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赤裸々なブックレビュー

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2022年4月の記事一覧

「いま読みたい文庫」と「祭りの予感」

「いま読みたい文庫」と「祭りの予感」

数日前、店に入荷した段ボール箱を開けたら新潮文庫の新刊が詰まっていました。さっそく↓を見つけ、「おっ」と声を上げました。

「書物の森で、酒場の喧騒で。沢木耕太郎が出会った19人」ですって。カッコよくないですか? 沢木さんの文章はリズムや長さ、語彙のチョイスなどとにかく全てが理想的。美しいとか巧いとか読み易いではなく、ただただ素朴でカッコいいのです。

↓にも目が留まりました。

1965年に公開

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旅とプロレスから「普遍性」を学べる一冊

旅とプロレスから「普遍性」を学べる一冊

↑は全日本プロレス・TAJIRI選手のnoteです。この記事がキッカケで、昨年購入した「プロレス深夜特急」をもう一度開きました。

よく名著はスルメにたとえられます。噛めば噛むほど味が出るから。ただ本書に関しては、私はむしろ「甘さ・コク・辛さ」と味が三段階に変わる淡路島カレーに近いと考えています。

前回読んだ時は、どうやら最初の「甘さ」の時点で感激してしまい、せっかくの「コク」と「辛さ」を味わう

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いつか「大君」に堂々と

いつか「大君」に堂々と

ふふん。

原題が”THE LAST TYCOON”で、邦題が「最後の大君」ですって。

職場の棚で見つけた際、春樹さんが訳したレイモンド・チャンドラー「大いなる眠り」のフィリップ・マーロウみたいな笑い方をしてしまいました。

でもよくよく調べたら、英語の”Tycoon”は日本語の「大君」が語源とのこと。ペリーが来航した際、幕府側が将軍のことをそういう名前で紹介したとか。つまりシャレではなく真っ当

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「挫折」ではない一歩

「挫折」ではない一歩

いまのところ全て購入しています。

最新の7号は、オーストラリアで撮影された2時間スペシャル「笑うカンガルー」です。数学者が登場する回ゆえか、いわゆる「理系ネタ」のスパイスが随所に効いていて頭を刺激されました。

95年のTV放送時は、たぶん陣内孝則さん扮する犯人の身勝手さにイライラしたはず。才能溢れる相棒にパラサイトし、なおかつ嫉妬の腹いせに女房を奪った俗物じゃないかと。でもいま見ると、ちょっと

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「お天道様」は見逃さない

「お天道様」は見逃さない

3年振りのレッスルマニア出場!! しかもオープニングマッチでタッグ王座に挑戦!! 最高のシチュエーションです。

しかしパートナーのリック・ブーグズが膝を負傷して1vs2の状況になり、惜しくも敗退。。。

ようやく巡ってきたチャンスをこんな形で逸してしまうとは。でも大舞台で起きたまさかのアクシデントにも動ぜず、きっちりと己の使命を全うして敗れた真輔選手の姿に心が沸き立ちました。

私の職場でも、来

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「誤情報」と「思い込み」の鎖

「誤情報」と「思い込み」の鎖

絵を描くのはお好きですか?

私は苦手です。写実のセンスが致命的にない。

昔ダウンタウンの番組で浜田さんがドラえもんを描きました。共演者はそれを見て大笑い。テレビの前の私は顔がひきつっていました。そして浜田さんに仲間意識を抱きました。「わかる」「俺だけじゃなかった」と。ちょうど太宰治を読んだ時のように。

小学生の頃、図工の時間が苦痛でした。説明書に従ってプラモデルを組むのは好きだったのに。たぶ

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