせせらぎ

心地の良い笹の葉で出来た舟は

穏かなわたしの胸の内を

乗せて心は穏やかに

小さな渦で笹の葉は

くるくると水中で上へ下へ

次にくる渦は小さくない

わかっているのに

そのまま大きな渦に巻き込まれる

誰かと誰かが衝突した音

叫び散らす声

捏造を流布する手紙

そんなものはいらない

水中で目をあけたまま

渦の中で

もっとみる
ねこのチーズカレー

ねこのチーズカレー

地域猫ちゃん手づくりのジャンボなカツレツが載った、ねこのチーズカレーを

日本中で働く皆さまに

地域猫ちゃんが出前いたします(笑)

もちろん、お代は無理でございます(笑)

小松左京「一生に一度の月」感想

小松左京「一生に一度の月」感想

麻雀が登場する小説を集めている。amazonを駆け回りYahoo知恵袋を虱潰しているのだが、大抵は「阿佐田哲也」と答えられて終わりだったりする。そんな中で今一番アツいツイートはこれだ。

この引用リツイートとリプライに挙げられる小説一覧の収穫が半端じゃない。「一生に一度の月」もそうやって発見した。このように役立つところを見るとちょっとはツイッター潰れるなという気持ちになったりもする。

「一生に一

もっとみる
髪切った?

髪切った?

「髪切った?」
 僕は彼女に訊ねた。
「うん」
 彼女はうなづいた。

もっとみる
ラブソングで自分語り

ラブソングで自分語り

上記のリンクで曲を聴き、歌詞をご覧ください

中身は情熱的に愛し合う2人のラブソング
聴いているだけで「ご馳走様」

わたし、異性へ
ここまで愛したことや愛されたことがあったかな
断言していい、「ない」

これに似たセリフは聞いたことがある
もちろん、わたしへ向けてではなく愛猫に向けて
愛猫が亡くなった折、復讐と自死と考えた人

話を聞いた時、妙にしっくりして
確かに、ネコの奈々のためにウソや殺し

もっとみる