記事一覧
『愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように』書評
東洋経済オンラインに寄稿しました。『愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように』の書評と、韓国における詩の位相についてです。ご笑覧ください。 https://toyoke…
『あいだからせかいをみる』あとがき一部公開
10月末に生活綴方出版部より刊行された『あいだからせかいをみる』(温又柔+深沢潮+辻野裕紀)の辻野裕紀による「あとがき」の一部を版元の許可を得て公開します:
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最初の対談から早くも七年が経過した。そして、その間にはコロナ危機のように、社会のありようを根底から変える出来事もあった。概して〈多様性〉に対する社会の意識が高まり、マイノリティへの集合的関心が少しずつ醸成されてきた
朝日出版社「あさひてらす」連載「母語でないことばで書く人びと」(辻野裕紀)がスタート
朝日出版社のwebマガジン「あさひてらす」の連載「母語でないことばで書く人びと」(辻野裕紀)が本日スタートしました。毎月30日更新予定です。
この連載は、言語学者である著者が、自らに与えられたことば以外で創作する人びとの営みを見つめることで、言語についての考えを深めていく、創作とことばに関心のあるすべての人に贈る、思索エッセイです。(編集部記)
第1回「非母語という希望:言語論と文学の交差路へ
白水社webふらんすの連載「歴史言語学が解き明かす韓国語の謎」(辻野裕紀)がスタート
白水社webふらんすの連載「歴史言語学が解き明かす韓国語の謎」(辻野裕紀)がスタートしています。毎月10日・20日更新。
歴史言語学の視座から韓国語を腑分けし、その様々な「謎」を解き明かそうとする試みです。歴史言語学とは、言語の変化を通時的に研究する言語学の一分野。韓国語学習の過程で誰もが逢着しうる種々の疑問群を丁寧に解説しつつ、言語学という知の沃野へといざないます。
第2回:濃音と激音の起源
『愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように』書評
東洋経済オンラインに寄稿しました。『愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように』の書評と、韓国における詩の位相についてです。ご笑覧ください。
https://toyokeizai.net/articles/-/625588?display=b
師弟関係と厳しさについて
以前、苫野一徳氏の論考を引きつつ、「教師の仕事の本質」を〈信頼〉〈忍耐〉〈権威〉の3点を良い教師の資質とし、このうち〈権威〉が最も重要だと、拙論に書いたことがある。ここでの〈権威〉とは勿論、保身のためのさもしい夜郎自大でもなければ、学生を萎縮させるような恫喝や打擲でもない。知的な人品骨柄の中に胚胎する、相手を畏怖させる力である。学問的な鋭利さには常に威圧感が伴う。優れた研究者に接すると、その鋭さゆ
もっとみる本を読むこと、買うこと、所有すること
昔からそうだが、常に5, 6冊の本を平行して読んでいるので、どの本に書いてあったことかよく混乱する。一部分しか読まない本もあまたある。書評やブックトークのためでなければ、性格的にも時間的にもそういう読み方しかできない。だが、こうした多動的で複線的な読書は、本同士の緩やかな連なりを体感させてくれ、それなりに実りも多い。
背表紙しか読んでいない本も多いし、持っていないと思って買ったら持っていたり、持
自著を語る『形と形が出合うとき:現代韓国語の形態音韻論的研究』
*『CROSSOVER』47(九州大学大学院地球社会統合科学府、2022年3月)の「自著を語る」というコーナーに、昨年12月に出た拙書『形と形が出合うとき』をめぐる文章を寄稿しました。大学の広報誌という、やや手に入れにくい媒体ですので、多くの方々に読んでいただけるよう、noteにも貼り付けておきます:
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2021年12月、九州大学出版会より『形と形が出合うとき――現代韓国語
オンライン面接と「圧」
昨日、今日は大学院修士課程の入試だった。言語科目、専門科目、面接、すべてがオンラインで実施された。
対面面接とオンライン面接とでは何が違うのか。それは、端的に言って、面接官の「圧」の有無である。オンライン面接には「圧」がほとんどない。いわゆる「圧迫面接」が云々という話ではなく、人間はただ現在するだけである種の「圧」を発していて(「オーラ」とか「独特の雰囲気」などとパラフレーズしてもよい)、それ