マガジンのカバー画像

研究者のキャリアデザイン

230
『研究者』のキャリアデザインに参考となるnote記事をシェアしています。
運営しているクリエイター

記事一覧

高等教育飽和の時代

高等教育飽和の時代

高等教育の黄昏 昨年の大学入学者が初めて定員を下回ったそうです。

 少子化が進行するのに、大学の設置認可を認め続ける今の状況では、遅かれ早かれこうなることは予見できたのですが、少子化が予想以上に深刻化する状況では、今年度を境に、大学の設置だけでなく縮小や退出も進んでくる事が考えられます。
 現実問題として、すでに幼稚園業界では、幼保連携型認定こども園への移行が難しい幼稚園を中心に、廃園する幼稚園

もっとみる
【理系大学生の研究室選択】 研究職キャリアの第一歩

【理系大学生の研究室選択】 研究職キャリアの第一歩

わたしのnoteでは就活のことを書くことが多いですが、今回は少し趣向を変えてみて、大学での研究室選びについて書きたいと思います。

理系の学生さんにとって研究室選びは人生最大の岐路となります。このnoteが大学選びや研究室選びを考えている人の参考になれば嬉しいです。

はじめに 〜研究室選択の重要性〜

わたしは幸運なことに今までメーカーの技術職として仕事をしてこれました。これまでの人生を振り返る

もっとみる
化学メーカー研究職になれて良かったこと / 悪かったこと

化学メーカー研究職になれて良かったこと / 悪かったこと

はじめに

今回は化学メーカーで技術者として働く1人の社会人として、研究開発職になって感じたこと、研究所と工場での経験を通じて感じた良い点や悪い点を書いてみようと思いました。

研究開発職の良いところ

全般編
・化学技術で世の中を支える製品を生み出せる
化学メーカーでの研究開発職は、社会貢献を肌で感じられる点が大きな魅力です。例えば、自分が関わった製品が市場で使われているのを直に感じた時には大き

もっとみる
大学院での研究教育指導はトレーニングである

大学院での研究教育指導はトレーニングである

教育・指導 ≠ トレーニング(訓練) 筆者の一意見として読んでいただきたい。研究訓練という言葉は一般的でないので、便宜上、研究教育指導と言っているが、本来ならば研究者になるための「トレーニング(訓練)」である。大学院に進学した学生が皆アカデミアに残るわけではないので、より厳密には「問題を発見し、解決または報告する能力を身につけるためのトレーニング」である。どちらかというと、職業訓練に近い。そこには

もっとみる

研究者の就活のコツ 国立大 テニュア・トラック助教・准教授

研究者の就活に関してまとめてみました。(国立大)
JREC-IN経由のガチ公募経験をまとめます。私は現在、国立大のテニュア・トラック助教やっています。

書類選考突破のコツ書類の準備

JREC-INを使って、自分の研究分野と近い公募を検索します。一般的には研究業績、これまでの研究、これからの研究、教育の抱負などをwordで記載してpdfで電子メールや郵便で送ることが多いです。

書類選考結果の通

もっとみる
心理学者が研究している学校の学習(心理と学習のフロンティア)

心理学者が研究している学校の学習(心理と学習のフロンティア)

大学院で学ぶ「学習のデザイン」。今年最後の記事は、後期の授業で受けている心理学と学びの授業から紹介します。

この授業、ある1冊の小難しい本をみんなで読み解く内容です。難しい本の読み方を知ることは、学術研究するうえでとても大事な学びになるので、よい経験になります。

人はいかに学ぶのか

みんなで読んでいる本はこちらです。

原題はHow People Learn 2で2024年に出た本です。20

もっとみる
大学非常勤講師として、「人並み」に生きる―個人事業主という選択―

大学非常勤講師として、「人並み」に生きる―個人事業主という選択―

はじめに

大学非常勤講師に対して、どのようなイメージを抱かれているだろうか。なかには、非正規ながらも高給取りという印象を抱く人もいるかもしれない。しかしながら、実際のところ、大学非常勤の平均年収は、200万円前後と言われている。まさにワーキング・プアである。

大学非常勤講師は、読んで字の如く、大学の授業科目を担当する非正規の教員のことである。この仕事は、大学院博士前期課程を修了した後(修士号取

もっとみる

研究の価値とは何か:即効性だけでは語れない知の探求の意味(Claude通常文体版)

私たちは今、効率と即効性を過度に重視する時代に生きている。「すぐに役立つか?」「収益に直結するか?」という物差しで、あらゆるものの価値が判断される。そんな風潮の中で、じわりと広がる違和感の声に耳を傾けてみたい。

見失われていく長期的な視点「博士課程は使えない」「基礎研究は意味がない」—そんな言葉を耳にするたびに、私たちは重要な何かを見失っているのではないだろうか。

歴史を振り返れば、今日の技術

もっとみる
大学の先生はteacherではなくprofessor

大学の先生はteacherではなくprofessor

はじめに私は、日本の大学で助教としてはたらく研究者です。
ふだん学生からは「〇〇先生」と呼ばれますし、同僚にあたる方からもそのように呼ばれます。

ただ、どれくらいの日本人が、大学の先生はteacherではなくprofessorであることを認識しているのだろうかと最近思いました。

teacherとprofessorとはChat GPTで両者の違いをきくと次のような回答が得られます。

また、これ

もっとみる
大学の伏魔殿?日米の研究室について語る!!

大学の伏魔殿?日米の研究室について語る!!

こんにちは、海外で現役ポスドク(生命科学系)をしておりますポス山毒太郎と申します。このnoteはあくまで毒太郎の体験を元に、偏見に基づいた感想を語っていく場です。ですのでほとんど統計値などは出てきませんので悪しからず。

筆者は日本では学部生の頃、修士博士課程の頃、ポスドクの頃と3つの研究室を渡り歩いています。米国では1つ目の研究室でポスドクをしているだけですので語るには経験不足ですが、今記事では

もっとみる
博士論文を3年で書き上げるべき理由

博士論文を3年で書き上げるべき理由


はじめに今回から博士論文を執筆し、学位を得るための具体的なスケジュール・メソッドについて、複数回に分けて書き進めます。私は社会人大学院生として、昨年度まで国立大学の大学院に在籍し、3年間で博士論文を書き上げ、2024年3月に博士号を取得しました。時間に制限がある中で博論を書き上げたノウハウ・経験談は、博士後期課程に在籍する学生に資する内容だと期待して、筆を執っている次第です。私の経験が後輩たちの

もっとみる
Book #03 - 研究者のためのライフハック術

Book #03 - 研究者のためのライフハック術

研究者のためのライフハック術
横浜薬科大学・薬学部・准教授
谷 英典
Copyright © 2024 Hidenori TANI All Rights Reserved.

はじめに

 私はこれまで、note(https://note.com/hidenoritanilab/)というサイトで、自身の経験に基づく、研究者のためのライフハック術をエッセイとして連載してきました。そのエッセイをまとめ

もっとみる
今年のノーベル賞を席巻するAI研究者たち?!

今年のノーベル賞を席巻するAI研究者たち?!

こんにちは。

先日、毎年恒例のノーベル賞が発表されましたね。なんとノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が選ばれて、大変なニュースとなっていますが、今回はそれではなく、その数日前に発表されたノーベル物理学賞とノーベル化学賞についてです。

日経新聞に次のような記事が掲載されていました。
ノーベル物理学書に「AIの父」ヒントン氏ら2人(2024.10.8)
ノーベル化学賞にGoogl

もっとみる
#56 大学の先生になりたい人🙋‍♂️

#56 大学の先生になりたい人🙋‍♂️

おはようございます。やっぴです。

noteを始めて、いろんな大学の先生の記事を見てると、一番よく見るのが公募の話のような気がします。

大学関係ではない人は、よくわからないと思うので以下のサイトを見てみてください!
適当に検索してみるといろんな大学が出てくると思います。時期的に少ないですが。
大学教員の公募はほとんどJREC-INで見ることができます。

例えば「東京都」「人文・社会」で検索する

もっとみる