Medjed1222

時は春、日は朝、朝は七時、片岡に露みちて、揚雲雀なのりいで、蝸牛枝に這ひ、神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。

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マガジン

  • プレスリリース入門シリーズ

    研究者のためのプレスリリース入門についてのnoteをまとめました。

  • 研究教育指導についてのあれこれ

    生命科学系大学院における研究教育指導についてのnoteをまとめました。

  • 罠シリーズ

    研究初心者が陥りがちな罠についての一連のnoteをまとめました。

  • 書き方シリーズ

    生命科学系の論文・文章の書き方についての一連のnoteをまとめました。

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プロフィール的なこと

 生命科学系の研究者です。育ちは分子生物学と行動遺伝学、専門は電気生理学と構造生物学ですが、現在は病態神経学をやっています。その他、神経解剖学、発生学、疫学、データサイエンス、サイエンスコミュニケーションとなんでもやります。画像とアイコンは古代エジプト神話の神メジェド(「打ち倒す者」の意)です。いろんな理不尽を打ち倒したいです。

    • おもしろき こともなき世を おもしろく

       世につまらない研究テーマなどない。つまらない研究にしてしまう研究者がいるだけだ。料理では、どんなにありふれた食材であっても、料理人の腕次第では美味しい料理を出すことができる。逆に、どんなに高級な食材であっても、料理人の腕が悪ければ料理は台無しになってしまう。もちろん、食材が腐っていたりしたら、いくら料理人の腕がよくても、どうにもならいが(ただし、それが発酵だったら、なんとかなる)。  研究も同じである。もっとおもしろくなるはずの研究テーマなのに、本質からズレた細部に拘って

      • 理学部の生物学は「ヒト以外」生物学である

         筆者は某国立大学理学部生物学科の出身である。同じ大学院で博士(理学)まで取得した。学位取得後は、複数の大学・研究所の基礎系の研究室を渡り歩いた。縁あって某国立大学の医学部で生理学や解剖学の講義を担当したことがあるのだが、その際、自分の知識が、いかに偏っていたかということを実感させられた。  生物学科では、生物全般における知識を得るため、分子生物学や細胞生物学をはじめ、生化学、遺伝学、生理学、発生学、生態学、進化学等を(建前上は)系統的に学ぶ。各項目では、例えば遺伝学ではシ

        • 文系への偏見を書いてみた

           2024年の夏、Xで、あるツイートが物議を醸した。  おそらく、ツイート主は理系に対する素朴な感想をツイートしたのだろう。ここでは、このツイートの是非については議論しない。このツイートを取り上げたのは、私が日頃から感じている(一部の)文系への偏見の裏返しだったからである。文章にするなら、以下のようになる。  文系に対する私の別の偏見は「人文学系研究者の頭の中:『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』」のnoteで書いた。  独創性、つまり、その人でしか得ら

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        • プレスリリース入門シリーズ
          5本
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          14本
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          3本

        記事

          「いいひと」は褒め言葉ではない

           たいてい、「いいひと」の前に「都合が」とか、「調子が」とか、「どうでも」とかいう言葉が隠れている。

          「いいひと」は褒め言葉ではない

          研究者のためのプレスリリース入門 〜著作権編

          はじめに 研究者のためプレスリリース入門も最後の記事となりました。著作権編となります。研究者は、講義や学会でのプレゼンにおいて教科書や論文から図を頻繁に引用することと思います。そのため、プレスリリースにおいても、特に、記者説明会でのプレゼン・配布資料において、教科書や他の論文、ネットで拾ってきた画像を使用する研究者がいます。しかし、ほとんどの場合、著作権的にアウトです。理由をいくつか見ていきましょう。 プレスリリースに著作権が発生する あまり知られていないことですが、プレ

          研究者のためのプレスリリース入門 〜著作権編

          研究者のためのプレスリリース入門 〜要約図編

          はじめに プレスリリースの図は、直接的で直感的にわかりやすいものである必要があります。よくある間違いは、論文の図を修正せずに使用することです。これには3つ問題があります。 概要図ではないので、プレスリリース内容との関連がイメージできない 論文は英語で書かれていることが多く、英語表記のままでは一般の方が理解できない クリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスなどによって改変・再配布が許されている著作権ではない場合、図の著作権は出版社に帰属するので、論文の図をそのまま使用

          研究者のためのプレスリリース入門 〜要約図編

          研究支援AIは学力を2極化する

           筆者は、ほぼ毎日AIを使っています。主なものは、ChatGTPとGrammarlyです。課金もしています。加えて、文章生成AIは、Gemini、Claude、Notion AI、Copilot、検索はFelo、Genspark、Perplexity、研究関係として、SciSpaceやConsensusなどを使用しています。その他、触ったことのあるAIのリストは「文章生成AIサイト・研究支援AIサイトまとめ」note記事にまとめています。  AIの出現によって研究活動は格段

          研究支援AIは学力を2極化する

          研究者のためのプレスリリース入門 〜文章編

          はじめに プレスリリースを初めて書いた研究者の原稿は、たいてい論文や学会発表の要旨のようなものになっています。研究者は日常的に専門用語を使用しているので、その言葉がどれだけ一般用語から乖離しているか理解できていません。極端な単純化で嘘になってはいけませんが、プレスリリースは、一般に用いられている言葉で、できるだけ簡潔に、かつ、わかりやすく論理だった文章で書く必要があります。 平易な言葉を使う 一番のポイントは、専門用語を避けることです。例えば、筆者の専門領域である生命科学分

          研究者のためのプレスリリース入門 〜文章編

          こんな大学院生はイヤだ

           大学院生に限らず、人としてアレなものも混ざっています。あくまでも、フィクションです。随時、追加します。 他人の研究がうまくいっていると嫉妬する 結果がでそうな研究テーマを要求する 他人の研究テーマを乗っ取ろうとする 他人の論文の著者になろうとする 下級生に自分の実験を押し付ける やりたい研究がない ネガティブな結果を報告しない 他人の試薬を勝手に使う 共通試薬を使い切り発注しない 機器の予約を取って使用しない 自分の発表の日に限って体調が悪くなる 自

          こんな大学院生はイヤだ

          優秀な大学の先生は「できない」学生の気持ちはわからない

           優秀な大学の先生は、「できない」学生の気持ちはわからない事が多いようだ。なぜなら、彼ら・彼女らはある程度「できる」学生だったからだ。そうでなければ、大学の先生にはなっていない。  優秀な大学の先生は、「できない」学生に対して思う。なぜ、そんなに効率が悪いのか。段取りをよく考えて物事を進めればよいだけではないか。なぜ、そんなに時間を無駄にするのか。1日は24時間しかないのに。なぜ、そんなに知識がたりないのか。教科書やネットにいくらでも情報を見つけることができるではないか。な

          優秀な大学の先生は「できない」学生の気持ちはわからない

          書店ソムリエ

           書店ソムリエを自称している。本のソムリエではない、書店である。以下、関東圏中心、順不同、随時更新。 2024/11/17更新 ジュンク堂書店 池袋本店追加。 丸善 丸の内本店 欲しい本、または、新しい本を見つけたいときの第一選択。八重洲ブックセンター八重洲本店が閉店した現在、東京駅近辺で最大の書店。オライリーのコンピュータ関係本のコーナーが充実しているので便利。文系・理系問わず専門書は、たいていココで見つけられる。流行りでない文芸書は紀伊国屋書店新宿本店のほうが品揃えが

          書店ソムリエ

          研究に対する批判は、あなたの人格に対する非難・否定ではない

           研究について議論していると、途端に機嫌が悪くなる学生がいる。研究に対する批判を、個人的に非難されていると受け取るらしい。これは、ある意味仕方のないことで、日本の教育では、「意見に対する批判は、人格に対する非難ではない」という議論のルールを教えないので、意見を否定されると人格を否定されているように感じるわけだ(典型的な例がX(旧Twitter)で、よく見うけられる)。日本人に限らず、アジア圏の学生にも同じ傾向が見られる。なので、学生を指導する際には、はじめに「意見に対する批判

          研究に対する批判は、あなたの人格に対する非難・否定ではない

          「寝逃げ」スイッチ

           あるとき、同僚が怒っていた。聞けば、研究ミーティング中に学生がうたた寝を始めたという。「ディスカッション中に、ありえない!」と、ご立腹だった。  その学生は、いわゆる「できない」学生だった。側から見て、あきらかに学力が足りなかったのだが、「自分はイケてる」と、根拠のない自信を持っていた。その学生を進学させた教授から指導を押し付けられた同僚には気の毒だったが、『しょうがないのだろうなぁ』と思いながら愚痴を聞くしかなかった。  おそらく、その学生は嫌なことがあると「寝逃げ」

          「寝逃げ」スイッチ

          こんな大学の先生はイヤだ

           あくまでも、フィクションです。随時、追加します。 盗聴が趣味 新入生から結婚相手を探そうとする 研究室に監視カメラがある 飼ってる犬の散歩をさせる 休日に学生がいるかだけを確認しにくる 研究室内で不倫している 指示された実験をすると「なんでそんなことした?!」と詰められる 出張で同じホテルを取ろうとする 「この人は推薦できない」という推薦状を書く 女子学生に「師匠ではなく一人の男として見てほしい」と迫る 愛人宅に入り浸り、自宅の場所を忘れる 子どもの

          こんな大学の先生はイヤだ

          あなたは本当に「研究」がしたいのか

           このnoteは、一人の生命科学研究者・指導者としての愚痴である。  研究結果について議論していると、『あなたは本当に「研究」がしたいのか』と問い詰めたくなる学生がいる(たまに、教授もいる)。以下は、事実を元にしたフィクションである。  野生型マウスと病態モデルマウスのトランスクリプトーム解析を行なっている。常套手段としては、DEG(Differentially Expressed Genes、異なる条件やグループ間で発現量が大きく上昇または減少した遺伝子のこと)をとって

          あなたは本当に「研究」がしたいのか