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#ショートストーリー
なぁ、ホームレスやい
寒くなってきた、初冬の夜。
ホームレスの男は、公園のベンチにうずくまっていた。
目の前に見えるのは道路、挟んで向かいには高級マンション。
何も言わず、1枚の汚い毛布に包まる男。
前の道路にタクシーが1台停る。
そのタクシーは、暫くそこに停り続ける。
正味4時間くらいか。
2:00過ぎくらいになると、回送表示を点け走り去って行く。
というのが、もう2週間くらい続いている。
ホームレスがベンチ
彼女の今は何も言えないで出来ている
―今私は、何とも言えない気分でここに立っています。
まぁ本当に何とも言えないなら、こうして綴ることも無いんだろうけど。―
彼女は1人、公園のベンチに座ってスマートフォンをいじる。
―あ、そもそも立ってませんでした。―
スマホの上で素早く動く指は、なんて事ない彼女の今を綴っていく。
それは元々スマホに入っているメモ機能で、誰かに届ける訳でもなく。
―今日、1本の映画を観たんです。これまた何と